白の遣い手【ORIGIN】 ~ 一名の天貴人と、七人の中等生達の長い一年 ~

八住 とき

無名の幕 序章

第一節 はじめてみえたふうけい。




 私の視界領域に侵入する対象は、

 〝空の海〟の経済圏指定で表すと「ヒト型 第Ⅰ種」の女性に近い容姿を持つ。

 客観視してもかなり整った風貌の〝それ〟が在った。


 目的を果たし、醜悪で歪んだ笑みを作った口元から、満足そうな言の葉が、一通り零れ落ちる。


 私は、それを拾う事を黙して拒絶すると、女性は消えて居た。


 この場所は白い闇で覆われ、どこが出口なのか、どこから入って来たのか。


 それすらも、判ら無い。


 私は、この場所で何をするべきなのかを問えぬまま。

 ただ、女性の望みを言の葉のままを叶えると、この場所には私だけが残された。


 なのに、私は識って居た。


 あの〝女性〟が何者で、


 私の行いが、決して赦されぬ大罪である事を。


──はじめてみえたふうけい。が、原初の記憶として、刻まれた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る