22話【幸せの続き】

―12月―

「クリスマスだぁ…」

塾の帰り道、同じ塾に入ってきた望々と一緒に帰りながらあるお店のクリスマスのフェアをみて呟いた。

「来週かー」

年末も近いと言うのにまたもやうちの両親と望々の両親は出張らしく、望々はまた花宮家住みになった。そのため塾はもとから時間は一緒だから行きも同じ、帰りも同じとなった。しかも冬休み、ほぼずっと一緒に過ごしている。

「るみあは○ンパンマンのぬいぐるみ、るかはドラ○エの最新作、るりこは韓国のコスメ…?なんでもいいのかな…」

「大変ですね、お姉ちゃんは」

冷たい手に息を吹きかけて手をさすった。

「寒いの?」

「まあ、そりゃあね」

張るカイロに普通の制服の中にはヒートテックを着てコートを羽織り、マフラーぐるぐる巻きとわりと着込んでいるがやっぱり寒い

「るい」

「ん?」

「手、貸して」

「?はい」

ポケットにつっこんでいた望々側の手を出して差し出した。

すると掴まれて望々のポケットの中に入れられた。

「―っ!」

「あったかいでしょ?」

顔が真っ赤になるのがわかったからマフラーで隠して頷いた。

恋人みたいですごく幸せだ。

そのままで歩き続ける。

真っ白な雪が降っている、風はなく人通りは少ない。

「雪、積もるかなぁ」

「さすがにこれじゃあ積もらないだろうなぁ」

「そっかぁ…あっ!」

あるアクセサリーショップのウィンドウに飾られた指輪が目に付いた。

「綺麗…」

ハートが組み合わさっていてその間に宝石がつけられているタイプのものだった

「値段がちょっとなぁ…」

「買うの?」

「かわいいけど、あきらめるよ」

「ふーん」

少し惜しいがあまり高いものは買えない。諦めてそそくさと帰った。


「ただいまー…あれ、だれか来てるのー?」

姉さんと望々ちゃんが帰ってきたらしい。

「おかえり」

リビングに入ってきた姉さんと望々ちゃんに声をかける

「ども、おじゃましてます」

幼稚園からの付き合いの友達の昌平しょうへいが挨拶をする

茶髪に茶色い目。肌が白く、全体的に色素が薄い。少し髪がながめで後ろで髪を結っている。

わりと綺麗な顔立ちなのだがかなり変態な性格のため結局女子に人気はでない。

「いらっしゃい、しょうへいくん。ひさしぶりね」

ふんわり微笑む姉さん

「先あがってて」

「ん」

望々ちゃんが姉さんの部屋に行った

「お菓子とジュース、よかったら」

姉さんが持ってきてくれたらしい

「ありがとうございます」

「ごゆっくり」

部屋を出て行った。

「るいさん、相変わらずめっちゃ美人だなぁ」

「俺の姉さんとんなよ」

「でた、シスコン。てかあれが最近一緒に住んでる人?きっとさっきの彼氏さんとヤりまくりなんだろうなぁ…うわぁ、俺もお前の姉さんとヤりてぇー」

「殺す」

「笑顔でそういうこと言うんじゃねえよ!?」

わりとかなり爽やかにバカなら誤魔化せる感じで言ったのに、だめだったか。

「てかまじで惚れてんの?前も聞いたけど」

「…マジで惚れてて悪いかよ」

昌平が一度びっくりした顔で停止する

「ははははっ、いいんじゃない?俺はそういうるか好きだよ」

笑われた、確かにもとから恋愛には興味がなく生きてきた人間だったから、昌平とか他の奴らに恋愛話されてもあまり返すことができなかった。

「で?どういうとこがすきになったの?聞かせろよ」

「うーん、そうだなぁ」

少しだけ考え込む

「言わねー」

「はあー?なんだよそれー」

「姉さんのいいところ知ってるのは少なくていいんだよ」

「じゃあ俺も惚れるから教えろ」

「惚れるなら真っ先に殺しにいくやつしょうだからな」

「お前実はあれだろ!?ヤンデレってやつだろ!?」

「えぇーそんなことねーよ」

「お前なぁ…」

もとから昌平にはそれとなく話してはいた。

「でも、るかがるいさんに惚れるのわかんなくもないんだよね」

俺が姉さんのことが好きなことを

「わりとお前不安定じゃん、実は。精神的とかさ?」

