第10話 ミカ子と戦う。

「もうすぐ、会いに行くね。ウフ。」


女性の声が聞こえる。


「ギャア!?」


俺は、その声で目を覚ました。夢の中の女神さまは、笑っていた。女神さまが笑っていたのは、初めてだった。しかし、記憶喪失なので、自分が何者なのか、分からない。


「今日は忘れ物はないでしょうね?」

「俺は、どこに記憶を忘れたんだろう?」

「お!? やっと自分のことを考え始めたんですね?」

「そうなんだ。自分のことが分からなさ過ぎて・・・。」


俺は、記憶をどこに置いてきた? 俺は、なぜ強いんだ? 「あの方」と契約? 俺は、いったい何を契約したんだ? まったく分からない。正義の使いの小悪魔のデビちゃんと一緒に、学校に向かっている。


「夢の中の女神さまが、「もうすぐ、会いに行くね。ウフ。」って、笑っていたんだ。」

「会いに来る!?」


正義の使いは、すごく慌てた。表情は恐怖に引きつっていた。


「ダメです!? 神よ! 哀れな、正義の使いをお救い下さい!


表情は恐怖に引きつっていた。手を合わせて神に救いを求める小悪魔


「もしもし? 「あの方」やってきたら、ダメなんですか?」

「もしも、天使と仲良く友達してることがバレたら、「あの方」に殺さ・・・。」


その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。


「ゲフ~。」

「ここまでが、お約束です。」


正義の使いは、本当は、小悪魔のデビちゃんなので、俺を欺いている、天罰が下っている。


「「あの方」に出てきてもらった方が、デビちゃんも、毎回のこの流れから脱出できると思うんだけど?」

「私も、私も辞めたいですよ!? でも! この件を楽しみにしてくれている人が、世界に1人くらいはいてくれるはず!? その人のためにも、「あの方」が登場されるまでは、この展開を辞めるわけにはいきません!」


この使命感は、もう小悪魔というより、正義の使いになりきっているデビちゃん。でも「あの方」が出てきたら、終わりなんだよね。


「おはよう、みんな。」

「おはよ・・・。」

「おはようございます、正義の使いさま。サンタくんも。」


教室には、4天使が揃っている。ラファ子の挨拶は、ミカ子の声にかき消された。


「サンタくん君、意外と強いんだね?」

「記憶喪失だから、よく分からないよ。」

「君、記憶を失う前は、何をしてたんだい?」


ミカ子は、俺に顔を近づけて、意味深げに問う。


「え?」

「記憶喪失の人間に聞いても無駄か・・・。だったら、私と勝負しないか?」


ミカ子は、俺と戦いたいと言っている。


「勝負!?」

「そう、君は人間にしては、なかなかの強さだ。認めよう。」

「それはどうも、ありがとう。」


俺は、流れでミカ子に頭を下げてしまった。


「君が記憶を失う前は、どれくらい強かったのか、見極めようではないか!」


あくまでも、話はミカ子ペースで進んで行くのであった。


「それは、すばらしい! 記憶を取り戻してくれたら、電撃地獄から解放されます!(ホント。) ぜひ、やりましょう!」

「デビちゃんまで・・・。」

「お褒めの言葉、正義の使いさま、ありがとうございます。」


ミカ子は、天使の使いさまの信者であった。


「もうすぐ、授業が始まるから、昼休みにしよう。」

「入場券を売ったら、儲かるかな?」

「ウリ子ちゃん、最低・・・。」

「ファンタジーらしくなってきたぞ!」


こうして、俺とウザい天使ミカ子との決闘が、昼休みに行われることになった。


「俺が天使と戦う? ただの人間の俺に天使と戦うことができるのだろうか?」

「心配ですか?」


俺の不安そうな顔を見て、デビちゃんが声をかけてくる。


「でも、勝負だから、勝ちたいな・・・だって、ミカ子がウザいんだもん!」

「ズコー!?」


ミカ子が勝って、調子に乗るのは、許せない!


