騒乱
元禄15年12月14日本所松坂町の吉良邸に旧赤穂浪士47名が討ち入った。
吉良家から米沢藩上屋敷に早速使者が出た。
ドンドンドンと上屋敷の門をたたき「吉良家の者にございます。赤穂の浪士が討ち入ってまいりました」と大きな声で叫んでも何の反応もない。
しばらくして一人の男が出てきた。
色部又四郎である。
「色部様。当家に浅野の家来が。。」
といったとたん色部は脇差を抜き使者の胸に刺した。
「う」といって死者は倒れ込む。
騒動を聞いて綱憲は槍を抜き家臣どもに「馬を引け」と言っているがその前に又四郎は立った。
「殿は当家を潰すおつもりか?」
「色部、父を見殺しにしろと申すか?」
「殿の父上は先代綱勝さまでございます。吉良さまは叔父御さま。叔父御様のために藩を潰す気か?」
「いうな」と綱憲がいうと色部は綱憲の胸に当て身を食らわせる。
その場に綱憲が倒れ込むと「殿を寝所にお連れせよ」と声を張った。
「これで吉良家と縁が切れる。無駄な出費もなくなる。まったく大石殿はわが家の福の神であろうな」
そして夜は暮れていく。
後日土屋主悦が正直の屋敷に呼ばれた。
「このたびの事まことに残念であったの」
「はぁ?」主悦は答えた。
「上杉は動かなんだ。なんでも家老の色部と申すものが綱憲殿に当て身を食らわせたとか」
「ほう、なかなかのものでございますな」
「しかも江戸の市民は赤穂浪士に対して絶賛しておるとのこと。これでは上様のご政道が間違っていたとしか言いようがない。」
「それでよろしいのですか?」
「いいのよ、そもそもわしは内匠頭を減封するだけでよいと思っていた。それを命じたのはわしだからの、それをろくに詮議もせずに即日切腹家取り潰しとは前例のない事。上様にも己一人で物事を決めるのは控えるようになるであろう」
「伯父御はいかに?」
「大石も上杉家の色部もこのわしも主を持つ身とは苦労が絶えぬ。幸い上様には男子がおらん。上様の世もそれほど持つまい。」
土屋正直は8代吉宗の代まで老中に就任し82歳で亡くなる。
綱吉はこののち家宣に将軍をゆずり家宣は綱吉亡き後綱吉時代の悪政を改めた。
赤穂事件の関係者も家宣によって許される。
上杉家は明治まで続き上杉鷹山を輩出した。
上杉忠臣蔵 若狭屋 真夏(九代目) @wakasaya
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