第47話 困った、ウリエル2
私の名前は、ウリエル。天使のはずだったのだが、神の剣を2本も手に入れるという欲張った罪を犯し、天使の輪っかは黒くなり、白い天使の羽は、カラスの羽のように、真っ黒に染まった。
「やった! 焔と光の二刀流! 私は、ミカ子よりも強くなったはず!」
浮かれている私は、まだ自分が堕天使になったことも気づかない。
「よし、ミカ子を見つけて決闘を挑もう! ミカ子に勝てば、私が前衛剣士だ!」
ウリ子は、黒い羽を広げて大空に飛び立つ。
サリエル。私が堕天使になった時の名前らしい。意味は、神の号令らしい。死を司る天使なのだ。神の意志を執行する司令官であり、回復魔法も使えるようになったようだ。最大の特徴は、邪視を持っている。見たものを動けなくさせたり、死に至らしめる。
「あれ!? 剣が大鎌になってる?」
いつの間にか、焔の剣と光の剣が大鎌に変わっていた。
「これでは、死神の大鎌ではないか!?」
私の任務は、霊魂の看守らしい。死者の魂を狩るとも言われている。
「これも・・・カッコイイ!」
私は、まだ自分が堕天使になったことに、気づいていない。なんて、カワイイ性格なんだ。
「ミカ子、見つけた!」
「おまえは誰だ!?」
「何を言っているんだ? 私だ、ウリ子だ。」
「ウソをつくな! 私の知っているウリ子は、堕天使じゃないぞ!?」
「え?」
私は、相変わらず、ミカ子は頭が悪いなと思いながら、自分を見た。
「おお!? 堕ちてる!?」
やっと自分が堕天使になっていることに気づいた。
「うわぁ!? どうしよう!?」
「私が知るか!?」
「ミカ子!? 友達だろう!?」
「私は天使だ! 堕天使の友達なんて、いないわ!」
「そんな!? 堕天使常習犯のくせに!?」
私は、なんとかしろ! っと、ミカ子に触る。
「だるい・・・やる気が無くなった・・・。」
奇跡が起こった。私が触るだけで、ミカ子を堕天使にすることができたのだ。ミカコの天使の輪は、黒に染まり、背中の羽は漆黒に染まった。
「すごい!? これが堕天使の力か!?」
私は、堕天使を初体験した。ミカ子の堕天使の堕落ぶりを見ていると、ダサいと思っていたが、自分が堕天使になると、こんなに魅力的な高スペックな堕天使になれたのだ。
「ウリ子、血の涙が出てるよ。」
「え?」
これは歓喜の涙なのか、私の涙は、真っ赤な血が流れていた。これだけミステリアスなキャラクターになれば、異世界ファンタジー好き男子だけでなく、婦女子ファンも宝塚歌劇団ファンも大喜びである。
「月がきれいだ。」
私は、堕天使になった自分に感激して、月を穏やかな気持ちで眺めていた。
「ウリ子、お茶と団子。」
「自分で用意しろ!」
なぜか、堕天したミカ子に憑りつかれていた。なぜか、ミカ子にお茶と団子を用意する私。
「肉体が滅びると、月に帰っていく、生死は月の霊力に支配されているか・・・。月なんか支配出来たら、カッコイイだろうな。」
私は、ふと、月にお願い事をしてしまった。
「ウリ子。なんか、来るよ?」
「え?」
ミカ子が月を指さす。月の光に照らされて、月から女の子が舞い降りてきた。
「私は、月の守り人のムーンです。」
いきなり現れた女の子は、自分のことを、月の守り人と言う。知っている人は知っている、「夜空のお星さま」の守り人シリーズの一人である。
「あなたは、月に憧れるカッコイイ堕天使なので、月の支配者に任命します。」
「月の支配者!?」
「これからも、よろしくお願いしますね。では、私は、ウサギとお餅を食べる約束がるので、さようなら。」
そういうと、月の守り人は、月の光に導かれ、月に帰っていった。色々な作品を書いていると、困った時に都合よく助っ人出場ができるのでうれしい。
「月の支配者になっちゃった。」
月は生命の誕生や死に密接に関係していたり、月は魔力を宿しているとされる。天使ウリエルの時は太陽を、堕天使サリエルの時は月を支配している。私の2面制がさらに私を魅力的にしている。
「ミカ子、そろそろガブ子を探して、天使に戻してもらおうか?」
「え~、探すのだるい。ウリ子、探してきてよ。」
「ウザい・・・。」
こうして、私の堕天使設定が完了したのだった。
つづく。
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