第11話 大隅3

「よう~♪」


海ちゃんは、海辺でバカンスを満喫していた。


「なにやってるんですか!?」


ライは、噴火口から落とされた恨みも込めて怒った。


「火ちゃんには会えたかい~♪」


少女はライの言うことは無視だった。


「はい。火竜は阿蘇山にいるそうです。阿蘇山に向かいましょう!」


ライは、阿蘇山に行こうとするが、


「ちょい待ち!」


少女はちょっと待ったコールをする。


「なんですか?」

「ちょっと話を聞いてくれ。」


少女はライの服の端を掴み呼び止める。


「こちらは磯女さんと河童のガラッパさんだ。」


2人の妖怪は頭を下げる。


「山に住んでるお友達の河童さんに花を届けて欲しいと頼まれました~♪」


少女は、はなまる笑顔でライに、


「はい~♪」


ガラッパ草(ドクダミ)を渡す。


「・・・どうして僕が?」


ライは強引な展開が嫌だった。


「つべこべ言わずに、いってらっしゃい~♪」


キック! ライは、少女に蹴りだされ山を登った。


「どうして、僕が・・・。」


ライの受難はまだまだ続く。



「はい、どうぞ。」


ライは山の河童さんのワロドンと子供のセコにガラッパ草を届けた。


「良かったですね。」


山の河童たちも喜んでいる。


「それじゃあ、さようなら。」


ライと河童は手を振って別れた。


「もう夕方か。」


日も暮れていた。


「ワンワン!!!」


その時、元ペットの霊のハチが上空を見て吠えた。ハチは都合のいい妖怪発犬になったみたいだ。ヒュルルルル。上空から一反木綿が飛んできた。


「反物が空を飛んでいる!?」


ライが空飛ぶ反物に驚いていると、ヒュルルルル。


「しまった!?」


反物がライの片腕に巻き付いた。ガチャ。ライは鞘から剣を抜き、ズバ。腕に巻き付いていた反物を斬り、体は自由になる。


「海竜雷覇!!!」


ライは剣を振り上げて、必殺技を繰り出そうとするが、


「な!? 海竜雷覇がでない!?」


海属性なので、山の中では海竜は呼べなかった。


「海が近くに無いからか!?」


少しは属性と地形のことが分かってきたが、ライは焦った。ヒュルルルル。

一反木綿は上空から襲い掛かって来る。


「こうなったら雷だけで・・・。」


ライは妖怪との間合いを計り、剣を振り上げ、


「雷覇!」


剣を振り下ろす。ゴロゴロ! 暗雲が立ち込め、イカズチが地上に降り注ぐ。

ヒュルルルル。一反木綿は雷をかわし、ライのことを笑った。


「なに!? こうなったら・・・乱れ内だ!」


ライはバカにされたと思い向きになった。


「いくぞ! 百雷覇!!!」


ゴロゴロゴロゴロ! 積乱雲がさらに発達して、無数の雷が雷鳴を響かせる。

ドンガラガッシャーン!!! 雷は一反木綿に命中して、反物は焼けて消えていった。


「やった~♪ ・・・あ。」


妖怪は倒したが、森には雷が無数に落雷してしまった。


「暗くなっちゃったな。」


夕刻の戦いのせいで、山の中で夜を迎えることになってしまった。


つづく。

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