第5話「巨乳メイド現る」
30分程の時間を馬車で過ごし、背中が痛くなった頃、車体がゆっくりと停止した。
「私が先に出る。貴様は後だ。いいな?」
ギロリと睨まれて頷くとソソクサ降りていく背中がバタンと扉を後ろ手に閉めた。
一応、バレないようにガラスに耳を当ててみると。
外で何やら数人が盛大に盛り上がっていた。
『きゃ~~~~!!? フラム様!! 男の方をお連れしたんですよね!? ね!!?』
『な、何故、それを知っている?! ハッ?!!』
どうやら口元を押さえたらしいが、時既に遅く。
『やっぱり~~!! 上司の方から高耐性者の殿方をGETしたってご連絡が入ったんです!!』
『う、ベ、ベアトリックス様……何て事を……』
『フラム様!! フラム様!! どんな殿方なんです!? 私達にもお見せ下さい!!?』
『や、奴は野蛮人だ!! ご、ごはん公国人かもしれん男なんだッ!! わ、私は任務で奴の事を監視しているだけで、それ以外の他意は一切無い!!』
『またまた~~公国の人なのは減点ですけど、我らがオールイースト家にようやく相応しい殿方が来るかもしれないって、メイド長が「やっと焼ける(涙)」って婚礼用のパン練る練習してましたよ~~』
『と、止めろッ!? 何で止めなかったッ!!? あ、あいつにそんな事をされたら!? わ、私は!? 私の軍歴と青春はッッ?! 身の破滅だッッッ?!!!?』
『おひいさま~~~おひいさま~~~』
『ひぃ!? だ、誰か!! 誰か!! 誰でもいい!! あいつを足止めしてくれ!! 足止めした者には特別給金を出すぞ!! 誰か!!』
『おひいさま~~~見つけしましたよ。おひいさま。ああ、おひいさま。ようやくッ!! ようやくッ!! 身を固めるご準備をされ始めたのですね!! このリュティッヒは、リュティッヒは、涙で前が!!!』
『い、今帰った。リュティ……とりあえず落ち着い―――』
『さ、おひいさま!! 夜のご準備をッ!!』
『な、何の準備だ?!』
『何って、それは……ま、おませさんですのね。おひいさまったら♪』
『リュティ!!? お前はとても恐ろしい勘違いをしているぞッ!! あの野蛮人は決して婿とか恋人とか養子とか愛人と諸々そういう相手ではないんだ!! あまりにも重要そうな野蛮人だったので連れ帰ったら、ベアトリックス様に取り入った邪悪な公国人なんだぞ!!?」
『まぁ?! 公国のお方なんですの!? それは道ならぬ恋でございましたね?! このリュティッヒ!! 何処までもおひいさまの為にお働きしますわ!! どんなに野蛮な猿だろうともわたくし共の教育があれば、一晩で最強の紳士に仕立て上げてみせましょう!! 顔がお嫌なら首都一の整形外科に好みの顔を―――』
『止めてくれ!? そして、話を聞いてくれぇッ!! リュティッ!!』
何やらエライ事になっているようだが、漫才フェイズが終わるまで放っておいてもいい気がした。
あの無駄に野蛮人を連呼する美少女には良い薬だろう。
(というか、夢の中で整形されるのはさすがに回避しないとな……)
これからどうするべきか。
思考を巡らせようとした時だった。
ドバンッと強引に扉が蹴破られた。
「まぁ、彼方がおひいさまの?」
入ってきたのは確かにメイドだった。
その背後には絶望した顔のフラムと好奇心に駆られる十代の外人金髪メイドがズラッと六人程並んでいる。
「初めましてお客様。わたくしは当邸宅の管理一切を任されております。リュティッヒ・ベルガモッドと申します。以後、お見知りおきを」
ペコリとお辞儀してからのニコリとした笑顔。
フラムとはまるで正反対の二十代女性だった。
