第9話 フラグ?

「とおる~疲れたー」


「まだたった5時間しかやってねぇだろ! 女の子の前で恥をかいてもいいのか~?」


「うー、嫌だ! モテたいし!」


うん。田中はちょろい!


じいちゃんはもくもくとメトロノームに合わせてリズムを刻んでいる


「どうだ? なかなか辛いだろうけど」


「まぁな。だが、それよりも上手く叩けない方が気に食わない」


「明は昔からストレートなやつだったんだな」


「確かにそうだが、ずっと前から知ってるような口ぶりだな」


「あ、いや。そんな気がしただけだ。気にしないでくれ」


明はそういうと、また基礎練に戻った。まぁ、ちょっと口がすべったくらいじゃ気にもされないだろう。普通に想像できるような話じゃないからな、タイムスリップなんて。


気づくと時計は18時をさしていた。


「今日はこれくらいにしよう」


「はぁ、疲れた~」田中が椅子に座りながらため息をつく


「明日も10時には集合な。祭りまでは毎日!」


「本気で言ってんのかよぉ、、、」


「自分でも、そんなんじゃ人前に立てないことくらいわかるだろ? もし早めに全曲完成したら、祭りまで休みにすればいいだろ」


「そうなんだけどよ~。とおるって言う事が大人みたいだよな、本当に俺らとタメか?」


「そうだよ! 縁起でもないこと言うんじゃないよ!」


まぁ。SNSでトラブルが起きないように、発言には気をつけるようにしてるからなぁ。


「2人も問題ないか?」


「あぁ。部活やってた時に比べたら余裕だ。」明が返事をする。純平もそんな感じだ


「そっか。じゃあ、また明日な」


3人と別れて京子さんと帰る


「京子さんは大丈夫なの? 俺と一緒に行動してて」


「うん! 楽しいし!母さんの手伝いがなければ大丈夫よ!」


「そっか。ならいいんだけど」


「ねぇ、今度海に行こうよ!せっかく近くにあるんだし。透くんの住んでるところにも、こんな近くに海はないでしょ?」


「確かに俺の住んでるところに海は無いけど。バンドが、」


「1日くらい良いでしょ! 透くんはあいつらみたいに練習しなくてもいいんだし。」


「まぁ、そうなんだけど~。じゃあ、明に適当に口実作っといてくれる?」


「やった!」


うーん、複雑だなぁ。あまり俺にグイグイこられても困るんだよなぁ


俺がいる間に明と京子さんをくっつけるような何かを起こさないとなぁ


頭ではわかっていても、かわいい女の子との海イベントにウキウキしちゃってるのが本音なわけで、流されるままに快諾してしまうのであった。

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