第9話 初陣
「私より、天使の方がいいのね・・・クスン。」
女性の声が聞こえる。
「ギャア!?」
俺は、その声で目を覚ました。夢の中の女神さまは、泣いていた。女神さまが涙を流していたのは、初めてだった。しかし、記憶喪失なので、自分が何者なのか、分からない。
「今日は忘れ物はないでしょうね?」
「俺よりも、デビちゃんの方が忘れものしそうなんだけど?」
「そうですか? 最近、自分の扱われ方がいいので、ニヤけます。ニタっ。」
「いいな・・・俺はサタンからサンタになっちゃったよ。」
「それも正義の思し召しです。」
正義の使いさまこと、小悪魔のデビちゃんは、完全に神と天使よりの子悪魔になってしまったのだ。俺は、正義の使いの小悪魔のデビちゃんと一緒に、はじまりの森に向かっている。
「夢の中の女神さまが、「私より、天使の方がいいのね・・・クスン。」って、泣いていたんだ。」
「泣いていた!? 「あの方」が涙を流すなんて!?」
正義の使いは、すごく慌てた。表情は恐怖に引きつっていた。
「鬼の目にも涙だ・・・!? ああ! 恐ろしや! 恐ろしや!」
表情は恐怖に引きつっていた。手を合わせて神に救いを求める小悪魔
「怒ったり泣いたり「あの方」って、何者なんですか?」
「天使にデレデレするのをやめなさい! 「あの方」が悲しんで・・・。」
その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。
「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」
正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。
「ゲフ~。」
「ここまでが、お約束です。」
正義の使いは、本当は、小悪魔のデビちゃんなので、俺を欺いている、天罰が下っている。
「もうキャラも増えたし、今回から戦闘も入ってくるわけだし、この展開は終わりにしましょうよ・・・。」
「辞めたら、ミカ子のウザいファンタジー物語が続くんだよ?」
「私は、ミカ子は大丈夫ですよ! 正義の使いですから!(ウソ。)」
「俺は、嫌だ!」
ウザいファンタジー物語。危険なキャラクターを投入してしまった・・・。当分の間、正義大好き! ミカ子の独壇場になりそうだ。「あの方」が登場することに期待しよう。
「おはようございます! 正義の使いさま!」
「おはよう、ミカ子。」
ミカ子は、正義の使いさまの忠実なるしもべ。
「おはよう、悪魔。」
「ドキ!?」
「こら! ガブ子! 正義の使いさまに対して、悪魔とはなんだ! 無礼だぞ!」
「はぁ・・・ミカ子、ウザい・・・。」
ガブ子は、正義の使いさまの正体に気づいているが、ミカ子がウザい。
「おはよう、天使の使いさま。」
「おはよう、ウリ子。」
「そうだ! すばらしいぞ! ウリ子!」
「天使の使いさまと言っていれば、ミカ子と絡まなくていいもんね。」
ウリ子は、ずる賢かった。
「おはよう、正義ちゃん。」
「こら! ラファ子! 正義の使いさまに対して、正義ちゃんとはなんだ! 失礼じゃないか!」
「だって・・・。」
「正義の使いさまとお呼びしろ! 天使として恥ずかしいと思わないのか!?」
「天使として、ミカ子が恥ずかしい・・・。」
ラファ子は緩いので、ミカ子のウザさには敵わない。
「私が許しました。」
「おお!? なんという心の広さ!? さすが正義の使いさまです!」
「正義は寛大である。(ウソ。)」
「ありがとうございます! 天使の使いさま!」
ミカ子は、正義に忠実なので、正義の使いさまが小悪魔だとは疑わない。
「よく来た! サンタくん!」
「・・・どうも。」
ミカ子は、威風堂々と待ち構えている。俺は「サタンです!」と言い返して、ミカコに巻き込まれるのを回避した。
「さぁ! 記憶を取り戻す冒険の始まりだ!」
「・・・おお。」
テンションが高いのは、ミカ子だけである。
「まず、冒険をする前に、サンタくんの実力を見せてもらおうか?」
「実力?」
「まぁ、記憶喪失だし、最初は、スライムかゴブリンでも倒してもらおうか。」
少しファンタジー物語らしくなってきた。ミカ子は、上から目線で、サンタくんは、弱いと思っている。
「先に言っておくが、私たち天使は、レベルという縛りは撤廃されている。それぞれがゲストキャラクターとして、神々から力を与えられている。」
レベル1からは、ゲーム化でもされたら、やってくれ。
「私は剣と裁きを司る天使。俗にいう前衛、戦士か勇者タイプだ! 私は、神から物事を裁くことを許されているのだ! 魔王でもドラゴンでも、なんでもかかってこい! 私が相手だ! ハハハハハッ!」
「ミカ子がラスボスで、よくない?」
「全力で倒そう!」
「おお!」
ミカ子は剣を抜き、剣を軽く振るい、剣技をアピールする。ミカ子基準で、物事を裁いていく。ミカ子の判決は、神の判決になる。恐ろしい・・・。
「次にガブ子。死者を甦らしたり、堕天使を浄化して天使に戻したり、町から町への移動、ダンジョンから脱出だったり、特殊な魔法が使える天使だ!」
「エッヘン。」
「偉そうなのが難点だ・・・。」
ガブ子は、聡明な天使で、物事の理解・対応が早い。
「次にウリ子。神から火と光を与えられた、超攻撃的魔法使いである。その分、回復はできないし、頭は悪い・・・。」
「おまえが言うな!」
ウリ子は、片手に光、もう片手に火を同時に出し、魔法力をアピールする。
