2話【部活体験】
「るい、なに部入るか決めた?」
「あー入んないと親に言われっからな…吹奏楽かな楽器はいくつかやってるし、はなもだろ?」
「うん、見学今日行こうよ」
「おけ」
吹奏楽を選んだ理由は簡単だ、単純に吹ける楽器が多いから。基本的に親族が音楽をやる家系で自慢ではないが私の場合、ピアノ・バイオリン・サックス・トランペット・歌・ドラム・ギター、かなりできる。前言撤回。自慢だ。
「はな楽器なにしたいの」
「クラリネットかな、るいは?」
「私は…サックスかな、楽器持ってるし」
「なんで音楽に関してそんなエキスパート的なのになってんのさ」
「しらねーよ」
笑い合う。これこそ相変わらずの日常、私の愛する平和だ。もちろんこれ以下は求めない、と言ってこれ以上も望みはしない。それはなぜか、簡単だ、求めれば必ず対価はある。その対価を私は望まない。なら最初からなにも求めない、ただそれだけだ。
『さよーならー』
「んじゃるい行こ」
「ほいほい」
教室を出て第2音楽室に行く。人混みになっていて通るだけでも一苦労だ。階段を上がり、ドアを開く。
「こんにちは、体験だよね?体験したい楽器ある?」
自分より一回り小さいが先輩だろう。三年生だろうかフルートを持っていた。
「えっと私はクラリネット行きたいです」
「自分はサックスでお願いします」
「おっけークラはあそこ、サックスは多分ここじゃないからついてきて」
「はい」
あとをついて行く、音楽室を出て曲がるとサックスの音が聞こえた。
「きょうかーサックス希望の子連れて来たよー」
「おおおおお!みかありがとう!名前は?」
「花宮瑠李です、よろしくお願いします」
「え、先輩先輩新入部員ですか?」
「あ、すみちゃん、そうよーるいちゃんだって」
「おお、早速サックスやろっかー初めて?」
「あ、いや習ってます。ソプラノからバスまで全部いけます。」
「「「「…ええええええぇえ!?!?」」」」
サックスの先輩方が全員声をあげて振り向いた。そんなに驚くものなのだろうか。
「吹こう!今すぐ!すみちゃんテナー貸してあげて!!」
「はい!」
となわけでテナーサックスを渡され吹いてみる。
吹きやすい、代々手入れをしながらたくさん吹いたことがわかる。
「「「「おおおお…!!」」」」
「サックス希望なのよね…??」
「はい」
「先輩…これはサックス安泰では…??」
「よっしゃあ!るいちゃん!入部届け今から出しておいで!サックスのパートに入れるっていうのは先生に言っとくから!」
「え?あ、はい」
サックスになった…らしい。まあいい、とりあえず入部届けを出しに行こう。なんだか変なパートに入った気がするのは気のせいだろう。
「みんなー合奏するよー、1年生は見学してってねー」
3年のみか先輩は部長らしい。見学席につく。隣には、はながいた。合奏が始まるのにはまだ時間があるらしくまだ人はあまりいなかった。
「ねえねえるいやろ?ほらおんなじ保育所だった、覚えとらん?」
2人の女子がいた。見覚えはある。あ、
「…ゆかとあんな?」
「覚えとったー!」
「うぇーい」
「おー久しぶりじゃん、え、なに吹部希望?」
「そそーるいも?」
「まあね」
久しい、保育所の中でも1番仲が良かった2人だ。
ちょっと訛っているのが
軽く覚えていたが向こうは覚えてないと思っていた。しかも全然変わっていない。
話が弾む、なんせ久しぶりなのだ、話したいことがどんどん出てきた。こんなことはいつぶりだろう。
「潮田、楽坂その子だれ?」
後ろを振り向くとその声の人物がいた。一見ホストっぽいストレートのショートの髪。黒髪とは反対の白い肌。だるそうな姿に女子にしては低めのはっきりした声。ほんのり甘い匂い。ぱっと見男子だが制服からするに女子だ。
「あーおんなじ保育所だったるい」
「ふーん、俺、
でた、女子なのに一人称が僕や俺の子。あるあるだ。絶対イタいと確信した。まず雰囲気ホストっぽくて怖い。
「花宮瑠李。るいでいいよ。よろしくね」
とりあえずお得意の笑顔をつけておく。あとはまた考えよう。
「じゃあ合奏するよー」
全員集まったらしい。全体を見たのは初めてだ、約25ぐらい。かなり少ない。
「よし、3分チューニングしてー」
たくさんの音が一斉に聞こえてきた。サックス、クラリネット、フルート、トランペット、トロンボーンなどなど、音で溢れている。心地がいい。
「はい、おわりーやるよー1年生は聞いててね」
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