第19話 モグラ5
俺たちは、避難しているモグラたちの救出に成功した。しかし、天使ミカ子は、全身キノコまみれにされてしまつた。今、まさに正義の使いさまとキノコの戦いが始まろうとしていた。
「デビちゃん!」
「正義ちゃん!」
「正義の使いさま!」
俺、天使、モグラたちが、正義の使いさまに注目している。
「う・・・苦しい・・・。」
(うわぁ!? キノコ気持ち悪いな、さっさと、ミカ子、死んでくれ!)
小悪魔に小悪魔らしさが戻ってきた。
「は!?」
デビちゃんは、周りからの視線に気づいた。
(なんだ!? この感覚は!? 正義の使いさまなら、キノコを取り除き、天使さまを救ってくれるという、期待のまなざしだ!? こうなったら、開き直ってやるしかない!)
デビちゃんは覚悟を決めた。
「これより、モグラを救った天使の体から、キノコを除去します!」
「おお!」
周りのモグラが歓声をあげる。
(やりたくはないけど、仕方ない。)
デビちゃんは、倒れているミカ子に抱き着いた。そしてミカコの体に指で文字を書き始めた。
「魔王、プリンセス、魔女・・・「あの方」の設定は・・・」
その時だった。正義の使いの体に、アツアツの炎が走る。
「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」
正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。
「ゲフ~。」
これで15シリーズ連続の小悪魔の真っ黒焼きの完成である。こうして、ミカ子の体から、キノコがすべて消えた。
「すごい! 正義の使いさまだ!」
「さすが! 正義の使いさまだ!」
「奇跡だ! 正義の使いさまだ!」
デビちゃんの捨て身の行為は、モグラたちに奇跡を見せるとともに感動を与えた。
「み、みなさんが、助かってよかった。ゲフー。」
「どうして、自らを犠牲にして、そこまでのことができるんですか!?」
「正義の使いですから。(ウソ。)」
「おお! 正義の使いさまだ!」
「ありがたや! ありがたや!」
多くの者を騙したので、デビちゃんの体は急速に回復していく。真っ黒焦げから、普通の姿に戻ってく。
「復活!」
「おお! 奇跡だ!」
「真っ黒だったのに、元に戻った!?」
「正義の使いさま、万歳!」
「神々は、いつでも、みなさんを温かく見守ってくれていますよ。(ウソ。)」
「はは! 神様! ありがとうございます!」
いつしか、小悪魔のささやきは、本当に正義の使いとして、神々のささやきとしての効力を発揮し始めていた。
「正義ちゃん、すごい。」
「もう宗教のレベルだ。正義の使いから、奇跡の使いさまにすればいいのに。」
「俺、正義の使いさまの弟子でよかった。感動した。」
俺と天使も、正義の使いさまの活躍に感服していた。
「正義って、いいね。」
真っ黒焦げになっても、めげない、デビちゃんだった。
つづく。
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