20話【sugar and bitter・3】
ガラガラガラ パシャッ
ガラガラガラ パシャッ
ガラガラガラ パシャッ
ガラガラガラ パシャッ
ああ
「苦い、気持ち悪い」
穢らわしい。
とれない。どうしよう
駆けて望々がいる私の家に帰る。ついたら急いで階段を駆け上がり部屋へ飛び込む。
「ののっ、ののっ」
「うわっどした」
制服を脱ぎかけていた望々の胸に飛び込む。
「苦いのっ苦いのっ、はやくっ」
「まて、まて!まずば全部どうなったか話せ!」「だめ!はやく!」
「るい!」
引き剥がされる、なにも声にならないためゆっくりと冷静になっていくと息の荒さに気づいた。そのまま座り込む。
「落ち着け、ほら深呼吸」
ゆっくりと深呼吸をする。望々に背中をさすられながらたまに咳をだす。過呼吸になりかけていたらしい。
「落ち着いた?」
頷く。すると頭を撫でてくれた。
「わたし、わたし…」
頭が痛い。胸が苦しい。息が整わない。苦い。
怖くて怖くてたまらない。
なにが怖いの?
苦いよ、苦い、苦い
苦い、苦い、苦い、苦い
苦くて死にそう
わからない、なんで?どうして?苦い、苦い、苦い
――罰?そうなの?
私が嘘をついたから?
望々意外に愛を囁いたから?
―ああそうか、私は罪を犯したんだ。
―だから神様が罰を与えたんだ。
「ごめんなさい、のの」
「え?」
「私のの以外に愛してるって言っちゃったの、のの以外にキスしちゃったの」
「…うん」
「ごめんなさい、嘘ついてごめんなさい…」
泣きじゃくる、止まらない涙。まともに望々の顔が見れない。
どうしよう、嫌われるかもしれない。
この愛が消えてしまうかもしれない。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。怖い。怖い。怖い。
そうだ、今からでも取り繕えばいい。嘘をつけば、いいんだ
だめ、この苦い罰は受けないと、永遠に消えない。
いやだ、怖い。
失いたくない。
「のの、ごめんなさい。たとえ…たとえ偽りだとしても…約束に背いたの」
「…るい」
怖い、怖い。
嫌だ、この幸せを壊したくない。
「ごめんなさ―」
「愛してるよ、るい」
ふと顔を上げる。目があったのは優しく微笑む好きな人の顔。
顔に手が添えられて優しく触れるだけのキスをされる。
「んっ…ふっ…」
そのまま深くなってきて、優しくゆっくり味わうようにされる。
「の、の?」
目を合わせたまま名前を呼ぶ。
「嘘なんでしょ?」
「…うん」
「じゃあいいよ」
「…でもキスもしたよ?」
「それはちょっと嫌だけどむちゃくちゃしたらいいだけだし」
「…っ!」
一気に涙があふれた。
許してもらえたんだ。
「ほんとにいいの?」
「いいよ、俺は…お前が俺のこと好きだって言ってくれて嬉しい。」
「え?」
「俺のことを抱きしめてくれるのも」
「俺をみて笑ってくれるのも」
「全部全部嬉しい」
いいの?
「のの」
「ん?」
「大好き」
「俺も大好き」
優しく抱きしめてくれる。
「あ…」
甘い。甘くて幸せだ。
「指切り」
「え?」
「もうしちゃだめって約束」
小指を差し出してくる。
その小指に自分の小指を絡める。
「「もう二度と」」
愛のためでも絶対やってはいけないことがある
「のの」「るい」
愛する人を欺いてはいけない。
「「以外を」」
愛は偽ってはいけないもの
「愛さないと誓います」
愛を偽らなければなにをしたってかまわない。
堕としても
騙しても
犯しても
狂わせても
奪っても
傷つけても
殺めても
なにをしたって許される
だってそれは罪じゃないから。
愛を偽らないならば、なにをしたって構わない。でしょう?ねえ、神様?
とても甘い。幸せ。
二度と苦い思いなんてしないんだから。
「愛してる、のの」
「俺も、愛してる、るい」
もう一度甘いキスをする。
もしまた誰かがこの幸せを壊そうとするならば、
誰であろうと容赦しない。
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