11話【幸せな片思い】

「おーいるいーおきろー」

「ん…」

「こらー早く朝飯つくれー」

体を揺さぶられる、まだ完全に目覚めてない頭がふたたび寝ようとしている。

「ほんと朝こいつ弱いなぁ…」

諦めたのか揺さぶるのをやめてきた。

「まあ土曜日だし部活もないし、明日もないしまあいっか」

隣で寝ているのだろう暖かくて柔らかいものが隣にある。うっすら目を開けた。

「あ、おはよ」

目が覚め、上を見上げると、肩ひじをついて手に頭を乗せもう片方の空いた手で私の髪を梳いている望々がいた。

なにこの朝から幸せ展開。

せっかくだし抱きついちゃえ。

「眠い」

「お前いい加減起きろよ…一応今お昼の12時半過ぎなんですけど?」

頭を撫でられる。

そういや昨日の花火大会で望々を好きになってしまったわけだが、今翌々考えれば

こいつ女じゃん。まじか、私レズだっけ。

いやいやいやいや

待て、落ち着けよ、私は恋愛対象は男だ。実質歌手とか男の方が好きなの多いし?普通にイケメンさん好きだし?

レズビアンじゃないよね。

うん、絶対そう。

私は絶対違う。

絶っ対違う。

「ん?どした?」

望々を見上げてみると、目があった。

いや、やっぱ好きだわ。

やばい、可愛い。まじ可愛い。

レズじゃないけど、好きだわ。

「あと少しだけ一緒に寝よ?」

「はあ?…仕方ないなぁ」

暖かい望々に抱かれてもう一度だけ眠ることにした。

「あ、なあるい」

「なあに?」

寝ぼけた顔で望々を見た。

「明日部活ないし、2人でどっか行くか?」

え、なにそれ

デートじゃん。

いや、まあでも何度か2人はあるし…

「行く」

「じゃあ決まり、行きたいとこある?」

「何でもいいよ」

「うーんそうだなぁ」

少し望々が考え込んだ

「あ、じゃああそこ」

「どこ?」

「前二人でさみたいって言ってた映画、見に行こ」

おっ

「ついでに、お前が食いたいって言ってたパンケーキも食いに行くか」

おおっ

「あとはー、普通にぶらぶらしよっか」

おおおっ

なにこれっむちゃくちゃデート感満載じゃないですかっ

こんなに幸せな片思いしてる人ってなかなかいないよね。

「じゃあもっかい寝ますか」

「うん」

もう一度彼女に抱かれて眠りについた。

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