まず何よりも主人より胸が40cm増しくらいの勢いで……ふくよかだ。
ついでに美人というよりは母性的な顔は良い保母さんといった感じか。
褐色の髪、垂れ目がちの目元、左の泣き黒子がチャームポイントだろう。
そんな相手が妙に黒ゴスっぽいメイド服をフリフリヒラヒラさせている。
メイド喫茶辺りなら評判の人気者になりそうな相手。
だが、とりあえず夢とはいえ、整形されては堪らない。
一通りの礼節で答えてみる。
「ご丁寧にどうも。オレは【
「まぁ、こちらこそ」
「これからお宅にお世話となりますが、滞在中は何かとお手を煩わせるかもしれません。その時は恥ずかしながら、どうか何が悪いのかご教授頂けないでしょうか。何分、田舎の出なもので礼節が足りず。申し訳なく心苦しいところではあるのですが」
「まぁ、まぁまぁ!! これはご丁寧に。ああ、おひいさま……もう決めていいのではありませんか? リュティッヒはおひいさまの事をよく存じております。そのわたくしから言わせれば、おひいさまのようなとても激しい性格の方にこんなにも丁寧な挨拶をして下さるお相手が今後出来るとも思えません」
「リュティッ!? と、とにかく少し落ち着いてくれぇ?!」
もはや懇願に近い状態でフラムが髪を
「あの、出来れば、そろそろ馬車を降りたいんですが……」
「あ、わたくしとした事が!? すみません。さ、どうぞどうぞ」
降り立つと好奇の視線を向けながらもよく訓練された様子のメイド達が深々と頭をさげてくれた。
ようやく狭い馬車から開放されて外を見ると。
其処には平屋の大邸宅。
それも西洋風どころか。
純日本庭園付きの豪邸があった。
庭には池があり、鯉が住み。
松が一本と石畳の道が在り、間には白い玉砂利が敷かれている。
敷地面積だけで大きな庭園が二つは入りそうにも見える。
「では、お部屋にご案内します。おひいさま。よろしいですね?」
「あ、あぁ……もうどうにでもしてくれ……私は疲れた……先に寝室で休む。それと……そいつにはパンを出しておけ」
「まぁ?! 公国のお方にですか?!」
「ああ、そうだ。心配するな……そいつは私のトーストを一斤食い切った男だ……」
『!!?!』
何やらその場の全員が驚きに固まって、マジマジとこちらを見つめてくる。
その瞳はやはり畏怖というか。
驚愕を隠し切れていない色があった。
「そうでございまいたか。それは本当に……良いお話をベアトリックス様は持ってきて下さったと言うべきなのでしょう……カシゲェニシ様」
「え、はい」
とりあえず、もう一々名前の訂正をするのも面倒になってきたのでそのまま対応する。
「パン以外に何かご所望の食材はございますか? 当邸宅には一応ですが、この首都で揃えられるものならば、殆どございますが」
「とりあえず、好き嫌いは無いので、出されたものなら何でも」
「何でも?」
「はい。ちゃんと料理されたものなら」
その何気ない言葉に衝撃というか。
もはや壮絶な修羅場を体験しているような、鬼気迫る顔をされて、少しビビる。
「………分かりました!! そのお覚悟!! しかと受け取りました!! このリュティッヒ!!! おひいさまの為!! ひいてはオールイースト家の未来の為!! 死ぬ覚悟で準備いたしましょう!! 皆さん!! 防護服を着用後、全員第四キッチンに集まって下さい!!!」
「やはり、こうなったか……うぅ、だから、嫌だったんだ……リュティの思い込みは岩をも通すんだぞ!? 全部、貴様のせいだからな!!? 野蛮人!!!?」
フラムがクワッと親の敵のように睨んで来る。
(死ぬ気で料理してくれるのはいいが、防護服が必要な程に危険な食材を扱うのか? もう何が出てきても驚けないな……)
