青春

河川敷をブラブラと歩きながら、目ぼしい屋台を見つけてはそこで食料を調達していく。

ショッピングモールで遅い昼飯を食べたが、かなり量が少なかったので、空腹に身を任せ、持てるだけの食料を買い漁っているのだ。


「そんなに食べるの……?」


おれが両手に抱えている食べ物の袋を怪訝な表情で見つめる遥香。


「だって腹ペコなんだよ。それにお前だって少しは食べるだろ?」


言いながら、フランクフルトの棒にかじりつく。うん。やっぱ美味いな。これで300円は高いと思うが、まぁ良しとしよう。


「え?あ、うん……そうね。食べます……」


遥香はおずおずとおれの差し出した袋を受け取り、中に入っているたこ焼きを食べ始めた。


「どう?美味い?」


「うん。美味しい……なんで、屋台のたこ焼きとかってこんな美味しく感じるんだろ」


「雰囲気が最高の調味料ってことなんだよ、きっと」


「ふふ。そうかもしれないわね」


優しい笑みを浮かべながら、笑う遥香を見た瞬間、おれは何故だか、顔が赤くなってきたのを感じた。

それが夏の暑さによるものなのか、それとも別なものなのか、この時のおれはまだわからなかったが、おれは遥香に赤くなった顔を見られるのが嫌で慌ててそっぽを向いた。


「こ、これだけ人がいれば、クラスの奴とも会いそうだよな」


「あー、それがね。あんたは気づいてないかもしれないけど、何人かには会ってるのよ」


たまらず、苦笑する遥香。


「ってマジかよ……」


クラスメイトに気づかないとかどんだけ興味ないんだよ、おれ。それに向こうは気づいたとしても声かけないだろうな。しかし、遥香と2人きりでいるところを見られて、なんか余計なこと言われてそうだな……


「まぁ別に見られて困るような事をしてるわけじゃないから、隠れる必要もないしね」


「そ、そうか……」


あっけらかんとそう言う遥香を見て、おれは少し嬉しくなった。どうやら、おれの心配は杞憂だったみたいだ。


「それより、早く食べちゃいましょ。冷めちゃうから」


「あ、ああ、そうだな」


遥香に促され、おれはフランクフルトを素早く完食した後、先程買ったばかりのカステラをつまみながら、目に入ってくる屋台に立ち寄り、金魚すくいや、射的のゲームを楽しんでいく。中々上手くいかなかったが、それでも楽しく、おれは充実した、かけがえのない時間を過ごしていった。

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