幼い頃からのつきあいからか、基本あまり隠し事はしないし、なにを言っても引かない間柄だった。

「るいさんが最近倒れたときもさ、るりこちゃんはパニクっててるみあちゃんはまだまだおさなくてさ、で一番安定しなくちゃいけないのはお前で」

ぶっきらぼうで変態だけど実は優しい。

「頑張って平然装ってたけど、毎日毎日心配ばっかでほとんど授業とか聞いてなかったもんな」

そんなやつだったからこそ、こんなにいろいろ話せるし今になっても付き合っていける

「優しくて、可愛くてさ。まあ付け足せば体えろくて、惚れるのはなんとなくよくわかる」

いい友達を俺は持ったなぁっと痛感した

「俺、応援してるよ、お前のこと」

茶色い瞳が優しく見つめてくる。

「なんか、真面目すぎてキモイ」

「はあぁ!?何だよそれ、せっかく俺がさぁー?…ははっ」

「はははは」

おかしくなって笑い合う。

ありがとう、しょう。

でも俺さぁ、


瑠李のためならお前のこと普通に裏切ったりとか、できちゃうんだよね。 


「しょうへいくーん」

「「うわあっ」」

「どしたの?」笑って聞かれる

「「なんでもないです」」

「そ、そう?」

「てかしょうになんのようなの?」

「ん?ああ、今日はご飯食べてくか聞いてみようと思って」

「食べてけよ」

「じゃあお言葉に甘えて」

「ふふ、はーい」

わりと小さい頃から何度も来ているので家族全員と知り合いなのだ。

…まあ望々ちゃんみたいに望々ちゃんの食器がある、っていう感じではないけど。

「るいー洗濯物いれといたよー」

リビングのドアをあけて入ってきたのは望々ちゃんだった。瑠海亜を抱っこして下には左右にレンリンがついている

「こんにちは」

「こんにちは」

望々ちゃんが昌平に挨拶をした。そのまま昌平も返す。

「彼氏イケメンじゃん」

こっそり耳打ちしてきたのを苦笑いで返す

黒いパーカーに黒色のパンツと男に間違われても仕方ない服装。

一応女の子なんだけどね…

「今日ご飯なに?」

キッチンのすぐそばにおかれた食べるときに使っているテーブルに瑠海亜を抱き抱えたまま座る。

「うーんなにしようかなぁって、昌平くんも食べていくからさ。2人ともなにか希望あるー?」

「俺なんでもるいさんの料理好きっすよ、全部美味いし」

「ふふ、ありがとう。るかは?」

「唐揚げ」

「また?好きねぇ」

あったかなーといいながら冷蔵庫を漁りだした。

「なあ、ゲームしよ」

「お、やりたいやりたい」

ご飯ができるまでの間、ゲームをすることにした。

テレビのスイッチをいれてゲームのコントローラーを探す。

「はい」

「ん」

机にたくさん置いてあったお菓子のなかからポッキーを一本口に加えてゲームを開始する。

「ただいまぁー」

リビングの扉を開けて入ってきたのは瑠璃子だった。

「うわ、しょうへいがいる」

「うわってなんだよ」

「おかえり、るり。ご飯までかかるからいろいろ着替えたりとかしておいで」

「はーい」

不意に昌平を見ると部屋にいった瑠璃子がいたところを見つめる姿があった。

「…しょうってさぁ」

「う、うん?」

「るりこのこと好きなの?」

ぶふぉっと勢いよく飲んでいたコーラを吐き出しそうになっていた。

「は、はあ!?」

「あははーやっぱり」

顔を真っ赤にしている昌平を見て笑った。

「そ、そんなにわかりやすかった…?」

「うん、むちゃくちゃ」

「うわぁ…一番バレたくないやつにバレた…」

「なんだそれ、ひっど」

めちゃくちゃあからさまに嫌そうにため息をつく姿。

「で?どこが好きになったわけよ?」

「…言わない」

「はあ?言えよ」

「いいません」

「あんた達なんの話してるの?」

「あ、るりこ、しょうがさぁ―」

「ばっか!お前黙れ!」

昌平側に倒され口をふさがれる

「あの子達仲いいなぁ」

「ちょっとたまにやりすぎかなって思うとこあるけどね」

チラッと姉さんたちの方をみると、柔らかく微笑む姿があった。

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