何やら常識とか諸々が誤解に沈んでいそうな夢の中。
とりあえずまともな食事が出てくるのを祈るしかなかった。
メイド達に
障子に引き戸に床は磨き抜かれた飴色の年季物。
靴を脱いで揃え、ソロリソロリと入れば、そのひんやりとした足裏が心地よい。
僅かに開いている障子戸の内部には畳が敷かれた部屋もあり、誘導されるままに辿り着いた場所は白い絨毯が敷かれた洋間だった。
これではうっかり何かを零しただけでえらい顰蹙を買うだろう。
そのフカフカな床の上を歩き。
来客者用のソファーに座ると。
調度品の質の良さがまず目に入る。
大きな花瓶一つとっても生けられている花は名前なんて知らずとも美しかった。
庭に面している硝子戸の先には先程関心を引かれた庭がかなりの迫力を醸し出している。
メイド達がニコニコしながら応対してくれているのだが、肝心のフラムとリュティと呼ばれた保母さん的巨乳メイドは既に外している。
同年代か少し下くらいに見える金髪な外人メイド達はフラム程ではないものの、容姿端麗と言っていいレベルで何やらこちらに訊きたそうな様子でウズウズしているのが見て取れた。
「お茶お持ちしました」
カラカラと銀による装飾で飾られたカートが引かれてくる。
幾つか乗った大きな硝子のポットには紅茶のような液体の他にも緑茶やコーヒーのようなものまで見えて、何をリクエストされても万全である事が垣間見える。
「何をお注ぎしましょうか?」
「紅茶で」
「え……ほ、本当に紅茶でよろしいので?」
「何か問題でも?」
「い、いえ、公国のお方は基本的に緑茶しか飲めない方が大半なので」
「別に公国とか共和国とか。ここら辺の人間じゃないんだけどな」
「そうなのですか?」
「一応」
「……分かりました。では、紅茶をお入れしますね。あ、それとフラム様は少しお休みになりたいとの事でしたので、しばらくは戻られません。その間はわたくし達がお相手致しますので、もし何か用がありましたら、言い付けて下さいませ」
「とりあえず、長くなりそうなら、二杯目は緑茶、三杯目はコーヒーで」
「え……わ、分かりました。お凄いんですね。お客様は」
「?」
「いえ、何でもありません。お茶請けはどう致しましょう? 一応、スコーンとせんべい。他にクッキーもございますが」
「適当に見繕ってくれれば」
「適当……ほ、本当に“適当”でよろしいのでしょうか?」
「?」
「い、いえ、お客様の度量と器量にわたくし共、感服する以外なく……」
「??」
「そ、それでは、全種類、並べさせて頂きます」
会話の度に驚かれているような気もするのだが、一々訊ねる気も無かった。
夢とは現。
現とは夢。
訊いたところで詮無い話だ。
あれ以上、自分の性癖とか頭の悪さとか見せ付けられる展開にしたくない。
(久しぶりだな。上等な茶葉で入れて飲むの……ここのところずっとティーバックだったし)
紅茶を一杯。
それから確かにスコーンとせんべいとクッキーが一枚ずつ目の前の皿に並べられた。
それからの十数分。
何を語る事もなく。
静かに美味しいお茶を嗜んでいたのだが……何かを食す度に背後のメイド達がざわついていた。
「野蛮人。いや、エニシ。いるな? いるなら返事をしろ」
ホッとティーブレイクしていたのも束の間。
いきなり部屋に入ってきたのはフラムだった。
「……元に戻ったな」
「な?! わ、私はいつでも平常心だ!!」
少し動揺したようだが、すぐに立て直して、睨み付けてくる顔は不機嫌そうだ。
これでは近頃の暴力系ヒロインと然して変わらない。
昔ながらのツンデレこそ至高だと思うのだが、それを夢の中で再現出来ていないというのは随分と流行のアニメに毒されているのかもしれないとヲタ的な意味で凹む。