「大丈夫ですよ。だって、あなたは、元○○なんですから?」

「その○○は、教えてくれないの?」

「○○の方が、オシャレです。」


まぁ、現状のタイトルでネタバレなんですけどね、ハハハ。



昼休みがやってきた。俺たちは運動場に集合した。


「さぁ! 勝負だ! サンタくん!」


ミカ子は、天使の剣を構える。


「俺には、剣がない?」

「大丈夫ですよ、正義の使いが、そなたに神の剣を授けよう!(ウソ。)」


天が裂け、神々しい神の光が地上に降り注ぐ。その光の中を1本の剣が、ゆっくりと降下してくる。


「なんだ!? あれは!? 神だとでも言うのか!?」

「悪魔じゃなかったのか!?」

「奇跡だ!? なんという輝き!?」

「すごい! 正義ちゃん!」


4天使は、剣が光の中を降りてくるのを、まるで神が天空を舞い降りているように見えている。天使であっても、奇跡の光景なのである。


「神の剣!?」

「どうぞ、お使いください。正義の使いからのサービスです。(ウソ。)」

「あ、ありがとうございます!」


俺は、自分の剣を持てた喜びと、しかも、その剣が神の剣ということで感激した。なぜか、初めて握る剣だが、俺にはぴったりだった。


(元々、あなたの剣です。本当は、あなたが魔界の魔王を倒すために、神から授かった剣ですが・・・まぁ、「あの方」と出会ってしまって、天界を裏切ったんですけどね。)


小悪魔のデビちゃんだけは、真相を知っている。


「勝負だ! ミカ子!」

「剣だけで勝った気になるなよ!」


神の剣は、俺に勇気を与えてくれた。なんだか、ミカ子に勝てる気がしてきた。


「がんばれ! サンタくん!」


3天使は、俺の応援をしてくれる。


「でや!」


ミカ子があらわれた。どうする? サンタくんの攻撃。ミカコは羽で上空に飛んで逃げる。


「残念でした。人間は空を飛ぶことはできないだろ? ワッハハハ!」

「クッ!」


俺は、自分が人間で空を飛べないことを悔しがる。


「仕方ないですね。正義の使いの私が、サービスで教えてあげましょう。(ウソ。)空が飛びたいと呪文を唱えて下さい。」

「空が飛びたい?」


俺は、神のように神々しい輝きを放ち、体が宙を浮いている。


「うわぁ!? う、浮いてる。」


驚く俺を見て、小悪魔は心の中でささやく。


(元々、あなたが浮遊魔法を使えただけなんですけどね。)


サンタが記憶喪失のなので、記憶を取り戻すまでは、すべて正義の使いの小悪魔の手柄になる。


「正義の使いさまは、なんでもできるんですね!」

「私は、正義の使いですから!(ウソ。)」


デビちゃんの正義の使いさまも板についてきた。


「あとは、ミカ子を目掛けて飛んで行きたいとイメージしてください。」

「ミカ子を切り刻みたい!」


俺は、心の中でイメージした。


「人間は、空は飛べない。これは、ファンタジーの常識だからね・・・え!?」


空を羽で飛んでいるミカ子の前に、サンタが現れた。ありえないのである、翼のない人間が、天使のように空を飛ぶなど。


「勝負あったな!」

「ええ!?」


俺は、ミカ子の首元に神の剣を当てる。油断していたミカ子は、一歩も動けない。


「サンタくんの勝ちだ!」

「ミカ子に勝っちゃった!?」

「しまった!? 賭けていれば、大穴、万馬券だったのに!?」


3天使も、この結果に驚いた。


「私の負けだ。素直に負けを認めよう。」


俺とミカ子は、剣を降ろした。上空から地上に降りてきた。


「サンタくんという、カワイイあだ名はやめよう!」

「え?」

「今から君の名は、神人間だ!」

「なに!?」


俺の名前は、サタン、サンタ、神人間になった。俺の本当の名前は!?


