#3
彼女の話はこうだ。
——五年前、突如として滅んだ王国。それから悪夢が始まった。
周辺の国も理由は分からないまま次々と滅んでいき、王国滅亡から一年ほどでアムネア大陸から国はなくなった。大陸の国々と貿易していた商船は、その大陸へ行ったきり帰ってこない。
その恐ろしい事態は瞬く間に、船で貿易を行う商人たちの間で噂になった。
それから一年、アムネア大陸の現状を危険視した別大陸の国々は視察のための軍船をいくつもアムネア大陸へと送る。しかし、その軍船もほとんどかえってこなかった。
ほとんど、というのも、軍船の中に一船だけ帰ってきた船があったそうだ。リーユア大陸にある海辺の王国が出した軍船の予備ボートだった。その王国の船は、膨大な報償金と引き換えに雇われた貧民と一部の軍人が乗っていたという。
しかし、帰ってきたボートには一人の少年しか乗っていなかった。少年はレイと名乗ったらしい。
少年の話によると、アムネア大陸は魔物が溢れ、およそ人間が足を踏み入れることはできない様だったという。剣や弓など全く効かない魔物からの恐ろしい攻撃に耐えきれず、本船は撃沈。死にかけの軍人の一人に、予備ボートを使って逃げろと言われた。アムネア大陸は魔物に侵略された。それを伝えてほしいと。
命からがら逃げおおせた彼は、王国になんとか流れ着いたらしい。その事を王に伝えた彼は、初めこそ疑われたものの、軍人の筆跡そのままの伝言が書かれた布を持っていたため、信じられた。
それから少したった頃、アムネア大陸に一番近いある国が、魔物に襲われたという。
その事実はじわじわと他国に伝わり、人々を恐怖で震わせた。
それから一年半、ある一つの国が対抗するために学院を設立した。
名を、アンデル魔法学院。
魔物たちに対抗する人物を育成するため、唯一の対抗法でもあると言われた魔法とその戦いかたを学ぶ国立の学院。入学資格は15歳から25歳まで、男女国籍問わず魔法が多少なりとも使える者......。
そんな学院を設立してすぐ、魔王と名乗る者からのメッセージがあった。
"我に対抗する者どもよ、じわじわと周辺から侵略してやろう、力を会わせるその時を楽しみにしている"
「へえ......それで学院と魔王......」
「そう。そんなわけで、このアンデル王国では学院への入学者を募ってるってわけ」
え、アンデル...学院!?
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