第11話 「あの方」 第1刺客

ここは魔界のあるお部屋。そこに女性が1人。今時レトロだが、水晶玉で下界の様子を見ている。


「あなた! 何をやっているのよ! まさか天使なんかと、一緒にいるなんて!」


「あの方」は、水晶に写る俺を見て怒っていた。


「スーデビのヤツ!? なにが正義の使いよ!? 小悪魔のくせして!?」


もちろん、小悪魔のデビちゃんにも、怒っていた。スーデビとは、スモールデビルの略である。デビルと偽っている所が、小悪魔らしい。


「それにしても天使ミカエルに勝つなんて、さすがだわ~! キャ!」


俺がミカ子に勝ったことは、喜んでいるみたいだった。


「ここから出れないのが、しゃくに障る! ・・・そうだ!」


「あの方」は、この部屋から出れないようだ。しかし、何かを閃いたようだ。

闇の魔法陣を描き始めた。辺りで闇色の光が輝く。


「いでよ! ナイトメア!」


悪夢の精霊、ナイトメアを召喚した。


「お呼びでしょうか。」

「よく来た。ナイちゃん。」


ナイトメアなので、ナイちゃんである。


「地上で、デビちゃんが正義の使いと言って、天使に寝返ろうとしている!」

「なんですって!?」

「行って、あの小悪魔を懲らしめて来て。」

「小悪魔の分際で、正義の使いだなんて、ふざけてますね。」

「頼んだぞ!」

「お任せください。悪夢の世界に叩き落してやります!」


こうして「あの方」は、第1の刺客として、ナイトメアのナイちゃんを俺の元? いや正義の使いさまとして、絶好調の小悪魔のデビちゃんの元に送り込んだ。



俺は、そんなこととは知らずに、平和に暮らしていた。俺とデビちゃんは、学校に登校中である。


「やった!」

「デビちゃん、何をそんなに喜んでいるの?」

「今までの電撃ビリビリの件が無くなりました! これでもう、真っ黒焦げにならなくていいんだ! やった!」


デビちゃんは、この世の春を迎えて、喜んでいた。


「なんかショック・・・。」

「悲しまないで下さいよ。一緒に喜んでくださいよ。」

「お約束って、言いたかったのに・・・。」

「そこか!?」


とりあえず「あの方」も登場して、セリフがついたので、その件の分を「あの方」に当ててみた。


「おはようございます! 正義の使いさま! と神人間。」

「おはよう、みんな。」

「おはよう。正義ちゃん。神人間くん。」


教室にやってきたら、いつものように、天使4人組と挨拶を交わした。


「うわぁ!? 本当に小悪魔が天使と仲良くしている!? かゆ!」


その様子を見ていたナイトメアのナイちゃんは、今までに見たことの無い光景に衝撃を受けた。少し背中がかゆくなってきた。


「へえ、正義ちゃん、真っ黒焦げにならなくなったんだ、よかったね。」

「ありがとう、そうなんです。エヘヘ。」

「正義ちゃん、よかったね。」

「みんな、ありがとう。」


天使なのに、小悪魔が真っ黒焦げにならないことを祝ってくれる。優しい光景であった。正義に毒されたデビちゃんは、もう背中はかゆくなくなっていた。


「小悪魔として、あるまじき行為! 許せません!」


ナイトメアのナイちゃんは、闇の魔法陣を描く。


「悪夢の世界に行ってらっしゃい!」


闇の魔法陣から、悪夢が現れ、デビちゃんを襲う。


「危ない!」


ガブ子が異変に気がついた。飛んでくる悪夢に対し、光の魔法陣を描く。


「いでよ! バリア!」


光のバリアがあらわれて、みんなを包み込む。悪夢は、バリアに当たって消滅していく。それを見たデビちゃんは驚いた。


「こ、これは悪夢!?」

「その通りだ! 正義の使いさま!」

「ナイトメアのナイちゃん!?」

「デビちゃん久しぶりだな。」


俺たちの前にナイトメアが現れた。もちろん人間の顔と同じくらいの大きさである。デビちゃんたちと同じ大きさである。


「本当に天使と一緒にいるんだな。」

「ドキ!?」

「恥ずかしくはないのか?」

「結構、楽しいですよ。アハ。」

「ズコー!?」


小悪魔は天使との共同生活を楽しんでいた。それが悪夢の黒い精霊には理解できなかった。ズッコケもするが、背中がかゆくなる。


