第2話 夢見



 祖母が かってくる。

 小さな私の 小さな背中に、

 おおかぶさってきて 押し倒された。


 それを見て 母が怒っている。

 しかし 母がどんなに言い募ろうと、

 祖母は 聞く耳を持たない。


 母は怒る。

 怒るけれど。

 決して 助けてはくれない。


 おばあちゃん もうやめて。

 お願いだから 私を押しつぶさないで。


 重くて 重くて   

 苦しくて堪らなかった。




 そんな夢を見て 目が覚めた。


 隣に眠る主人の顔を見て

 「嗚呼、良かった。」と 安堵する。


 時々顔を覗かせる 子供の頃のトラウマ。

 祖母が亡くなって もう何年も経った。

 病気も回復してきた。

 辛かった日々は 既に過去のもの!


 それなのに、

 幼い日の私は まだ此処に辿り着けていない。


 もう 大丈夫。

 もう 大丈夫だから。

 

 隣を見てごらん。

 そこにいるのは 大好きな夫。

 足元を見てごらん。

 そこにいるのは 愛らしい愛猫。


 大丈夫。

 大丈夫。

 あなたはちゃんと 幸せになれたから。


 だから もうゆっくりおやすみ。

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