電子技術が進歩した近未来的な都市を舞台にしつつ、誰もが知る不思議の国のアリスのモチーフを上手く落とし込んだ良作。
機械仕掛けの無機質な世界観と、そこに生きる人々の暖かな生活感の両方が丁寧に描かれている。テンポ良く展開が進むのでスラスラ読み進められるところも素晴らしい。
難点といえば、とにかく登場人物が多いこと。それぞれ個性的で覚えにくいわけではないけれど、入れ替わり立ち替わり登場するので頭の中がごちゃごちゃになる。イラストがあれば良いのにとつくづく思わされた。
世界観もあいまって、これは書籍化よりもゲーム化が向いていそうな作品だと思う。埋もれているのが本当に惜しい。