「最後にラファ子。性格の緩さから癒して治す、回復専門の天使。おっとりし過ぎなのが、正義を感じない・・・。」
「正義は関係ないでしょう!?」
ラファ子は、いつもニコニコで何も考えていないので、癒される。
「我々、4人が4大天使だ!」
4人は、事前に決めてあったのか、決めポーズを決める。ミカ子以外は、恥ずかしくないポーズである。
「さぁ! サンタくん! 我々がついている! 恐れずに戦っておいで!」
「はぁ・・・。」
俺は、はじまりの森で、雑魚のスライムやゴブリンと戦うことになった。俺は、記憶が無いので、自分の強さという者が分からない。
「大丈夫ですよ、あなたは強いですよ。」
「俺が強い?」
「だって、あなたは「あの方」と契約されています。」
「契約? 俺は夢の女神さまと、どんな契約をしているの?」
「それはですね。あなたとあのか・・・は!? 危ない!? これ以上しゃべったら、真っ黒焦げになるところでした!?」
間一髪のところでデビちゃんは、NGワードを踏みとどまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーである。
「ち! 惜しかった。」
「惜しかったとはなんですか!?」
「ごめん、ごめん。」
俺は、自分の両手を見た。自分の強さに半信半疑なのである。
「そうですね、そこの小枝をスライムに投げてください。」
「小枝?」
俺は、騙されたような気持ちで小枝を拾い、そこら辺で昼寝をしているスライムに投げつけた。少し悪いと良心の呵責を感じた。
「スライムが昼寝をしている。どうする?」
「正義の使い(小悪魔)にささやかれ、小枝を拾い、スライムに投げた。」
「痛恨の一撃! スライムに999のダメージを与えた。」
「スライムを倒した。」
俺は、スライムを1撃で倒した。
「え、え~!? スライムを倒せた!?」
「すごい! サンタくん!」
「サンタって、強かったんだ!?」
「痛恨の一撃って、モンスターじゃないか!?」
「おお! さすがは、正義の使いさまの弟子だ!」
俺も4天使も、俺の強さに驚いた。
(そりゃ、そうですよ。強くて当然です。あなたは魔界の最深部まで、やってきた元○○なんですから・・・。)
デビちゃんだけは、俺の素性を知っているので、驚くことも無かった。
「あ!? 宿題するのを忘れた!? 帰ってやらなくっちゃ!?」
俺は、どんなに強かったとしても、忘れ物が多いのだ。
つづく。
あらすじ。
「おまえは何を忘れた?」。女性の声で夢から覚めた俺は、名前も、どうやって生きてきたのかも、全ての記憶を失っていた。そんな俺の前に、正義の使いが現れた。小悪魔のデビちゃんに騙されているとも知らずに・・・。「あの方」とは、いったい誰なのだろう!?
「自分の名前も思い出せないのか?」。サタン、俺の名前が決まった。正義の使いさまが、神々と交信をしてつけてくれたらしい。この正義の使いさまは、「あの方」のことを話そうとするとイカズチが降り、書こうとすると炎で燃える、そして人を騙すと傷が回復する。人を騙すことは、まさに! 悪魔のささやきだった!?
「私のことは覚えていないのか?」。学校に、転校生として転入した俺。記憶が無いので、分からないことだらけである。忘れ物が多い俺に、隣の席のカワイイ女の子がペンや消しゴムを貸してくれた。忘れ物も悪くはない!? しかし、この状況に正義の使いさまは、「あの方」がお怒りになると、気が気ではないのだった!?
「私を忘れたら、許さない!」。俺は、学校生活を楽しんでいた。俺の席の隣のカワイイ女の子、天使ラファエルのラファ子ちゃんがいるからだ。俺は、忘れ物を記憶喪失のせいにして、ラファ子ちゃんに近づくという。まさに! 悪魔も驚く、外道ぶりを発揮していた俺の前に、正義の使いさまが立ちはだかる!?
「あなたは、○○なのよ!」。まだ俺の記憶は戻らない。「あの方」についても謎。まさに、ミステリーである。ラファ子の友達のウリ子が現れて、正義の使いさまの正体を悪魔と見破った!? 正義の使いさまと天使ウリエルとの命をかけた戦いが繰り広げられる!?
「あなたがしたことは、思い出さないで。」。俺は、なにをしたというのだろう? 正義の使いさまは、呼びにくさから、正義ちゃんに改名。あくまでも、天使のラファ子とウリコに遊ばれる!? ガブ子とミカ子も名前だけ登場し、俺は、天使に囲まれた!? これを「あの方」が知ったら、怖すぎる!?
「早く、私に会いに来て。」。この物語は、元○○の俺と「あの方」の壮大なストーリーだったはず!? それなのに、小悪魔のデビちゃんを正義の使いさま化して遊ぶ方がおもしろいなんて!? ついに見た目まで正義に目覚めてしまった!?代わりに俺の存在が、ついに忘れ去られた!?
「おまえ、しばくぞ!」。俺が、かわいい天使4人とハレーム状態で「あの方」が怒っている!? ついに現れた最強の天使、ミカ子。ミカ子のウザさは、ウリ子を越え、他の天使も巻き込んでいく!? 俺の名前もサンタに変えられた。そんなミカ子を天使の使いさまは乗りこなしていく!? 恐るべし、正義のチカラ!?
「私より、天使の方がいいのね・・・クスン。」。「あの方」が泣いた。俺は通常生活のはずなのに!? かなり感情の起伏か喜怒哀楽が激しいらしい・・・。俺はついに、モンスターと戦うことになった。「あの方」との契約に基づき、俺は痛恨の一撃を繰り出す!? 俺は人間のはずなのに!?
終わる。
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