「「あの方」から聞いた時は驚きました。」

「な!? な!? なに!? 「あの方」がご存知なのですか!?」

「そうだよ。正義の使いさま。」

「ギャアアアア!?」


小悪魔は、「あの方」が知っていると聞いただけで、恐怖におののくのだ。


「デビちゃん、大丈夫?」

「「あの方」が知っている!? ああ! 神よ! お救い下さい!」


小悪魔は、神にお祈りする時点で、小悪魔失格である。


「残念だけど、それは無理だね。」

「どうして?」

「「あの方」の命令は、正義の使いさまの抹殺だからだ!(誤解。)」

「抹殺!?」


デビちゃんは、「あの方」なら、言いかねない、やりかねない、と絶望した。


「正義の使いさまを抹殺するだと!? みんな! 正義の使いさまを守るんだ!」

「おお!」


奇跡が起こった。小悪魔を天使が守るというのだ。


「おお! 神よ! デビちゃんを守るために、4人も天使を使わしてくれたのですね! ありがとうございます! 神々よ!」


周りには、正義の使いさまが、天界の神々と交信しているように見える。


「悪魔と思ったんだけど、悪魔に狙われるってことは、悪魔じゃない?」

「見ろ、天界の神々と会話されているぞ!」

「正義ちゃんを守るんだ!」

「俺も微力ながら戦うよ!」


みんなが正義の使いさまを守ろうと必死である。


「みんながデビちゃんのために戦ってくれる。正義の使いをやってて良かった。」


小悪魔は、みんなの友情に感動していた。


「「あの方」がデビちゃんの抹殺命令を出したということは、次々に刺客がやって来るはず!? こうなったら、正義の使いとして生きて、カワイイ天使たちに守ってもらうしかない!」


小悪魔は、悪魔のささやきを、自分にした。


「ハハハハハ! ナイトメア! ここに現れたのが失敗だったな!」

「なに!?」

「このミカ子の前に現れたのが、おまえの敗因だ! いくぞ!」


ミカ子は、ナイちゃんに襲い掛かる。剣を振り回し、攻撃する。


「うわぁ!? 危ない!?」

「でや! でや! でや!」


なんとか攻撃を避ける。そこへ、ウリ子が光と火の魔法陣を描く。


「いでよ! 神の光! 神の火! 悪夢を焼き払え!」


光と火がナイちゃんを襲う。


「うわぁ!? 焦げる!?」

「ああ!? 惜しい!?」


なんとか攻撃を避ける。そこへ、ガブ子が光の魔法陣を描く。


「回避できなくすればいいんでしょ! 光の重力! ナイトメアを拘束します!」


ナイトメアのナイちゃんを光の拘束具が、顔だけ出して全身を覆い、ナイちゃんは身動きが取れなくなり、地上に落下していく。


「うわぁ!? 落ちる!?」

「やりましたわ! フフフ!」


ドスン! と地面に落下したナイトメアに、ラファ子が乗りかかる。


「回復してあげますよ。ニタ。」

「ヒイイイイ!?」


ラファ子は、光の魔法陣を描く。


「正義ちゃんは守ります! 光の回復しまくり、エクスタシー!」

「ギャアアアア!?」


ラファ子は、ナイトメアに連続で回復魔法を打ち込みまくる。聖なる光の回復魔法は、黒の精霊ナイちゃんには、毒なのである。もしかしたら、1番怖いのはラファ子なのかもしれない。


「もう、やめて下さい!」


その時、正義の使いのデビちゃんが天使たちを止めた。


「ナイちゃんは、ただの使い魔です。ナイちゃんが悪い訳ではありません。」

「正義ちゃん・・・。」

「もう許してあげて下さい。」

「おお! なんと寛大なお心だ! さすが正義の使いさまだ!」


ミカ子は、正義の使いさまのお心に感服している。


「もう正義ちゃんを、いじめたりなんかしない?」

「ち、ちません。」


ラファ子の確認に、光の回復魔法を体内に注入されまくったナイちゃんは、良い子になっていた。こうしてナイちゃんは重力から解放された。


「デビちゃん、ごめんね。」

「いいよ、ナイちゃん。私たちは友達です。」

「デビちゃん! ウエエエン!」

「ナイちゃん! ウエエエン!」


2人は泣きながら抱きしめ合った。小悪魔が正義の使いさまなら、悪夢が天夢でもいいのか? 悪夢のナイトメアが天夢のナイトメアでもいいのかな?


