告白
昼休み。
おれは遥香に予め、事情を説明していたので弁当を手に持ちながら、中庭へと急いだ。
果たして柳は一体、何を聞いてくるのだろうか……
おれは疑問を抱きながら、中庭へと着いた。
柳は既に中庭のベンチに座っており、ものすごい勢いで弁当を食べているように見えた。
なんで、あんな必死に弁当を……あ、喉に詰まったな。胸をどんどんと叩いているのが見えた。
「はぁはぁ……」
「もう少し、落ち着いて食えよ」
柳が座っているベンチの前に立ち、そう言う。
「いやいや、時間がないからね」
柳はゴクゴクと勢いよく紙パックのお茶を飲み干すと、弁当を綺麗に閉まった後、ペンとメモ帳をどこからともなく取り出した。
「さて、それじゃ聞かせてもらおうかな」
「あー、うん……」
おれはゆっくりとベンチに腰掛けた。
「あの、その前に1つ聞いていいか?」
「ん?」
「なんで、おれと遥香が付き合っていること知ってるんだ?」
「いや、雰囲気見てればわかるよ。前々からそういう感じはしてたけど、修学旅行中もさっき会った時もなんか2人の距離が近いなって。確信があったわけじゃないんだけどさ」
「そう……なのか」
色々見てるんだな、こいつ。まぁ観察眼はピカイチなんだろうな、副部長だし。それか、おれ達がわかりやすいだけなのかも……
「記事には実名を載せるのか?」
「え?いや、そんなことはしないよ。ただ、私の興味本位で聞きたいだけ。記事にはしないつもりだよ。今のところ。まぁ、もしネタに困った時があったりしたら、記事にしようかなと思ってるけど」
柳は笑いながら、そんなことを言ってくる。
おい、なんか最後に怪しいフレーズが出てきんだけど……
本当に大丈夫かな……
大きな不安を抱えながら、おれは柳の質問に応えることになるのだった。
「それじゃ、告白したのはどっちから?」
「ぶっ……!」
しかし、予想外というか、いきなりエンジン全開のその質問に、おれは口に入れたばかりのご飯を吐き出してしまう。
「い、いきなりかよ……」
「一番大切な所なんだから、そりゃ始めに聞くよ」
あっけらかんと言う柳。
「まぁ、その、おれからだよ……」
ものすごく恥ずかしくなりながら、小さな声でおれはそう答えた。
あ、でも、そのきっかけを作ったのは穂花なんだけど……って別にそのことは言わなくていいかな。
それより、あれだな。芸能人とかで記者に突撃で「付き合ってますか!?」って来られた人ってこういう気持ちで取材に応えてるのかな……
もし、そうだとしたらすごいメンタルの持ち主だな……
そんなことをついつい思ってしまいながら、昼休みは過ぎていくのだった。
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