解決策
夜。いつものように二人で晩御飯を食べる。
もちろん、対角線状に座って。
ちなみに今日はシチューを作ってみた。
最近寒くなってきたから、そろそろ暖かいものが美味くなる季節になってきたな。
「なぁ」
シチューを食べている途中、おれは遥香に話しかけた。
もちろん、それはおれ達のことが噂になっていて、これからどうするかを相談するためだ。
「何?」
遥香はシチューをちょうど食べ終え、スプーンを皿の中に置く。
「おれ達のことが噂になってるらしい」
「噂ってなによ?」
「同じ家に住んでるって噂」
「……はぁ!?なに、それ!?っていうか誰にバレたのよ!?」
信じられないといった様子で遥香は大きく声を上げる。
「わかんねーよ。おれだって今日昼休みに柳ってやつから聞いたんだから」
「柳って、あの新聞部の?あー、もう……やっかいな奴に目をつけられたもんね……」
気が抜けたように額に手を当て、がくっと項垂れる遥香。
「やっかいな奴って知ってんのか?」
なるほど。新聞部だから、おれに話を聞きに来たってわけか。
それにしてもどこから一緒に住んでるなんて噂が広まったのか、個人的にはそっちの方が気になるが。
「知ってるわよ。常に学校のゴシップを追っかけてるやっかいなやつ。噂では先生も記事のターゲットにしてるらしいわよ」
「まじかよ」
先生もって、すげーな。よくわからんけど、なんかすげー気がするわ。よくわからんけど。
「このままじゃ、私らのことが広まるのも時間の問題かも……」
言いながら、遥香はため息を1つ吐く。
「ああ。早めに手を打った方がいいと思う」
「実は兄妹でしたとかは?」
「いや、無理があるだろ」
どこのフィクションの設定だよ……
もしかしてこいつ、意外にそういうの好きなのかな。
「じゃあ、他になんかいい案あんの?」
即座に否定され、むすっとふてくされる遥香。
子供かお前は。まぁその仕草はかわいいけどな。
「おれの親父が蒸発したとか?」
「なんかリアルで嫌!ていうか、そんな言い訳するなら素直に本当のこと言った方がマシだと思うんだけど……」
「そっか……」
「いや、なんで少し悲しそうなのよ!?」
結構自信あったんだけどな……
「とにかく下手にごまかすより、本当のこと言った方がいいと思うわ」
「そうだな。明日会ったら言ってみるか」
この時、おれはこの件が楽に片付くと思っていたが、そう簡単にいくはずがなかった。
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