第3話 ノブナガと義兄弟の誓い
観念して身体測定をしよう。女の子の体を計る。医者意外がやると変態行為だよね。
「私の、身体測定を、する、早く」
「なんでヒデヨシからなんだ?」
「お館様はもう、こねくり回された、次は私の番」
「いいだろうヒデヨシに譲る」
頑張るのは俺の方だと思うよ。おっきくなるの我慢的な意味で。
「準備、できた、バッチこい」
いつの間にか手枷をつけて下着姿のまましゃがみこんでいるヒデヨシ。
「お前その手錠みたいなんどうした?」
「いざ尋常に、勝負」
「いやその格好は勝負に負けた後だろ」
「拘束された、武将プレイ、くっ殺せ」
「身体測定に殺しの要素ねえよ!」
横でノブナガが爆笑している。この場面じゃあてにならん。
「我の時は追加で軽く言葉攻めするコースでお願いする」
「ねえんだよそんなコースは!」
「なければ、作ればいい、そうして人は生活を、豊かにしてきた」
「その格好は決して豊かな生活には見えないな」
「抵抗できない私に、勇刀の過酷な、身体測定の魔の手が、襲いかかるっ……!」
「過酷な身体測定の意味がわからん」
「過酷でこそ、興奮する、すごく」
どうしてド変態は発生するんだろう……コレガワカラナイ。
「これがメジャー、長さを図ったりできる」
「知ってるわ! 俺のこと馬鹿だと思ってるだろ!」
「思ってない、だから……くしゅん!」
「あーあー身体が冷えてるだろ。今度してやるから服を着ろ。暖かくしなさい」
「風邪をひいては元も子もない。ヒデヨシ、勇刀は逃げないよ。今日は体のことを考えて……」
正直逃げたいけどね。心のBボタンは押しっぱなしよ。いつでもダッシュできるぜ。
「みんなでお風呂に入ろうじゃないか!!」
そして三人で風呂に入っている。豪勢な露天風呂だ。
いやもう温泉とか露天風呂とか大好きだよ。
「おおおぉぉぉぉ…………最高だな! 初めて織田軍入ってよかったと思ったよ!!」
「喜んでくれたようで我も嬉しいぞ。これから毎日一緒に入れることに咽び泣いてくれ」
「お風呂好き、お風呂とは、心の洗濯」
「いいこと言った。今ヒデヨシはいいこと言ったぞ」
全員タオルは頭に乗せている。お湯につけるなど認めん。
これに関しては裸体などどうでもいい。
まず風呂を堪能する。そのためには女体への邪念などいらん。
そんなんクソだ。犬にでも食わせろ。
しかしノブナガは胸もあるし、尻が安産型で好みだ。
ウエスト締まってるし、スタイルの良さと顔の良さが合わさって最強に見える。
「よし、勇刀、髪洗って」
「よしじゃねえ、自分でやれ」
「勇刀、はやく」
すでに椅子に座ってスタンバっているヒデヨシ。シャンプーハットが無駄に似合うな。
中学一年生くらいで出る所が出ていないすっきりした体だ。
これで強いとかどうなってんだろう。
「これも親睦を深めるためには大切さ。我等は一緒に天下統一を目指して乳繰り合う仲ではないか」
「天下統一の手段がセクハラってどうなんだろうな」
「勝てば、官軍、どうでもいい」
「気にするな勇刀。こちらが選んだんだ。君に責任はない」
「そう言ってもらえると助かる」
どうやっても触らないと勝てないなら、せめてノブナガ達の負担を少しでも減らしたい。
「ちなみにウチは全員女性だ。よかったな勇刀。ハーレムだぞ。入れ食いだ」
「食わねえよ。マジで男一人?」
「マジ、全部の施設に、勇刀は入り放題、身体測定、はかどる?」
「いや入ったら嫌われるだろ。共同生活気まずくなるじゃねえかよ」
「なあに、勇刀が二、三回撫で回せば手籠めにできるさ。ニコっと笑ってポンポン撫でろ」
「俺はどこの主人公様なんだよ」
そんなスキルもってねえよ。むしろ笑ったり撫でるだけで惚れられるとか……すげえ注意して生活しないといけないだろ。日常生活に支障でそうじゃん。
「勇刀、手が止まってる」
「ああ、悪いな。こうか?」
ヒデヨシの頭をわしゃわしゃ洗ってやる。シャンプーが普通にある。
俺の家より種類も豊富で多分値段も上だろう。こいつら金持ってんだな。
「しかし信長の城にこんな豪勢な風呂があるとはなあ。これ天然温泉だろ?」
「ほう、わかるのか。何も元からあったわけじゃない。勝ち取ったのさ。超高級温泉旅館『関ヶ原』の織田信美からね」
「おだのぶみ?」
「温泉宿の女将、ノブナガファイトは、勝つと負けた側の城を、吸収して、融合できる」
「なんじゃそら」
「だから超高級温泉旅館を我が城と融合させたのさ。最高だろう?」
さすが異世界。常識が通用しないぜ。
「むっちゃくちゃだなあ。ってことはさっきの宇宙海賊も?」
「そうだな。天守閣を宇宙船にして、一ヶ月くらいなら旅ができるようにするか」
「勝手気ままな、宇宙の旅、密室で、男一人、女二人、犯ることは一つ」
「犯るわけねえだろ。はいシャンプー終わり! この話も終わり!」
ここで下ネタの連鎖を断ち切ろう。シモネタばかりだと意識が下に行く。
今更ノブナガの体を意識してしまうじゃないか。
「それじゃあ二人とも、こっちにおいで」
手招きするノブナガの元へホイホイと行ってしまう俺達。
湯船に浸かると手渡されるおちょこ。
「なんだこれ? 匂いからして酒か?」
「その通りさ。安心するがいい。この世界に酒に関する法律はない」
「では、これから、お館様と、ヒデヨシと、勇刀による」
「義兄妹の契りを始める!!」
おちょこを天に掲げる二人。俺もマネしてみる。
「我ら三人、姓は違えども! えー同年、同月、同日に生まれることを得ずとも!」
「おいこれ三国志だろ!! 信長関係ねえじゃねえか!」
「願わくば、同年、同月、同日に、死せん事を、願う、だっけ?」
「今この時より我等は家族だ! ともに生き、共に笑い、共に泣こう! 乾杯!!」
「かんぱーい」
「……乾杯」
おちょこを三つ、軽く合わせてから一気に飲み干す。初めて飲んだけど酒ってそんなうまくないな。
「ふふっ、これでもう離れることはないぞ勇刀」
「勇刀も、ずっと一緒」
「そうか、悪くないな」
「おやおや義兄様は素直ではないな」
「うっせ……おにいさま?」
何で俺が兄なんだ? 信長が一番上じゃないのか?
「勇刀は高校二年生だろう? そちらの世界で言えば、我は高校一年生だ」
「と、年下!? マジか!?」
完全に三つは上だと思っていた。貫禄というかカリスマというか。
ノブナガはやはりノブナガなんだろう。人の上に立つ器があるということか。
「やれやれ、そのくらい見抜けんとは……難儀な兄様だ。そう思わんか義姉様」
「……ねえ…………さま?」
「そっちなら、高校、三年生、おねーさん」
「うそおおおおおぉぉぉぉぉ!?」
こうして俺は一日で織田軍の武将となり、偉そうで実際に偉い妹と、どう見ても中学生くらいの姉ができたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます