ぼっちがリア充なんて
その日の夜。
いつも通り、二人揃っての晩御飯。ちなみに今日は簡単に親子丼にしてみた。
その席でリア充について、いくら考えても答えが出なかったおれは思い切って遥香に聞いてみることにした。
「なぁ、リア充ってなんだと思う?」
「何、いきなり?」
遥香は動かしていた箸を止めて、こちらに目を向けてきた。
「いや、今日、柳におれはリア充だと思うって言われてさ……」
「ふーん。よかったじゃん」
口ではよかったと言っているが、その割に言葉に心が篭ってないのがよくわかる。
「いや、良いとか悪いとかの前にリア充って彼氏、彼女がいるやつらのことを呼ぶものだと思ってたんだが、それって間違ってるか?」
「間違ってはいないと思うけど、プライベートが充実してる人のことをリア充って呼んだりもすると思うけど」
「プライベートが充実か……」
休みの日は安定の引きこもりで、たまに遥香柳と出かけたりしてるな。個人的には充実してると思うが、他人から見てもそうなのだろうか。
「まぁ別に気にしなくていいんじゃない?クラスでぼっちがリア充ってのもウケるけど」
「おい、ストレートに言うなよ。好きでぼっちなわけじゃねーよ……」
「ごめん、ごめん」
意地の悪い笑みを浮かべながら、遥香は使い終わった食器を流しに置いた後、リビングから出ていった。
気にするな……か。
それにしても、おれがリア充だなんて考えたこともなかったな。
って、それよりも明日の昼ごはんの材料がないじゃん。
今日買い物してくるの忘れちゃったし……
仕方ない、遥香の明日の昼は学食にしてもらおう。おれはコンビニでなんか買っていくか。
しかし、翌日の昼休み。
おれは予想外の展開に腰を抜かしそうになった。いや、失神しそうになっだと言うべきか。
「口に合わなかったらごめんね……」
そう言って差し出される黒の弁当箱。
なんと穂花がおれのために弁当を作ってきてくれたのだ。
やばい。これはもう、どう反応していいか分からない。
というか、穂花、健気すぎだろ……!
もしかして、もうおれはいつのまにか穂花ルートに入っているのか?
いや、まぁそれならそれで全然アリなんだけど……って違う、違う!
「な、なんで、おれが今日弁当ないってわかったんだ……?」
「あ、特に確信があったわけじゃないんだけど、昨日の夜、なんかこうした方がいい気がするって思って……」
「そ、そうか……」
穂花、テレパシーでも持ってんのかよ……
なんにせよ、これはこれで嬉しい。
誰かの手作り弁当なんて初めてだし……
しかも、それが穂花。やばい、まじで……
惚れてまうやろ!!
ってなんで関西弁だよ。っていうかこういうギャグ使う芸人さんいたよね。懐かしい。
ていうか、おれ、今日変だな……
いや、でも仕方ない。予想外の事態すぎて、もう頭が追いつかないんだから。
自分自身に激しく突っ込みながら、おれは穂花が作ってくれた弁当を食すのだった。
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