世界不死禁止条約の背景


 前項で述べた通り、人の寿命の無制限化としての不死は、裕福層の超長寿化という『生の格差』を生み出し、人口圧迫の問題も深刻化した。


 地球環境の悪化による人の生存領域の減少もあいまって、世界情勢に不利益ばかりをこうむる不死者の問題は国連で特に議論され、ついに『世界不死禁止条約』を採択するに至る。


 人の知識を、願望を、欲望を集めた『不死微小機械』は社会圧によって禁忌とされたのである。


 しかし、一部の上流階級、研究者、国家はその条約を反し、独自に研究を進めていた。


 そのような違法で危険性の高い『施設』と『不死者』を超法規的に排除する組織が国連指導の下に発足された。


 それが、DURL(Dead Undead Regulation Labors)である。

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