9話【花火大会・1】
ピーンポーン
『こんちわー』
インターホンが鳴り画面の方をみると梨華たちが写っていた。
「るい来たよ」
「あ、じゃあのの出てきて」
「はいはい」
朝ご飯の片付けをしているため、暇そうだった彼女に行かせた。
庭にあるドアを自動で開けるボタンを押し玄関の方へと行った望々を見送る。
「らっしゃい」
「「「おじゃましまーす」」」
今日は花火大会でその会場が近いのと浴衣を貸すためにいつめんみながこの花宮家に集まったのだ。
「相変わらず広いっすねー」
「で、ののはなに同棲してんのか夫婦なのかお前ら」
「夫婦でもないしそもそもカップルでもないです。」
相変わらずの梨華からのカップル疑惑いじりとそのツッコミを私でして終わる。もうお決まりになってるこれはどうなんだろうか。
「いやいやだってさー同棲してる以前にさ、なんかもうこの、るいが洗い物してののがなんか客人を迎えるってのがもう夫婦じゃん」
「同棲じゃなくて泊まりです、そもそも夫婦じゃないです」
「いや夫婦じゃん。夫婦漫才やってんじゃん。」
「やってません」
「まあまあそれくらいにしてさ、俺が男前すぎてるいの夫に見えるのは充分わかってっから」
「「「「は?」」」」
「えっ」
相変わらずのナルシスト発言をみんなで批判されぼろぼろにされる望々をすこし可哀想に思うが腹立つので放っておく。
「はあ、とりあえず浴衣選びに行こっか」
「うえーい」
杏奈が調子よく返事をしドアから出て行こうとしてた私の肩を掴みいわゆる電車ごっこ状態な感じになった。杏奈に押されるがままに廊下へ出る。後ろから三人がついてくるように出てきた。
「で、どこなん?るい」
「んーまあ服しか置いてない部屋かな」
由香の質問を返し階段を上がっていく、登りにくくなったのか杏奈の手が肩から離れた。
階段を三階まで登って少し進み1つの部屋のドアを開けて入る。入ったらすぐに目の前はタンスやらとたくさんある。
「ここらうちのお母さんのだから、私のはこっち」
母親のゾーンを通り過ぎてちょっと奥に進む。
入った所からは母と妹の所しか見えず、私の所はもうちょっとすすまないと全く見えないのだ。
「はいよ、ここよ」
「「「おおー」」」
望々以外の三人が歓声をあげる。
「浴衣はそっちにあるから各自好きな浴衣と髪飾りと下駄をそろえてきてください。着付けは私がするし髪もやってほしいなら私やるよ」
「「「「はーい」」」」
それぞれ散らばっていった。さて、自分のも選ぶことにしよう。
「るいーあんなが着付けしてってさー」
「え、もう決まったの?」
呼ばれた方向を向くと由香が指を指していて、そっちを見ると杏奈はもう着替え始めていた。
「るい、助けてー」
「なにしてんのあんた」
帯でぐるぐる巻きになっている杏奈に呆れながらほどいていってやる、ほどききったら浴衣を整え帯を結び始めていった。
「髪もやった方がいい?」
「頼むー」
浴衣を着せたら鏡の前に座らせて杏奈の髪をとかしていく
「なんか候補あります?」
「なんでもいいよ」
「じゃあーお団子にしよ」
髪を少しとって編み込みをしていく。上に2つ下に3つ編み込みをして中央に集まるように編んだ。そこからポニーテールの形に整えていき一度その状態で結ぶ、そのあと形を整えながら団子にしていきピンでとめる。杏奈が選んだ髪飾りはピンに花の飾りがついているものだからそのまま指してやる。
「はい、完成」
「うおーありがとー、見せてくるー」
「いってらっしゃい」
走り去っていった杏奈を見送って自分の浴衣を選ぶのに戻る。
「るいー」
「ん?あぁ、りかか。なに?」
「これ選んだら勝手にやっていい?」
「ん?ああ、いいよ。好きに選んで」
物陰から顔だけを出して聞いてきた梨華に適当に返事を返しておく。そういえばさっきから見当たらない望々はなにしているのか。
「少し探しに行こう」
当たりをぐるぐる回りながら望々を探していると、なにやら一応探しているようではあった。
「なにかお探しですか、お客様?」
「あ、るい」
「どうしたの?」
「いやー浴衣どう選べばいいのかなって、探しても男物ないし…」
「浴衣ぐらいちゃんと女物着んかアホ」
一発頭を殴っておく、殴ったあと痛かったのか少し頭をさすっていたがそのあときちんと浴衣を選び出した。
「女の子なんだから、ちゃんと女の子らしくしなさいよ」
「ええ…」
「案外可愛い顔してるのに、もったいない。」
ほっぺを摘まんでのばしてみる、されるがままの望々は相変わらずだるそうだった。
「じゃあるい選んでよ」
「はあ?」
「お願い」
「ええ…まあいいけどさぁ…」
1つ浴衣を思いついたため移動する、浴衣をしまってるところから一着だけ取り出して帯と下駄も揃える。
「これ、どう」
選んだのは白に青と黒で花の模様がかかれている浴衣に赤い帯、下駄は帯とお揃いである。
「着せて」
「はいはい」
浴衣を着てもらい、着付けをしていく。帯を結ぶとききつく引っ張ったらいちいち苦しそうに声を出していたが、聞かなかったことにした。
「はい、どぞ」
「おお、いいんじゃね」
くるくる回る望々を眺める
案外結構可愛い
「俺みんなのとこ行ってくるわー」
小走りで去っていった
