詫びとサビ……抜き

「本当にいいの?買ってもらっちゃって」


店を出て、すぐに木ノ下がそう尋ねてきた。


「いいって。まぁなんていうか今までのお詫びを込めてというか……」


おれは少し照れ臭くなりながら、買ったばかりの袋を渡す。

おれは木ノ下が欲しがっていたぶちゃカワ猫のグッズをいくつか買い、それを木ノ下にプレゼントした。元々プレゼントするつもりはなかったが、グッズを見ている木ノ下を見ていると自然とそういう気持ちにさせられた。

何より、昨日の出来事の贖罪に少しでもなればと思ったのだ。


「そう。ありがとうね……」


木ノ下はおれが渡した袋を大事そうに両手で包み込むように抱きしめた。


その姿を見て、買ってよかったなと改めて感じる。

しかし、思いの外、グッズがあって木ノ下はどれにするか、かなり吟味していた。最終的にぬいぐるみキーチェーンとタオルとマグカップを選んでいたが、中々の長丁場になり、時刻はもう昼の12時前近くになっている。


「次はどこ行く?」


「そうだね。あんまり時間もないし、適当に行こうよ」


「了解。あ、服屋は勘弁してほしい。そういうセンス持ってないからさ」


「ふふ、わかったよ。じゃあ、来ヶ谷君が得意そうなものってなんだろうね?」


「げで始まって、んで終わるものだな」


「なるほど。ゲーセンなのね」


木ノ下はなるほどと言った感じで深く頷く。


「気づくの早すぎだろ……」


「私、こういうナゾナゾみたいなの得意なんだー」


今までの関係が嘘のようにおれと木ノ下は仲良く談笑しながら、ショッピングモールの中を歩いていくのだった。

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