「よかったね。デビちゃん。」

「はい。」


デビちゃんは、不思議そうに俺の顔を見つめる。


「どうしたの?」

「あなたはよく、恐ろしい「あの方」と一緒に・・・。」


その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。


「ゲフ~。」

「やった! 最後の最後で、お約束が復活だ!」

「もう・・・やだ・・・。」


これで11話連続の小悪魔の真っ黒焼きの完成である。


つづく。


あらすじ。


「おまえは何を忘れた?」。女性の声で夢から覚めた俺は、名前も、どうやって生きてきたのかも、全ての記憶を失っていた。そんな俺の前に、正義の使いが現れた。小悪魔のデビちゃんに騙されているとも知らずに・・・。「あの方」とは、いったい誰なのだろう!?


「自分の名前も思い出せないのか?」。サタン、俺の名前が決まった。正義の使いさまが、神々と交信をしてつけてくれたらしい。この正義の使いさまは、「あの方」のことを話そうとするとイカズチが降り、書こうとすると炎で燃える、そして人を騙すと傷が回復する。人を騙すことは、まさに! 悪魔のささやきだった!?


「私のことは覚えていないのか?」。学校に、転校生として転入した俺。記憶が無いので、分からないことだらけである。忘れ物が多い俺に、隣の席のカワイイ女の子がペンや消しゴムを貸してくれた。忘れ物も悪くはない!? しかし、この状況に正義の使いさまは、「あの方」がお怒りになると、気が気ではないのだった!?


「私を忘れたら、許さない!」。俺は、学校生活を楽しんでいた。俺の席の隣のカワイイ女の子、天使ラファエルのラファ子ちゃんがいるからだ。俺は、忘れ物を記憶喪失のせいにして、ラファ子ちゃんに近づくという。まさに! 悪魔も驚く、外道ぶりを発揮していた俺の前に、正義の使いさまが立ちはだかる!?


「あなたは、○○なのよ!」。まだ俺の記憶は戻らない。「あの方」についても謎。まさに、ミステリーである。ラファ子の友達のウリ子が現れて、正義の使いさまの正体を悪魔と見破った!? 正義の使いさまと天使ウリエルとの命をかけた戦いが繰り広げられる!?


「あなたがしたことは、思い出さないで。」。俺は、なにをしたというのだろう? 正義の使いさまは、呼びにくさから、正義ちゃんに改名。あくまでも、天使のラファ子とウリコに遊ばれる!? ガブ子とミカ子も名前だけ登場し、俺は、天使に囲まれた!? これを「あの方」が知ったら、怖すぎる!?


「早く、私に会いに来て。」。この物語は、元○○の俺と「あの方」の壮大なストーリーだったはず!? それなのに、小悪魔のデビちゃんを正義の使いさま化して遊ぶ方がおもしろいなんて!? ついに見た目まで正義に目覚めてしまった!?代わりに俺の存在が、ついに忘れ去られた!?


「おまえ、しばくぞ!」。俺が、かわいい天使4人とハレーム状態で「あの方」が怒っている!? ついに現れた最強の天使、ミカ子。ミカ子のウザさは、ウリ子を越え、他の天使も巻き込んでいく!? 俺の名前もサンタに変えられた。そんなミカ子を天使の使いさまは乗りこなしていく!? 恐るべし、正義のチカラ!?


「私より、天使の方がいいのね・・・クスン。」。「あの方」が泣いた。俺は通常生活のはずなのに!? かなり感情の起伏か喜怒哀楽が激しいらしい・・・。俺はついに、モンスターと戦うことになった。「あの方」との契約に基づき、俺は痛恨の一撃を繰り出す!? 俺は人間のはずなのに!?


「もうすぐ、会いに行くね。ウフ。」。ついに「あの方」が始動宣言。記憶を取り戻せない俺は、ウザいミカ子と決闘することに・・・。正義の使いさまは、俺の記憶が無いことをいいことに、神の剣、浮遊魔法を全て、神のおかげ(ウソ。)と言いまくる。少しづつだが、俺の性能が公開されてきた!?


ついに「あの方」が登場。俺のことを水晶玉で監視していた!? そして、小悪魔なのに、正義の使いさまとなって、調子に乗っているデビちゃんに、抹殺命令が下る!? 第1の刺客として、送り込まれたのは、悪夢のナイトメアのナイちゃん。デビちゃんは天使たちを悪魔のささやきでたぶらかし防衛する!?


終わる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る