第10話 ルール無用の脱衣麻雀
今日はなんか凄い寒い。
急に雪降ってきたので、天守閣はしっかり襖を閉めて、完全防寒でお送りしています。
「昨日まで暖かかったのに……」
「今日は冬だね」
「今日は!? 明日どうなるんだよ!」
「今日から、数日は、冬」
「数日でどうにかなるんかい」
なんと暖房がある。こたつもあるので全員集合。最新式どころか未来の技術。
オーダバトラーに勝ったのと、宇宙忍者に勝った分で科学力が上がっているのだ。
「鍋をするよ!」
「急だな」
「今日は、ノブナガファイト、おやすみ」
「では、正義の鍋を開始いたしましょう」
久々登場イエヤスさん。鍋か、いいじゃないか。腹も減ってきた。
「具をゲームで決めてみよう」
「断る。普通に食うぞ。食い物を粗末にするな」
「勇刀が正論で返してきた……厳しい言葉が突き刺さるよ」
「正義の刃ですね。勇刀様の性技の刃。そう考えると卑猥ですね」
「考えなければいい話ですよね?」
全力で正義と性技を成そうとする姿勢が怖い。
「具材を、選ぼう、なにがある?」
「鶏肉。豆腐。白菜。春菊。つみれ。ここまで確定です」
「充分だろ。逆にあとなにがいるんだ?」
「たらと鮭があるねえ。ついでにネギ入れておこう」
「出汁は?」
「昆布を少々。あとは具材が味を育てます。部下に任せましょう」
完璧だ。鍋係の兵士さんが三名、こたつから少し離れた位置で作り始めた。
「さて、鍋ができるまで、こたつから動きたくはない。そこでだ、大脱衣麻雀大会を開催する!」
一瞬でこたつの上が麻雀卓になった。まあこれくらいは普通だな。
「ルールわかるのか?」
「いいや全然」
「だめじゃねえか!?」
「ヒデヨシも、知らない」
「私も知りません」
「おいおい、俺も知らないぞ」
つまり誰も知らない。この大会は早くも終了ですね。
「よーし手探りでやろう!」
「まず全自動卓だ」
「凄い薄いけどな」
「未来のワープとか、ホログラフとか、そのへんだと、言い張れ」
「言い張れ!? 俺がか!? まあなんか凄い技術でできるんだろ」
下はこたつなのに、薄いテーブル一枚で勝手に麻雀牌が出て来る。
気にしたら負けだな。
「ご飯が、近いから、おやつはなし」
「そういやないな。鍋が食えなくなるからそれでいいか」
「ヒデヨシの、貴重な、出番」
「はいはい麻雀するよ。まず、自分のところに十三枚くらい持ってきたね」
「これを手牌というらしいな」
十三枚だっけ? 何枚取ればいいのかわからん。
「ドラというものは、どうやって決めるのでしょう?」
「適当にどっかから引くんだろ?」
「じゃあ、山から一枚、とる」
一枚取ってきたのは白い牌。なんだこれ不良品か?
「あれじゃないかな。なんにでもしていいタイプの」
「ああ、ジョーカー的な?」
「なるほど。流石はお館様です」
「で、ドラってなんだ? それと同じ牌を引けばいいのか?」
「引いて、どうなるの?」
「点数が上がるんだろ」
「何点上がるのですか?」
やばい。思った以上に進まない。なんだこれ。なんでこんなに複雑なんだよ。
「圧倒的にルールめんどくさいなこれ」
「やってて楽しいのかいこれ」
「とりあえず一度通しでやりましょうか」
全員で目の前の山から一枚取る。
「なんか中って書いてあるな」
「中くらいのパワーなのかな?」
「あ、私白です! ドラですね!」
「ヒデヨシも、白いの」
「我も白だ」
俺だけ中か。あら? これまずいんじゃね?
