第8話 琉球5

「船がない!?」


薩摩に連れ去られた首里姫を助けるべく、ライと尚は船着き場にやってきたのだが、船は全て薩摩の兵士に壊されていた。


「これでは助けに行けないじゃないか!」


尚は吠え、


「困りましたね。」


ライも困り果てていると、ザパーン。海の中から人間の姿をした少女が現れた。濡れているはずなのに着物はまったく濡れていなかった。


「妖か!?」


尚とライは神妙な面持ちで身構えると、


「海ちゃんだよ~♪」


少女は明るく元気に笑って見せた。


「え!?」

「なに!?」


尚とライは不意を突かれた。


「ライ、久しぶり~♪」


少女はライを見て喜ぶ。


「知り合いか?」


尚はライに聞くが、


「さあ?」


ライには心辺りが無いので、


「どなた?」


ライは少女に直接聞いてみた。


「海ちゃんは、海竜様の使いなのだ~♪」


なんと少女は海竜の使いだった。


「ああ!? 海竜の!?」


ライには心当たりがある。西之島で海で溺れた妹を救うために海で溺れて、目が覚めると海の中に大きな竜がいて、悪い者と戦えと言われ、剣を授かったのだった。


「夢だと思ってた・・・。」


ライは考え深く答えるが、


「あんた、海竜様から剣をもらっただろう!!!」


少女は怖い顔で怒鳴りつける。


「そうでした。」


ライは引き気味に、あっさり認める。


「で、おまえは何しに来た?」


尚は海竜のことは知らないので分からない。


「ベー!」


偉そうに尚に邪険にされたので、


「私はライが困ってるからって、海竜様に言われて来たんだ。」


少女は尚のことは嫌いになった。


「船が壊されて、海を渡れなくって困ってるんです。」


ライは薩摩に渡れないと言うと、


「海ちゃんに任せろ~♪」


海ちゃんは海の方を見て、神経を集中させて、


「いでよ! 海の道!」


少女が言うと。海の上に海水でできた道ができた。


「海に道ができた!?」


ライは不可能な自然現象に驚く。


「どうだ? 海ちゃんはすごいだろう~♪」


やったね! という感じで少女は自画自賛だった。


「やはり妖だ!?」


尚は少女に挑もうとするが、


「早く城に帰れ、また攻められたら滅んじゃうぞ~♪」


少女がふざけて言うと、


「クソ!」


尚はバカにされたのと、首里城の現状に悔しがった。


「でん、妹を頼んだぞ。」


尚は真剣な表情で、でんを見つめる


「承知。」


ライは尚と男通しの約束をかわし、ギュ。握手をする。


「ライ、早く出発しようよ!」


少女は海の道の入り口から、ライを急かす。


「はい! すぐに行きます!」


ライは少女に大きな声で返事をし、


「いってきます。」

「がんばれよ。」

「はい。」


尚に励まされ、ライは少女と一緒に旅立った。


つづく。

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