第7話 琉球4

「なんだ!? これは!?」


妖怪退治から帰ってきた3人は目を疑った。


「城がボロボロだ!? 攻撃を受けたのか!?」


首里城は門が壊され、城中から火の手があがっていた。


「父上! 母上!」


尚は傷ついた国王と王妃を見つける。


「尚か、よくぞ戻った。」


弱弱しく国王がしゃべる。


「何があったのですか?」

「薩摩が攻めてきた。」

「薩摩!?」


尚は驚いた。本土最南端の国、薩摩が攻めてきたという。


「ジイさん、大丈夫ですか?」


ライは倒れているジイを見つけて起こす。


「ひ、姫が、首里姫様がさらわれました・・・。」

「姫が!?」


首里姫は薩摩の兵士に連れ去られてしまったらしい。


「でん殿、姫を助けてください。」

「分かりました、僕が首里姫を助けます。」


ライは自分の意志で姫を救いたかった。


「すぐに薩摩に行きたいところだが・・・。」


尚はライと美麗を見る。


「私は一度、明に戻るよ。品物を届けないといけないから。」


美麗は、ここで戦線離脱する。ポン。美麗は片手で、ライの肩を叩き、


「良かったら、一緒に明に行かないか?」


美麗はライが気に入ったので母国へ誘う。


「え!?」


ライは、突然の提案に戸惑う。


「大陸にはもっと強いのがたくさんいるぞ。」


美麗の黄竜より強いモノが待っているのだ。


「・・・すいません、姫を助けにいかないと。」


ライは美麗の提案を断る。


「それに日本も制覇していないのに、大陸だなんて・・・。」


ライは日本を制覇する気だった。


「少年の強さなら、日本なんて、すぐに制覇できるよ。」


美麗はライの強さを見た。


「ありがとうございます。」


ライは優しく微笑みかける。


「必ず明に遊びに来いよ!」

「はい。」


美麗は琉球を後にした。


「でん、俺も城が破壊されたこの状態で離れることはできない。」


尚の立場も苦しい。


「途中までは送ってやる、姫の救出は、おまえに任せていいか。」


尚は真剣な表情で、ライの目を見つめる。


「はい。」


ライは自由意思で自分の行動を決める。美麗と尚を自分より強いと思っていないのか、西之島の島の掟から解放されたのか。


「僕が首里姫を助けます。」


ライは姫の命令をまだ果たしていない。妖怪を倒し、生きて戻ってきたが、肝心の首里姫がいないのでは、命令を達成したと報告もできないのだから。


「王子とでん、これを着ていきなさい。」


2人の服装は、妖怪との戦闘でボロボロだったので、王妃が王家の紋章が入った道着を渡した。王家の紋章は左三巴紋で「左御紋(ひだりごもん、フィジャイグムン)」と呼ばれた。ジャン。2人は服を着替え終わった。


「いくぞ! でん。」

「はい。」


こうしてライは、琉球を後にして薩摩を目指すことになった。


つづく。

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