大将として出発
1159年 11月 鎌倉 熱田神宮から由比の郷
ついに、
鎌倉の西、
まず、主だった各氏の
ちなみに、鶴岡八幡宮はこのころ、
さすがの義平も此度はその身に寸鉄を帯びずというわけにはいかない。兜こそかぶっていないものの。
そして、叔父
儀式は、滞り無く、かつ簡素にトントンと進んでいく、なんということはない、前の日義平自らが鶴岡八幡宮に出向きなるべく簡単に済ますように
鎌倉の人々は源氏の大軍勢を一目見ようとほぼ皆が沿道に
若宮大路や小町大路の往来の人々も「全坂東武者を率いる、若様のあの
「若様はどこじゃ」
「若様一世一代の
「またもや留守居役なのか、どこにもおらぬのではないか」
相変わらず、鎌倉でもまたもや往来のひそひそ話が始まる。
此度の戦に出向くは、義朝配下の坂東武者全軍。主だった将は
一応、大軍勢であるが、しかし、思いの外、集まらなかったことも事実である。木曽や信濃は、道中東海道で駆けつけてくるかもしれないが、一切参与していない。また
義朝や、
そして、義平は、各氏頭とともに、鶴岡八幡宮より、由比の郷に戻り総勢300騎の整列の前に立つ。
全軍、なにか、決起ならびに出発の訓令でも義平からあるかと思いきや、
「参る」と大音声で言ったきり、葦毛の愛馬"
河内源氏一党の配下の将兵誰も、声を
一行は、前日に行った陣振れどおり粛々と大仏坂路を進み大仏坂口にいたり箱根の山を越える、源氏の白い旗がなみなみとはためきながら東海道を進んでいくわけである。
義平の瑞雲の
「こんな大軍の総大将だなんて、本当にあんたは大々大将だな、、、おれも鼻が高いよ」
「京につくまでだし、みな親父の命で付き従っているだけで、俺に従っているわけじゃない」
「そうなのか」
「でも、これだけの軍勢だと、うまく用兵すれば天下を取れるんじゃないか」
「マジか、、」
「昨日、ちょっと考えてたんだけど、瀬田の橋は渡ると、落とすか、橋板を外すんだよ。これで、都を東国とは暫く切り離す。京を閉じ込めちゃうんだな。んで平家の屋敷って六波羅って山を背にして立っているらしいからその山の上から全軍で騎馬で駆け下りる。これで清盛を討つ、んでニセの書状で西国の平家のともどもを都に集めて全員だまし討ちで片付ける。これで平氏は滅亡だな、、」
「親父殿はどうするんだよ」
「父上の天下はもうすぐですとか、おだてておいて、、」
「おいて、、?」
「言わせるな、俺だって忍びない」
「討つのか、!?]
「源氏って知っているのか、親父も兄弟と父と殺し合いを保元の乱でもやってるし昔から同族殺しの一族なんだよ、もうずーっと血塗られた道を歩いているんだよ」
「ミカドは、どうする?」
「ここが一番親父みたいな"
「いいのかそれで」
「宣旨とかいうような紙切れ一枚で動くほど人間バカじゃないよ、それにミカドは常駐の兵を持っていない」
「それよりここより東の奥州はどうするんだよ」
「困ったな、、。あそこに馬や
「すげーな」
すると、義平が景澄の小さな垂れ
「痛て」今回は、義平、流石に岩は持っていない。
「そんなにうまくいくわけ無いだろう」
「そうなのか」
「多分、東海道の真ん中あたりで、誰かに俺が喉を掻き切られるか、毒をもられるんじゃないか、でこの源氏の大軍は尾張か伊勢で
「えっ誰にだ?」
「さぁ、知らんね、今回の上洛だが喜んでしているやつなんて一人のいないよ、しかも率いているのは、河内源氏頭領の一夜の
「そうなのか」
「源氏の旗の色は何だ?」
「目の前で旗めいているよ、白だ」
「つまり、おれは白い源氏に生まれた黒い
「お前を狙うのは誰だ、俺が討ち取ってやる
「無双は、
「じゃあ、三国一だな」
「為朝の叔父上はすぐそこの大島にいるぞ」
「ほんとうか」
「ほんとうだ、おまえなんか
「誰がお前を狙っているかだけ、教えてくれ、俺が討ちとって名を上げる」
「お前、西は平家で、東国全部が源氏だと思っているだろう」
「ちがうのか!!」
「
「俺のいた荘園は近江のほうだ」
「ここいらの土豪や
「平家なのか!!」
「びっくりだろう、、」
「誰も、河内源氏に頭を押さえられて嬉しいはずがないし、ただ損得勘定だけでうちの親父殿に付き従っているわけさ。たぶん源氏がダメになってみろ、手のひらを返して平家につくぞ」
「世知辛いな」
「こんな面倒くさい、大軍早く、都について親父殿に放り出したいよ」
こうして、義平は大軍を率いて、都へ旅だった。
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