「おおっと!? 午後の授業を忘れる所だった。さらばだ! 神人間!」


颯爽とミカ子はグランドから校舎に入って行った。


「ミカ子・・・ウザい。」


俺と正義の使いと3天使は、思うことは一緒だった。


つづく。


あらすじ。


「おまえは何を忘れた?」。女性の声で夢から覚めた俺は、名前も、どうやって生きてきたのかも、全ての記憶を失っていた。そんな俺の前に、正義の使いが現れた。小悪魔のデビちゃんに騙されているとも知らずに・・・。「あの方」とは、いったい誰なのだろう!?


「自分の名前も思い出せないのか?」。サタン、俺の名前が決まった。正義の使いさまが、神々と交信をしてつけてくれたらしい。この正義の使いさまは、「あの方」のことを話そうとするとイカズチが降り、書こうとすると炎で燃える、そして人を騙すと傷が回復する。人を騙すことは、まさに! 悪魔のささやきだった!?


「私のことは覚えていないのか?」。学校に、転校生として転入した俺。記憶が無いので、分からないことだらけである。忘れ物が多い俺に、隣の席のカワイイ女の子がペンや消しゴムを貸してくれた。忘れ物も悪くはない!? しかし、この状況に正義の使いさまは、「あの方」がお怒りになると、気が気ではないのだった!?


「私を忘れたら、許さない!」。俺は、学校生活を楽しんでいた。俺の席の隣のカワイイ女の子、天使ラファエルのラファ子ちゃんがいるからだ。俺は、忘れ物を記憶喪失のせいにして、ラファ子ちゃんに近づくという。まさに! 悪魔も驚く、外道ぶりを発揮していた俺の前に、正義の使いさまが立ちはだかる!?


「あなたは、○○なのよ!」。まだ俺の記憶は戻らない。「あの方」についても謎。まさに、ミステリーである。ラファ子の友達のウリ子が現れて、正義の使いさまの正体を悪魔と見破った!? 正義の使いさまと天使ウリエルとの命をかけた戦いが繰り広げられる!?


「あなたがしたことは、思い出さないで。」。俺は、なにをしたというのだろう? 正義の使いさまは、呼びにくさから、正義ちゃんに改名。あくまでも、天使のラファ子とウリコに遊ばれる!? ガブ子とミカ子も名前だけ登場し、俺は、天使に囲まれた!? これを「あの方」が知ったら、怖すぎる!?


「早く、私に会いに来て。」。この物語は、元○○の俺と「あの方」の壮大なストーリーだったはず!? それなのに、小悪魔のデビちゃんを正義の使いさま化して遊ぶ方がおもしろいなんて!? ついに見た目まで正義に目覚めてしまった!?代わりに俺の存在が、ついに忘れ去られた!?


「おまえ、しばくぞ!」。俺が、かわいい天使4人とハレーム状態で「あの方」が怒っている!? ついに現れた最強の天使、ミカ子。ミカ子のウザさは、ウリ子を越え、他の天使も巻き込んでいく!? 俺の名前もサンタに変えられた。そんなミカ子を天使の使いさまは乗りこなしていく!? 恐るべし、正義のチカラ!?


「私より、天使の方がいいのね・・・クスン。」。「あの方」が泣いた。俺は通常生活のはずなのに!? かなり感情の起伏か喜怒哀楽が激しいらしい・・・。俺はついに、モンスターと戦うことになった。「あの方」との契約に基づき、俺は痛恨の一撃を繰り出す!? 俺は人間のはずなのに!?


「もうすぐ、会いに行くね。ウフ。」。ついに「あの方」が始動宣言。記憶を取り戻せない俺は、ウザいミカ子と決闘することに・・・。正義の使いさまは、俺の記憶が無いことをいいことに、神の剣、浮遊魔法を全て、神のおかげ(ウソ。)と言いまくる。少しづつだが、俺の性能が公開されてきた!?


終わる。

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