ナイスタイミング
「どうするかな……」
とりあえず家を出たものの、そんな独り言を呟いてしまう。
というのも、木ノ下との待ち合わせまで、あと30分以上、時間があるのだ。
待ち合わせ場所は近くの駅に10時半に集合で、駅には角川家から10分足らずで着いてしまう位置にある。
今が9時40分過ぎなので、10時前には着いてしまう計算になる。
しかし今更、家に戻るなんてことは避けたいし、というか何をされるかわからないから、戻りたくないし……
まぁ仕方ないか。途中、飲み物でも買って駅のベンチで座って待っておこう。
おれは頭の中で考えがまとまると駅に向かって歩き出した。
そして9時55分に駅へと辿り着く。
もちろん、木ノ下はまだ来ていない。
おれは途中、コンビニで買った缶コーヒーを袋から取り出し、プルタブを開けると近くのベンチに腰掛けた。
しかし、こんな朝早くだってのに人が多いな。
コーヒーを飲みながら、行き交う人々に目を向ける。
梅雨の時期だが、今日は珍しく晴天だと天気予報では言っていた。その影響もあるのか、駅にはこれから出かけるであろう人が大勢いた。もちろん、リア充も。
その中でこれから、デートに行くんだろうなと思われるカップルらしき2人組が目についた。
そういや、おれと木ノ下もデートってことになんのかな。周りから見たら。
「……」
何気になく、ふと、そんなことを思った瞬間、顔が異常に熱くなっていくのを感じた。
いやいやいや!!そんなんじゃないだろ!!
これはただ、誘われただけっていうか、そもそもどこに行くのか、何をするのかも知らないし、その前におれと木ノ下は付き合ってないから!
頭を必死に左右に振り払い、グビッとコーヒーを一気に飲みする。
「あれ、来ヶ谷君?」
だが、突然の木ノ下が目の前に現れたため、おれは口に含んでいたコーヒーを盛大に吐き出してしまった。
タイミング良すぎか!!
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