第48話 困った、ウリエル3

私は、堕天使になった。月を支配する者になったり、死を司る者になったり、大鎌を持ったり、邪視を得たりと、私の堕天使モードは、かなりカッコよかった。



「ホイホイホイ。」


堕天使になった私は、霊魂でお手玉をしている。


「あ、ラファ子だ。ウリ子、呼んできて。」

「なんで私が!? 自分でいけよ!?」

「だるいんだももん。」

「もう!」


と言いつつ、人の良い私は、ラファ子を呼びに行くのだ。


「お~い、ラファ子。」

「キャア!? 堕天使!?」


ラファ子は、私を見て驚いた。


「ミカ子ね!? また堕天使たのね!?」

「いや、ミカ子は、あっちで、せんべいを寝転がりながら食べてる。」

「本当だ。」


私は、ミカ子を指さし丁寧に説明してあげた。ラファ子もミカ子と違うということは納得してくれた。


「あなたは誰!?」

「私だよ、ウリ子だよ。」

「ウリ子!?」

「そうそう。」


ラファ子は、私がウリ子だと、分かってくれたみたいだ。


「どうしたの!? その姿は!? ウリ子が堕天使になってる!?」


ラファ子は、私の黒い天使の輪、黒い翼を見て驚いた。


「どうしてなったかは、分からないんだけど、ガブ子がどこにるか知らない?」

「知らない。そうね、ガブ子に天使に戻してもらいましょう。」


ガブ子は、堕天使になった者を、天使に戻すことができる。ちなみに、堕天使になった私は、罪を犯した天使を堕天使にすることができる。ハイスペックな堕天使なのだ。


「それにしてもウリ子、かなりイメージが変わったわね。」

「そう? 初めて堕天使になったから、自分では違いが分からないんだよね。」


こんなにカッコよくなるなら、もっと早くに堕天使ておけばよかった。


「私も堕天使になってみようかな?」


ラファ子も堕天使処女である。


「やめといた方がいいよ!?」

「なんで?」

「ラファ子は、天使の方が似合っているよ。」

「そうかな? そうだね。」


私は、必死にラファ子を止めた。俊敏なラファ子も見てみたいが、私が主役の今回、ラファ子に堕天されると、きっとラファ子に主役の座を奪われてしまう。どんなに堕天使になっても、私は、ウリ子なのだ。


「さあ、ガブ子を探しに行こう。ラファ子は、あっちね。」

「は~い。」


私と、ラファ子は、ガブ子を探しに出かけた。



「ああ! またミカ子が堕天使ている!」

「ガブ子か、せんべい食べる?」

「いらないわよ!」


ダラダラ堕天使のミカ子がせんべいを食べながら、お腹をかいているところに、ガブ子が現れた。


「はあ・・・ほっとく訳にもいかないか・・・。」

「別に堕天使のままでいいよ。せんべい、おいしいし。」

「ミカ子、天使になあれ!」


ガブ子は、光の魔法陣を描き、ミカ子の穢れを払い浄化していく。


「ハハハハハ! ミカ子! ふっか~つ! でかしたぞ! ガブ子!」

「あんた、なんで、いつも、そんなに、元気なの?」


ガブ子は、頭が痛くなる。


「大変だ! ウリ子が堕天使になっちゃったんだ!」

「なんですって!?」

「気をつけろ! 堕天したウリ子は、天使を堕天使にする能力があるんだ!」

「それは、厄介ね。さっさと見つけて、浄化しなくっちゃ!」


ミカ子とガブ子は、堕天使ウリ子を探しに行く。


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る