「これは……勇刀が脱ぐことになるね」
「待て待て待て。中より白が強いかどうかなんてわからないだろう」
「でも白は、ドラ」
「ですね。ドラは一番強いはずです」
しくじった。っていうか運がいいなみんな。
女体化していても戦国武将。それも教科書にのる偉人。
そのカリスマと豪運は健在か。
「別にいいんだよ? 中が強いというのなら、我らが一枚脱いでも」
「ではまず下着から」
「待った! なぜ下着から?」
「強いて言えば興奮するからです」
すげえ澄んだ目で言われた。もうなんなんこの人。
「勇刀は特別ルールとして、我らの下着は被ってもらう」
「なぜに!?」
「戦利品は、しっかりと、堪能して、欲しい」
「もういい。俺が脱げばいいだけだ!」
上着を一枚脱ぐ。中に来ているシャツとズボン。靴下とパンツだけか。
これで戦えるんだろうか。
「…………ん? これ結局ノブナガは脱いでもいいんだよな?」
「私はむしろ脱ぎたいです。殿方が女性の下着をどう楽しむのか、見るいい機会ですし」
「イエヤスさんちょっと黙ってて」
「いまさら、なに?」
「これ損するの俺だけなんじゃ?」
こいつらは脱いでも問題ない。脱ぎたがりもいる。
俺は勝っても負けても得しない。
「さ、続けようか皆の衆!」
「正義のため、参ります!」
「ごーごー」
「待てや! 結局俺だけ……」
そして現れる並び直された牌。あーあーどうするんだよこれ。
「どら、めくるよー」
今回は丸い模様が七個。なんだろうこれ。
「とりあえずこれを引けばいいんだね」
「……あっ、俺二枚ある」
手牌にもう二枚入っていた。妙なところで運がいいな。
「二枚か。どうやっても勇刀の勝ちだね」
「ラッキー、チェリー、ボーイ」
「チェリーとか言うなや」
「この場合は私とお館様とヒデヨシですね。はい、勇刀様。どうぞ」
普通の顔してしれっとパンツを渡してくるイエヤスさん。
いつ脱いだんですか。なんか暖かいですよ。
「もうちょい躊躇しましょうって!!」
「ほう、イエヤスは白か」
「はい。正義といえば純白。よって下着も白です」
「こんなんもらっても……」
「そうだね。もらっただけじゃ足りないね」
いや、もらいたくないんだけど。凄く気まずいんで。
今後の付き合い方にがっつり支障でるんですけど。
「勇刀が、下着を使うから、五分……三分休憩」
「おいなんで時間縮めた?」
「若いんだから三分くらいで使いきれるだろう?」
「どういう意味だこの野郎!?」
「勇刀様、お手伝いしましょうか?」
「いらんわ!! いいから勝負に戻るぞ!」
こうなりゃさっさと終わらせよう。やってられるか。
「ヒデヨシは、上着全部」
「はいじゃあ我は鎧全部。これで勇刀のシャツと下着だけだ」
「なんで着てんだよ!? ああもうこれ長くなるだろ。鍋が食えなくなるぞ」
「ではこうしよう。全員残り残機三個。三回で絶対に全部脱ぐ」
「いいだろう。ちゃっちゃと終わらせて、普通に鍋食ってやるからな!」
次のドラは緑色のなにかが四個書いてある。
手牌になかったので、全員山から一個取って。
「今回は出ないな」
「ではもう一回だ」
もう一回引いてヒデヨシがゲット。
「じゃあ、勇刀が全部脱ぐ」
「ルール変わってる!? 名指しとかじゃないだろ!」
「ではヒデヨシ以外脱ごう」
普通にパンツから脱ぐノブナガ。水色のしましまだった。
俺はシャツ。イエヤスさんは和服なんで上全部。
もうブラジャーだけですよイエヤスさん。
「ちょっと、トイレ」
ここでヒデヨシが退出し、休憩タイム。
落ち着くとなにやってんだ俺……という気持ちが強くなる。
「ここで朗報だ。こたつというものは基本的に密閉されている」
「それがどうした?」
「つまり。下着を脱いだ我らの匂いが直接こもる」
「どうあっても俺を変態にするつもりか……」
「今は休憩時間です。顔を突っ込んでも誰も止めませんよ」
「止めましょう。せめて止めましょう」
二人が俺の上半身を凝視している。そんなに俺の裸が見たいか。
ヒデヨシー! 早く来てくれー!
