第50話 困った、ウリエル5

私は、ウリ子。堕天使サリエルに堕ちた。しかし、能力は堕天使の方が高く、こっちでもいいかな、っと思っていた。



「ウリ子!?」


ガブ子とコウモリ女のコウちゃんがウリ子の元にやって来た。


「ガブ子・・・。」


しかし、ウリ子は闇に呑み込まれようとしていた。全身から闇のオーラを発する。


「うわ!? ウリ子さん、真っ黒になってる!?」

「コウちゃんは危ないから、リトルちゃんのところに帰って!」

「はい! さようなら!」


コウちゃんは、躊躇せず逃げて行った。


「ウリ子! あなた、それでも天使なの!?」

「私は堕天使サリエルだ。」

「サリエル!? 人格まで変わったというの!?」

「天使など、闇の前では、恐れるに足らず!」


さすがのガブ子も、これはやばいかな、と思った。


「私の邪視で、おまえの息の根を止めてやろう!」

「邪視!?」


ウリ子は、額に3つめの目、邪視を開眼させる。


「死ね! 天使よ! 私の邪視の前に朽ち果てるがいい!」

「キャア!?」


サリエルの邪視から、闇の光が輝く。


「アホ! アホ!」


邪視から、黒いカラスが出てきて、アホと叫んで、邪視に帰っていった。


「・・・なんなの!?」


ガブ子は、言葉を失い、呆然とした。


「やるな! 天使! 私の邪視から逃れるとは!?」

「私、何もしてないわよ。」

「それなら、これはどうだ!? 私は月の支配者なのだ!」


サリエルは、頭上に月を呼び寄せる。


「月を使うことができるというの!?」


ガブ子は、巨大な月の出現に恐怖した。


「月の光を浴びて、消えてなくなれ! 神秘の月光! ムーンライト!」

「キャア!?」


月の光がガブ子を覆う。


「あれ? 体力と魔法力が回復していくんですけど。」


ガブ子は、完全回復した。


「私の月光を浴びても平気だというのか!? 恐るべし天使!?」

「だから、私は何もしてないって。」


ガブ子は、堕天使サリエルを理解した。


「あなたね、スキルは強力みたいだけど、私には勝てないわよ?」

「なんだと!?」


ガブ子は、サリエルに勝利宣言を言い放つ。


「だって、あなたの本体が、ウリ子だからよ!」


ガブ子は、元が軽くおっちょこちょいなウリ子なので、堕天使の強力スキルを使いこなせないことを悟った。


「くそ!? この体は、そんなにバカなのか!?」


サリエルは、頭を抱えて悔しがった。


「こうなったら、この大鎌で!」


死を司る天使として、デスサイズを持つサリエルは、悪魔化すれば、死神になるかもしれない。死を司る神とすれば、デスかタナトスか。


「天使に戻れ! この間抜け! エクソシズム!」


ガブ子は、光の魔法陣を描き、浄化魔法を唱える。


「ギャア!?」


サリエルの闇のオーラが浄化されていく。闇が取り除かれ、天使の輪が白くなり、背中の羽もきれいな白い羽に変わっていく。


「まったく、どいつもこいつも世話をかけてくれる。」


ガブ子は、気絶しているウリ子を見て、呆れる。



「う、うんん。ここはどこ? 私は誰?」


ウリ子が目を覚ました。


「やっとお目覚めか?」

「あ、ガブ子?」

「どうだ? 堕天使になった気分は?」

「誰が?」

「おまえだ! おまえ!」


ウリ子は、堕天使サリエルの記憶が無かった。


「そうだ! ガブ子、見てくれ!」

「なに?」


ウリ子は、何かを思い出したようだ。


「いでよ! 神の焔の剣!」


ウリ子の呼びかけに、火の魔法陣から、焔の剣が現れた。


「すごい! ウリ子!」


冷静沈着なガブ子も驚いた。


「フフフ、まだ驚くのは早いぞ!」


ウリ子は、調子に乗って召喚を続ける。


「いでよ! 神の光の剣!」


光の魔法陣を描き、光の剣が現れた。


「2本も神剣を召喚した!?」


ガブ子は、驚くしかなかった。魔法攻撃専門のウリ子が剣を召喚できたのだ。


「そして、焔の剣と光の剣の二刀流!」

「ウリ子、やるじゃない!」


ガブ子も、ウリ子の成長に感激した。


「どうだ? 私はこれでミカ子にも負けることは無いのだ! ハハハハハ!」


ウリ子は、気分よく高笑いするが、輪っかと羽が黒く染まり始めた。


「ウリ子!? 堕天し始めているわよ!?」

「なに!?」


オチを説明しよう。ウリ子は、神の焔の剣と光の剣を召喚することに成功した。しかし、ウリ子の低スペックでは、2本も神の剣を持つことはできず、高スペックな堕天使サリエルに堕ちてしまうのだ。


「おまえ! 剣を出すな!」

「ギャア!?」


ガブ子がウリ子を殴った拳は、とても痛くて、堕天使になるのを防いだ。


「まったく、困った、ウリエルだ。」


ガブ子が最後を、きれいに締めてくれた。


「痛いよ! 何も本気で殴らなくっても!?」


これからも、ウリ子には、困らされるだろう。


おしまい。


































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

小悪魔は、正義の使い  渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