望々を見送ったあと、自分のを探すために浴衣があったところをみると一つ目についたのがあった。白が下地に赤い花が描かれている、そうだこれに黒い帯をあわせよう。着ていた服を脱いで浴衣を着始めた
「ほなそろそろ行こっかー」
時計が6:00を差していたためそろそろ行くことにした。みんなそれぞれ立ち上がり玄関の方に行っていた。
「みんな忘れものない?鍵閉めるよ?」
「多分大丈夫だよー」
梨華が返事をし、みんなが頷いていた。みんながでたあと、鍵を閉め、家をでたら門の鍵が自動で閉まった。
「この門自動で閉まった…」
「え、ああ、セキュリティーかけてきたからね」
「さすが金持ち…」
「ん?なんかいった?」
「いえ…なにも…」
お祭りの会場に行くために歩き出す、梨華と話しながら行っていると前に見覚えがある人影が見えた
「あ、じゅんー!」
「るいじゃん。お前祭り行くの?」
「そ、みんなで行くー」
たわいもない会話を交わしていく
「あらあら、じゅんくんじゃん」
「るいさんとられちゃいましたよぉー?ののさぁん、いいんですかぁ?」
「別に」
「じゅん誰と回るの?もしや彼女でもできた?」
「んなわけねーだろ、バカ。男とだわ」
「え…ホモ?」
「んなわけあるかっ!きちんと恋愛対象は女だ!」
「ええーつまらないなぁーあ、やきそばと林檎飴おごってよ」
「はあ?お前相変わらず食い物かよ…そこは可愛らしく金魚すくいとか綿飴とかあるだろ」
「林檎飴も可愛いじゃない」
「はいはい、そーですね」
「るい、そろそろ行こ」
浴衣の袖を引っ張られた方をみると望々だった、なぜかかなり拗ねた様子で少しむくれている。
「あ、ごめんね、のの」
「おおーいじゅんー!!早くしろー!置いてくぞー!」
「悪い!今いくわー!」
潤を見つけたのか遠くから潤をだれかが呼んでいた。
「じゃあな、るい。俺行くわ」
「うん、またね」
走り去って行こうとしていたがこちらを振り返った
「るい、浴衣可愛いじゃん」
「えっ…あ、ありがと」
頭を撫でられ走っていった。
「相変わらずじゅんくんってイケメンだよねぇ…」
梨華が後ろから呟いた
「え、なにいきなり」
「いやだってイケメンだからイケメンだ…って言ったのよ」
「いや、意味が分からない」
謎の発言をする梨華と話しながら歩き出す
「いやだってね?」
梨華が少し興奮気味に話し出した
「結構うちの高校の男子バスケ部かなり強いのにもうメンバーいりしたスポーツ万能、この難関校でのテストはトップいりの成績優秀、おまけに美形でスタイルよしの性格よし。さらにお金持ちで品もあり。なにこのむちゃくちゃ完璧な人間」
「うーん…」
「あんた知らないんだろうけどじゅんくんってめっちゃ告られてるんだから、ちなみにファンクラブまであるぐらいなのよ」
「え、こわ」
「さらにバレンタインは男子のなかでチョコの数はダントツの一位」
「あ、そういやあいつなんかその時期になるとめっちゃお菓子くれたなぁ…バレンタインあげたらそのお返しって倍以上くれるからねぇ、ホワイトデーはホワイトデーでなんかくれるんだけどさ」
「るいそれ絶対じゅんくんがバレンタインでもらったやつだよ…」
「うわぁあいつ最低だ…」
「るいもるいでかなりもらってるじゃないバレンタインは女子からでホワイトデーは男子から」
「なんか靴箱とか机のなかとかに入ってるんだよね、たまに袋にひとまとめになってあったときもあった」
「モテてんなぁ…」
2月と3月はお菓子に困らないのがありがたい。2月は潤の分までくれるから毎日毎日食べ放題である。さらに瑠璃子は瑠璃子でホワイトデーにもらってるっぽいし瑠架はバレンタインのときにもらってるため花宮家はその時期はお菓子パーティーが毎日お菓子の時間に開催される。
「まあ、じゅんあんま甘いの好きじゃないからね。だからよく私あまり甘くないように作ってあげてたの、そしたら全部食べてくれるんだよね、昔から」
潤自体はあまり甘いものを好まない。昔からお菓子を貰っても甘いものだったら全部私にくれていた。けれどお菓子を作るのが昔から私が好きなためよく潤のためにあまり甘くないように作ってよくあげていたものだ。
「へえ、今もあげてるの?」
「うん、結構ね。向こうが食べたいって言ったものを作ってあげてるよ」
「るいの美味しいもんねぇ…ご飯も美味しいけどお菓子はもう涙がでるほどうまいもの…」
「めちゃくちゃ大袈裟だな」
「そう考えたらしょっちゅう花宮家に寝泊まりして飯まで食わせてもらっているののさんはしあわせものですねぇ」
梨華と話していたら突然後ろから杏奈が突っ込んできた。
「確かにねぇ…のの、あんたるいのなにが好きなの」
「は?なにが?」
少し不機嫌に聞き返す望々
「るいの料理、あんたしょっちゅう食べてるでしょ」
「別になんでもいいだろ」
そっぽをむいて黙りこんでしまった
「なんであんなに機嫌悪いの…私の美味しくないのかなぁ…」
ほんの少し泣きそうになりながら呟く
「いや、多分照れくさいだけだとは思うけど。」
「じゃあなんであんなに機嫌悪いの…」
「それは多分じゅんくんのせい…」
ほんのすこし望々とギクシャクしながらも花火会場へと向かうのであった。
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