番外編
「遥香ー、そろそろご飯できるけど……」
晩御飯が出来上がったので、一階から呼んでみるが、返事が無い。
仕方なく、部屋に上がり、呼びに来たのだが、遥香は気持ち良さそうにベッドの上で眠っていた。
身体に何もかけていなかったので、とりあえず布団を上からかけてやる。と、その時、手に持っている携帯に目が止まった。
「何かのゲームか……?」
携帯の画面にはどこかの部屋のようなものが映っていた。
これってもしかして、所謂乙女ゲーというやつでは……?
やったことないからわからんが、ギャルゲーにはこういう絵がよく映ってたりするし……
いけないとは思いつつ、遥香の手からゆっくりと携帯を取り上げてみる。
画面には何やら吹き出しや食べ物のアイコンがあった。
なんだこれ……?
気になってしまったおれはゆっくりと吹き出しのアイコンを触ってみる。
「ネコ……?」
すると、画面の奥の方からネコがこちら側に向かってやってきた。
種類はマンチカンか。かわいいな。
って、これはもしかしてネコの飼育ゲームなのか?
なるほど、現実では飼えないからゲームの中でってことか。
恐らく、これで遊びながら悶えているであろう遥香を想像すると、おれはそれに対して悶えそうになる。ってか可愛すぎるやないか。
「これは見なかったことにしておこう……」
そっと独り言を呟き、携帯を戻そうとした時、おれは画面のネコの上には表示されている文字に目が止まった。
そこにはネコの名前なのか「京一」と書かれていた。
そういえば、いつだったか風邪をひいた遥香を看病した時に京一って寝言を呟いていた時があったが、もしかしてこのネコのこと?
なんだって、京一なんて人間みたいな名前を付けたんだ……
もっとかわいらしい、ネコらしい名前があったろうに。タマとかミケとか。
指摘したいが、その事は言ってしまうと、なんでそんなこと知ってるのってなってしまうし、黙っているしかないのか……
もどかしい気持ちになりながら、おれは携帯をそっとベッドの上に置き、遥香を起こすのだった。
でもあの時、確かダメとかおかえりとかって言ってたのは全部ネコの行動のことだったってことだよな……
なんか安心したっていうか、ほっとした感じ……
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