第14話 大隅6

「おまえたちか?」


大隅を治めている大名が現れた。


「え?」


バカンスを終え、薩摩を目指していたライと海ちゃんの前に、


「人の領土を荒らしているのは?」


怒れる肝付が現れた。


「別に僕は領土なんか、荒らしていません。」


ライは無実を主張するが、


「問答無用!」


チャキーン。肝付は剣を抜いて、ライたちに襲い掛かって来た。ガチン。ライも剣を抜いて、剣を剣で受け止める。


「殺す。」


肝付は殺気に満ち溢れていた。


「やめろ!」


ライの声は肝付には届かない。


「死ね!」


肝付から負のオーラが発せられている。


(なにか変だ、この男・・・。)


ライも肝付に違和感を感じる。


「殺す!」


肝付は意外に強く、ライも手こずっていた。


「ワンワン!!!」


その時、妖怪発犬のハチが吠えた。


「あ!」


少女が何か気づいた。


「ライ! そいつは人間じゃない! 妖怪だ!」

「妖怪!?」


剣で戦いながらライも人間離れしたパワーに違和感を感じていた。


「ギャアアアア!!!」


苦しみながら肝付の体が2倍の大きさに変化して、


「プワー。」


筋肉もモリモリになった。


「なんなんだ!?」

「こんなもん、妖怪じゃない! 化け物だ!」

「ワンワン!!!」


2人と1匹は恐怖を感じた。


「プワー!!!」


化け物になった肝付は、剣を捨て拳で力任せに攻撃してくる。


「人間じゃないなら、人間じゃないなら・・・。」


ライは決心する。


「・・・」


剣を持ちながらスーッと立ち、化け物との間合いを計る。


「プワー!!!」


化け物が突進して来る。


「デヤアアアア!!! 」


ライは剣を振り上げ、


「海竜雷覇!!!」


剣を化け物に振り下ろす。ザパーン! 海水が竜の姿をして、化け物の肉を食い千切っていき、ゴロゴロ! 暗雲が立ち込め、雷鳴を響かせながらイカズチが化け物に命中する。


「プワー!!!」


化け物はイカズチに全身を焼かれ、悲鳴をあげて地面に倒れ込む。


「やったのか!?」


地面に倒れた肝付は人間の姿に戻っている。


「やっぱり、ライはつよいな~♪ 私が見込んだだけのことはある~♪」


少女はライの勝利に上機嫌だった。


「焼き肝付、食べますか?」


ライは冗談のつもりで軽く言ったら、


「いらない!」


少女からキックが飛んできた。


「あれ? ちょんまげがなんか変じゃない?」


少女はいい所に気がついたが、まだわからない。ビビビ。ちょんまげはアンテナのようになっていた。



とある別の場所。


「あれれ?」


一人、人間がいる。


「どうしたの?」


もう一人、人間がいる。


「僕のおもちゃの肝付くんが故障しちゃったのかな? 様子が変なんだ?」

「洗脳ちょんまげの調子がおかしいんじゃない? 」


ちょんまげは、命令の受信アンテナになっていたのだ。


「殿にバレる前になんとかしときなよ。」


殿という、黒幕がいるみたいだ。


「薩摩の島津くんに調べてもらおう。」


薩摩の大名、島津貴久にも洗脳ちょんまげがついている。


「なんなら大隅も島津くんの領土にしてもいいしね。」


得体のしれない何かもうごめいていた。


つづく。

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