浮気発覚

その日の夜。晩御飯を食べながら、おれは遥香に昼休みの出来事を報告していた。


「なるほど。それで柳に色々喋ったってわけね」


「いや、まぁその……うん、ごめん……でも、記事にはしないって言ってたし、大丈夫だと思う……」


「そうだといいけど……まぁ、一応、あたしからも念押ししておくか……」


はぁとため息を吐きながら、遥香は味噌汁をすすった。


悪いことはしてないのにはずなのに、責められてる感が半端ない……

やっぱり柳には何も言わない方が良かったのかな。でも、写真もらっちゃったしな……

これは無くさないようにしておこう。

額縁にでも入れておくか。

それかパスケースにでも入れて胸ポケットにでも閉まっておくか。でも、もし誰かに見られたら困るしな。保管方法については、後でゆっくり考えよう。


「そういや、修学旅行の写真は注文した?」


「あ、色々あって忘れてたな。明日もう一回見に行ってみるよ」


「じゃあ、あたしも付き合うわよ。あたしも注文してなかったし」


「え、あ、うん……」


今の口ぶりからして、てっきり注文してるもんだと思っていたが……

遥香のことだから忘れてたってことはないよな。となると、もしかして、おれと一緒に写真を選びたかったとか?

はは、まぁ都合よく考え過ぎかな。

でも、もしそう思ってくれてたなら嬉しいな。


「なんかニヤニヤしてるわね」


「え?し、してないだろ、別に」


遥香に指摘され、どもりながら、慌てて表情を引き締める。


「いや、ニヤニヤしてたわよ、絶対」


そう言いながらも、どこか嬉しそうに笑う遥香。

どうやら、おれの心の内はバレているようだな……


「ん?」


と、その時、リビングのテーブルの上に置いてある携帯が震え出した。誰かからメールが届いたようだ。


「誰だろ」


晩御飯は食べ終わっていたので、おれは料理の入っていた空の食器を台所に置くと携帯を手に取る。

メールの主は親父だった。そこには短文で「週末は空けておけよ」と書かれていた。


週末?それにしてもいきなりだな。まぁ特に予定はないけど。


「浮気だわ……」


「え?」


その言葉に咄嗟に後ろを振り返ると、思いっきり青ざめた表情の遥香がいた。


「彼女との会話を切り上げて、メールを見るなんて、これはもう浮気……」


「いや、浮気じゃないから!」


言いながら、身体を震わせる遥香。

早とちりっていうか、被害妄想がひどすぎる!

メールを見ただけで浮気ってどんな思考回路だよ!

心の中でツッコミつつ、おれは慌てて、遥香に親父から来たメールを見せ、何とか事なきを得たのだった。

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