「さて、ベアトリックス様からの配慮に感謝しつつ、何でも聞くがいい」
「何でも?」
「ああ、何でもだ。この首都の軍学校を次席で卒業した私に答えられない問題などない」
「あ、頭良いのか……意外だな」
「な?! 私の何処が頭悪そうだと言うのだ!?」
「え?!」
「そ、その反応は何だ!? 言いたい事があるなら言ってみろ!!?」
「使用人の前で貶されたいなんて、実は叩かれる事に悦びを覚える趣味が……」
「貴様……処分するぞ?」
さすがにふざけるのを止める。
正直に言って、美少女とはいえ。
他人から極悪な目付きで睨まれるのは精神の健康的によろしくない。
「じゃあ、ごはん公国とパン共和国って何ですか。先生」
「私は貴様の先生ではない。貴様を処分する可能性のある軍人だ」
「そこは真面目に答えなくても……」
「く……人の事を弄びおって!? いいだろう。教えてやる。三番!!」
「はい!! フラム様!!」
三番と呼び捨てにされた金髪メイドにフラムが一枚の紙束を渡す。
すると部屋の奥から他のメイドが大きな機材をガラガラと引いてきた。
それは資料を拡大して壁に映し出す装置らしい。
その端から出ていた電源コードらしきものがコンセントらしきものに繋がれ、金属突起が弾かれる。
すると白壁が明るく照らし出された。
機材の上にペラリと紙が載り、レンズのピント調節が為される。
日本語で『我が祖国、栄光の記憶、我らが総統閣下に栄光あれ。分かり易い歴史書、初等科用』との文字列が浮かび上がった。
「初等科って何歳なんだ?」
「貴様が知る必要は無い」
「あ、はい」
親切心0対応のまま話は進む。
そうして、何やらメイドがその昔話調で書かれている文章と微妙に絵がチープな紙芝居みたいな歴史書とやらを読み始めた。
「むかぁ~し、むかぁ~し、あるところに―――」
要約するとこうだ。
空飛ぶ麺類教団が創生されて早6000年。
人々はそれでも世の無常と理不尽に苦しみ続けていた。
其処に一人の救世主が現れる!!
彼の名は総統閣下!!
その絶大な力を持って人々を導く彼こそは大地に舞い降りた真の為政者だった!!!
ユーがショックというよりはミーがショックな昔話の中。
パン共和国が如何に素晴らしい土地で、如何に素晴らしい血筋の人々で、如何に強靭な精神力を誇り、如何に技術力に優れ、如何に他の野蛮人共を教化してきたか。
そして、今正に宿敵にして野蛮人の筆頭であるごはん公国の卑劣な悪の軍団と勇猛果敢に戦っているのかが描かれている。
「こうして、ごはん公国の野蛮人達が崇める国王の唾棄すべき野望を止め、世界を平和にする為に我らが総統閣下は日夜戦い続けているのです。○」
紙芝居が終わるとフフンと。
『少しは我が国の巣晴らしさが分かったか野蛮人め』というドヤ顔のフラムが視線を向けてくる。
(自分の頭の悪さを見せ付けられるという意味では悪夢だな……)
「これで少しは我が国の素晴らしさが分かったか。エニシ」
「ああ、己の愚かさに頭痛がする」
「そうかそうか!! 貴様という野蛮人にも一抹の理性と理知があったのか。やはり、総統閣下は偉大だ……」
恍惚の表情でウットリしているフラムの様子はかなりイってしまっているのだが、メイド達はまるでいつもの事だと言うようにニコニコ見ている。
「それで、なんだが」
「ん?」
「ごはん公国とやらが野蛮な理由は何なんだ?」
「な!? この七歳児用の資料を見てすら、奴らの野蛮さが分からなかったのか!?」
「七歳児用だったのか……」
フラムはしかし、こちらの話など聞いていない様子だった。
