ぼっちだもん
翌日もその次の日も文化祭の準備のため、おれ達は遅くまで学校に残っていた。
クラスの出し物はホームルームで案を募ってみたが、中々これといって案は得られなかった。もちろん、話を切り出したのは遥香。
おれが言えるわけもなく。
ま、そんなことはわかってたけどね……
それに遥香とも相談したのだが、やはり飲食系は厳しいという結論に達していた。
しかし、早めに決めなければ、いつまで経っても先に進めない。さて、どうするべきかとおれは悩んでいた。
「というわけで、今日は各自でポスターの貼ってもらえる場所を確保してきてほしい」
そんな不安を抱えた中、放課後の多目的教室でインテリイケメンが全員に説明する。
どうやら、今日はポスター貼りの場所を探すらしい。各自に配られたのは美術部員が制作してくれたポスターだった。流行りに乗ってか、最近のアニメ風に仕上がっている。
てか、これ美術関係ないよね?
絶対PCで作ってるし……
各クラスの実行委員が出向く場所は予め割り振られており、おれと遥香は商店街担当だった。
「商店街までって結構遠いわね……」
校門を出た瞬間、遥香はため息混じりにそう呟いた。
「多分、この辺りだと一番遠い場所だと思うぞ」
「やっぱり……なんだって、私達が……」
「やっぱりそこはお前に期待してるんじゃないか?」
噂では遥香は上級生にも有名らしいし。
あくまで噂だが。確証はない。何故なら……って言わなくても分かるよね。ぼっちだもん。ふははは。
「一年生にそこまで期待されても、困るんだけど……」
遥香はがっくりと項垂れながら、とぼとぼと道を歩いていく。おれはそんな遥香の後ろをついて行くのだった。
そして、30分ほどかかってようやく商店街に着き、おれ達は二手に分かれた。
その中でおれはポスターを貼ってくれそうな飲食店を探しているのだが。
「……」
色々と歩き回ってみるが中々、飲食系の店がない。
ついこの間、来た時は空いていた店も今はシャッターが閉まっている。
平日の夕方なので休みという可能性もあるが、もしかしてこれは……
おれはある考えを想い巡らせながら、ゆっくりと道を歩いていると普段、来ないような路地に入ってしまった。
そこで小さなお好み焼き屋さんを見つけた。
こんなとこにこんな店あったのか……
初めて知った。
見るからに昔からあるような佇まい。
しかし、外から店内を覗いてみるが、中にはほとんどお客さんはいない。
やはりこれは……
と、その時、店から1人の男性が出てきたので、おれはその男性を掴まえ、先ほど考えていたことを思い切って聞いてみた。
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