乙乃章 弐節 譚之一
「状況を告知せよ」
左右に伸びた髭を
「はっ。全島に戒厳令を布告し、市民の行動を制限しております。まずは王彊、
「
「は?」
「ふざけた声明文を送りつけた
「はっ、申し訳ございません。八方に手を尽くしてはおりますが判明しておりません」
「
その露わな感情に唯ならぬ気配をひしひしと感じ、報告をしている軍服姿の男は居心地の悪さを感じずにはいられなかった。
「それで、あのガキはどうした」
「はいっ、劇場地下の空き倉庫に押し込んでおります」
「莫迦者が! 捕らえるだけで良かったものを必要以上に痛めつけおって。余計に手間がかかったではないか」
「申し訳ございません。国王への忠誠心を誤った方向で誇示しようといたしまして」
「なにィ?」
「はい、王に手をかけたものを痛めつければ、それだけ忠誠を示せると勘違いをいたしまして、と申しますよりは、ここで捕縛に加わらなければ忠誠心を疑われると、珍妙な考えに
「愚かな!」
「は、王立劇場の内部警護はほとんど若年兵に担当をさせておりましたゆえ、このような事態を招いてしまったようです。申し訳ございません」
「む。もうよいわ。で、大丈夫なのだろうな」
「はい、間違ってもそのようなことは。そうした意味では、かなり厳選しておりますので」
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