出発当日
「んん……」
枕のそばに置いていた携帯のアラームが鳴り、それを手探りで探し、すぐに止める。
アラームが鳴ったということは、今は朝の7時。
いよいよ、待ちに待った修学旅行当日だ。
「よしっ、いくか」
気合いを一つ入れ、軽快にベッドから降りる。
昨日は早めにベッドに入ったので、おかげで睡眠はバッチリだった。ワクワクして眠れなかったなんて、遠足前の小学生のようには、ならなかったので良かったと一安心する。
階段を降り、リビングへ入り、いつものように朝食の準備に取り掛かる。
と、おれが冷蔵庫から食材を取り出している時に、リビングへ入るドアが開いた。
「おはよ……」
そこには髪がボサボサの遥香が。
眠そうに目をこすっている。
なんかこういう姿を見ると少し嬉しくなるな。
学校では完璧美少女がおれの前では、こういうだらしない姿を見せてくれるのが、なんというか少し優越感というか。気を許してくれてる感じがなんとも言えない。
「おはよう。なんか眠そうだな?」
「あー、うん。ちょっとね……」
少しばつが悪そうに目を逸らす遥香。これはあんまり聞いてほしくない話題みたいだな。
これ以上は聞かないでおくか。
「まだ時間あるし、もう少し寝てくるか?」
「いや、シャワーしてくるから大丈夫……」
おれと会話している間、ほとんど目を瞑ったままの遥香はそのまま背を向けてリビングから出ていった。
風呂場でうっかり寝ないといいが……
まぁもし寝てたら起こしに行くしかないよな……
べ、別にそうなったらいいな。なんて思ってないんだからね?!か、勘違いしないでよ!
心の中でツンデレしつつ、おれは朝食の準備を進めていく。
今日はトーストにベーコン、目玉焼きとサラダという、いつも通りのラインナップでいく。
程なくして朝食が出来上がり、2人分のコーヒーを淹れたところで再びリビングへ入るドアが開いた。
「いい匂いね」
そこには先ほどの姿はどこへやら。
すっかりいつも通りの制服を着た綺麗な姿の遥香が。
あ、綺麗っていうのはその見た目であって、あ、でも遥香が綺麗じゃないってわけじゃ……って、おれは誰に向かって言い訳してんだよ……
「ん、どうしたの?」
台所の前で固まってしまったおれは見て、遥香は首を傾げた。
「あ、いや、なんでもない。冷めないうちに食べるとするか」
「うん。そうしましょ」
そう返すと、おれは素早く配膳をし、2人向かい合う形でイスに座った後、おれは出来上がったばかりのトーストにかじりついた。
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