「いや、公国人であるお前にこんな酷な現実を突き付けてしまった故か。祖国が如何に悪辣なる国家であるか誰も知らないというからな。未だ、奴らの内地では無知蒙昧なる民ばかりとも聞く。我ら程に理知の光に照らされていれば、連中にもあのような国王政権を打倒し、我ら共和国に平伏すという考えも浮かぶだろうに……不憫だな」
「ソウデスネ」
棒読みに聞き流しながら、溜息を吐く。
「言っても詮無い事か。KOMEしか食えない奴らを駆逐し、あの穀倉地帯を押さえれば、我が国は南部の帝国とも張り合えるだけの国力を手に入れられる。そうなれば、緩やかに周辺国は我が国に下り、緩やかに同化されていくだろう。それこそが―――」
何やら熱く目をギラギラさせて語り出した様子を尻目にサラッと出てきた言葉を検証する。
(米しか食えない? 穀倉地帯の奪い合い? という事はごはん公国とパン共和国の戦争は単純に土地を求めた資源戦争の類なのか? そもそも何で夢の中まで来て、選民思想バリバリなナッチー美少女と昔話見てるんだろうオレ……何処かの掲示板に書き込んだら『一体、何を言ってるのかまったく分からん(汗)』と困惑される様子が目に浮かぶな)
「そう!! そう!! つまり、我々は正義の徒であり!!」
「終わったか?」
「まだ十分の一だ!!」
サラリと聞かされてゲンナリしたが、聞き流すには長過ぎる
これからどうやって盛大な独り言を止めようかと悩んでいると。
コンコンと洋間の扉がノックされた。
『おひいさま~夕飯の支度が整いましたので食堂の方にそろそろ~』
「ふぅ。まだ語り足りないがいいだろう。貴様が如何に高耐性者だろうとも、リュティの本気はどんな料理も致死的に産み出す。ギブアップしたくなったら、いつでも言え。ふふ」
「ギブアップって……さすがに3人前以上出されたら、残すだろ」
「安心しろ。リュティはそういう気配りが出来る女だ」
「そもそも致死って大げさだな。そんなに料理が不味いのか?」
「不味い? そもそも不味いかどうか知る前に大半は匂いだけで逃げ出すがな」
「そこまでなのか……」
さすがに下水や汚水の味がするものを食えとか言われたら拒否しようと堅く誓う。
「くくく……もし、貴様があの料理を平らげられたら、嫁にでも何でもなってやる。我らオールイースト家は今までも門地や血筋を問わず、真の高耐性者ならば受け入れてきた!! だが、その血筋に入るべきは貴様のような野蛮人ではなく!! 文武両道で才に溢れ!! 何よりも!!」
クワッとフラムの瞳が開かれる。
「リュティの料理を三皿以上食べられる人間でなければならないッッッ!!!」
「リュティは一体何者なんだよ?」
そのツッコミに持ち上げた当人が脂汗を掻きながら、鬼気迫る顔となった。
「何者だと?! リュティはッ、リュティはなぁッッ!!」
『おひいさま~~』
「フン。時間切れだ。精々、悪足掻きするといい。心配するな。もし、死に掛けたら、軍病院に連れて行ってやる。まぁ、現地へ着くまでに死んでいるかもしれんがな。ふふふ……」
明らかにそうなって欲しそうな笑みは邪悪だ。
そして、何時の間にかガスマスクと両手両足に分厚いゴム手袋をしたメイド達に先導されて、食堂へと向かう。
(そう言えば、さっきから聞き流してたが、高耐性者? どういう意味の耐性なんだろうな……一体)
通路の先。
大扉で巨大な扉が現れ、左右からメイドが内側へと押し開いた。
待っていたのは……やはり、メイド達と同じ姿のリュティッヒ・ベルガモッドと彼女の横に揃えられた無駄に旨そうな湯気を上げる料理の数々が乗ったカートだった。
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