質問と真相
「「はっはっはっ!!」」
土曜日の夜の8時過ぎ。
下のリビングから2人の盛大な笑い声が響いてくる。
晩御飯の時からずっと賑やかだったが、かれこれ3時間はこんな感じの状態が続いている。
たまに京香さんも会話に加わっているようで、3人の笑い声や話し声が2階にいるおれの部屋まで聞こえてくる。
「楽しそうね」
「そうだな。久々に会ったみたいだから、色々話したいことがあるんだろうな」
遥香はおれの部屋に来て、ゴロゴロとベッドの上で買ったばかりのファッション誌を読みながら、口を開いた。
対するおれはイスに座って、遥香と向かい合う形で話しをしている。
というか年頃の女の子が男子のベッドの上で横になるっていいのかな……
おまけに服装がラフで、いちいち目線を晒す必要があるのだ。
まぁ本人が気にしないなら別にいいんだけど、なんかこっちが気にしてしまう。
「そういうあんたも久々に会ったんだから、話したいことあるんじゃないの?」
「いや、うーん、特にこれといってない……かな。メールではこまめに連絡してたからな。そもそも一緒に暮らしてた時から学校の事はあまり話さなかったし」
それはぼっちだから。とは言わないでおく。まぁ親父のことだからうっすら感じ取ってはいるとは思うけど。
「ふーん。そういうもんなのかしら」
「遥香だって、昌樹さんに学校であった事なんてわざわざ話さないだろ?」
「まぁ確かにそうね。そもそも向こうも仕事で忙しいからね」
言いながら、遥香はベッドからむくりと起き上がった。
「なんかお菓子取ってくる」
「ああ、いってらっしゃい。親父に何か聞かれたりするかもしれないけど、適当にあしらってくれ」
「おっけー」
軽く返事をしながら、遥香はおれの部屋から出て行き、階段を降り、リビングに向かった。そして、ものの数分で戻ってきたのだが。
「どうした、なんか顔赤くないか……?」
「き、気のせいよ……あと、この部屋クーラーあんまり効いてないし……」
ぎこちなく返事をしながら、遥香は持ってきたお菓子の封を開けながら、ベッドの上に腰を下ろした。かと思えば、何かに反応したようにすぐさま立ち上がる。
「ど、どうした?」
「いや、ご、ごめん。なんでもない……」
小さく呟いてから、遥香は再びベッドの上に腰を下ろし、ゆっくりお菓子を食べ始めた。
うーん、これは親父に何か聞かれたな。だってこの部屋、クーラーめっちゃ効いてるはずだし。何より、さっきから反応がおかしい。
しかし、遥香がこんなに過敏になるなんて一体、何を質問されたんだか……
とりあえず、後で親父にこっそり聞いてみるか。
だが、親父に何度聞いても特におかしな質問はしていないとのことだった。
その代わり、同じ場にいた昌樹さんと京香さんがやたらニヤニヤしていたのが、すごく気になった。
絶対に何か変な事、聞いたはずだと思うんだが……
おれはしばらくの間、気になりながらも、そのままで過ごすのだった。
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