副部長と王女
柳がおれ達の元から去っていってから、ひとまずトランプで遊ぶのを一旦やめ、そのままの流れで雑談することに。
「さっきのって新聞部の副部長さんだよね?意外と仲良いんだ?」
「副部長?」
穂花のその言葉におれは驚いた。
あいつ、副部長なんて肩書き持ってたのか?
何気にすごかったりするの?
そもそも活動してるところを、おれはほとんど見た事がないんだが。
「あれ?知らない?校内新聞とかで結構色んな記事載せてるよ。結構面白いって評判だけど……」
「ごめん。校内新聞なんて見たことないわ」
むしろ、どこで見れるんだよって感じなんだが。
それかどこかで配布してるのか?
もしくはぼっちには見えない加工の新聞だったりする?
もしそうなら、おれ泣いちゃう。
「それより、次は何する?」
おれの隣で軽快にトランプをシャッフルしていく遥香。
「って、まだやるのか……?」
ちょっと休ませてくれよ……
もう1時間以上、トランプで遊んでるぞ……
さすがに飽きてきたわ。
そもそも遥香が強すぎて、あんまり楽しめなかったし。
大富豪ではチート並みに毎回と言っていい程、ジョーカーを引き当てて、革命を起こそうとしたら革命返しされてしまうのが最早、当たり前になっていた。
多分、中世ヨーロッパとかで現実に革命起こしたとしても、あっさり鎮圧されるんだろうなぁとか無駄にシミジミ思ってしまったくらいだった。
「何よ、あたしとトランプするのが嫌だって言うの?」
遥香はどこぞの女王のようなセリフを放つ。
やばい、さっき思ってたことが早くも現実になってしまった。ここに王女誕生したわ。
というか、どんだけトランプやりたいんだよ。小学生か。
「あ、じゃあ気分変えてこれにする?」
すると、穂花がキャリーバッグから取り出した何かをおれ達に差し出してきた。
「これってウノ?」
「うん!トランプだけじゃ飽きるかなって思って、持ってきちゃった」
恥ずかしそうに笑う穂花。やばい、かわいい。
それに、今のこの状況からすれば、まさにナイスとしか言えない。
「よし、それじゃそっちにしましょうか」
気合い充分といった様子で遥香は穂花からウノの入った箱を受け取り、中からカードを取り出し、これまた軽快にシャッフルしていく。早くも気合十分といった様子。
さて、まぁこうなったらやるか。
しかし、トランプ以上に久々だからルールがいまいちわかんないな。
確か、残り一枚になったらウノ!って言わないとペナルティーでカードを8枚くらい引かないとダメなんだよな?あれ、12枚だっけ。やばい、忘れた。おれ、ピンチ。
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