「勇刀に、呼ばれた、気がした」
「おかえり。はやかったね」
「急いだ。勇刀に、朗報」
「なんだよ? どうせろくでもないだろ?」
このタイミングで俺に朗報など、あろうはずがございません。
「ヒデヨシが、あげる下着は、トイレに行った、あとの下着」
「ん? 本当によくわからん。つまりなんだ?」
「勇刀が喜ぶと、思って、ちょっと雑に拭いた」
「なるほど、勇刀が興奮間違い無しだね!」
「うん、ヒデヨシは、気配りのできる子」
「なんて素晴らしい愛……感動しました……」
イエヤスさんがなにやら感動している。
なるほど。雑に拭くことでパンツにまた別の種類の染みができるわけか。
「お前ら俺を何だと思っていやがる!!」
「いやあ年頃の男性ならそういうものさ」
「違うわ!!」
「いっそ同行してトイレを我らが、その横で下着を勇刀が使えばいいよ」
「ど変態か!?」
そのプレイは難易度が高すぎませんか?
いくら年頃の男性でも躊躇すると思うよ。
「終われ……次で終われ……」
次のドラは緑色の発と書いてあるもの。
なにが発なんだろう? 出発? 発動?
「あ、私に三枚あります!」
イエヤスさん一人勝ち。流石戦国の勝者。
残りブラ一枚からの逆転である。
「三枚取られちゃあ、二枚は脱がないとね」
全裸になるノブナガとヒデヨシ。できる限り直視しないようにしよう。
「ヒデヨシはなんで全部脱いだ!?」
ヒデヨシはいつかと同じ黒下着。ちょっとデザインが違う気がする。
黒が好きなんだろうか。何種類もあるのかも。
「服と、下着で、二枚」
「せめて下着は上下で分けろよ!」
「じゃあ、下から」
「普通は上からだ! 下は履け!」
「せっかく、脱いで、あげたのに」
「いいじゃないかヒデヨシ。その方が下着に匂いがつくよ」
「頑張って、つける」
頑張らないでください。渋々パンツを履くヒデヨシ。
お前ら恥じらいとか持てや。
「さ、我は全部脱いだんだよ。勇刀も脱ぐべきだね?」
「…………気付かれたか」
そう、俺も二枚しか残っていない。全裸になるわけだが。
いやめっちゃ恥ずかしい! マジで? マジで脱ぐの?
「みんな脱いでいますから。なんなら私が手伝います」
「結構です……ええいやるしかない! こたつに潜るの禁止な!」
まずズボンを脱ぐ。ここまではまあいい。トランクスだけでもまあマシ。
そこからこたつの中で、絶対に見えないように脱ぐ。
「さっきから俺の下着を引っ張っている人がいます」
「ヒデヨシは、違う」
「我もだ。直接勇刀が欲しいからね」
「そう、私です。ワタシは勇刀様も下着も欲しいのです。ありがとうございます」
「あげてませんよ!?」
俺の下着をしっかりとその胸に抱くイエヤスさん。
こいつら全員変態か。しんどいわ。
「結局勝者はイエヤスとヒデヨシか。意外だねえ」
「そろそろ、鍋が、できる」
「じゃあ記念にこのまま食べようか!」
「すぐ着たら罰ゲームになりません。食べ終わるまではこのままでいましょう」
「我らの下着は勇刀にあげるからね」
「ほいほい男に下着とかやるなよ!?」
「勇刀だからさ。他の男にこんなことはしないよ」
頷くヒデヨシとイエヤスさん。違うタイミングで言って欲しかったわ。
「よし、じゃあこうしよう。全員分の下着を勇刀がお風呂に入っている間に届けておく。返さないで欲しい。誰かに渡したりもダメだ」
「けど、下着を、どうしたかは、絶対に、聞かない」
「思う存分堪能してください」
「なんだその意味のわからん提案は」
「はい鍋ができたよ。麻雀終了。みんなでいただこうか」
こうして乳が揺れている状況で、自分の股間を気にしながら鍋を食うという、完全に頭がおかしくなる状況が完成した。
「いやまあ鍋は美味いんだけどさ」
「ならいいじゃないか。次はちゃんと股間までしっかり見せておくれよ?」
「絶対に嫌」
まあ鍋は本当に美味しかったです。
ちなみにマジで下着が枕元においてあった。
どうするか数時間悩みましたとさ。
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