第5話 おじいちゃん

「みんな、お疲れさまー!」


「おう、京子か。」演奏が止まる


「その男は?」


「夏休みに遊びに来た私の親戚だって」


「どうもぉ」


「また、どうしてここに?」


「今、あんたたちカッちゃん抜けてボーカル足りないでしょ」


「あぁ、そうだけど」


「この透くん。ギターも歌もかなりうまいから、どうかなぁと思って」


「へぇ。何か弾いてみろ」


ギターを渡される


「うわ。これリッケンバッカー、デザインが年期入ってんなぁ、、」


「何言ってんだ、発売は3年前だぞ。まだまだ現役だ」


「そ、そうだったー。あはは」


俺が弾ける洋楽かぁ。ビートルズでも良いけど、なんか一発かましたいよなぁ。ガキの頃から親父にギター教わってるところを見せてやるぜ


俺の渾身のギター演奏を見せる。高校生のバンドで演奏することは全くない。誰も知らないからな、


でも、やっぱり今の音楽の方が難易度はかなり上がっている。それらの音楽を生み出す礎となった音楽史に名を残すギタリスト。聞いている男どもの表情が変わる、


「お前、ジミヘン弾けんのか・・・」


「まぁな」ギターを返す


「京子、お前とんでもない奴を連れてきちまったな!」ギターの持ち主がテンション高めに言う


「でしょー。」京子さんも誇らしげだ。すると1人の男子生徒が近づいてきた


「俺は丸山 明(あきら)ドラムをやっている。よろしく」


なるほど、ばあちゃんより面影があるな


「奇遇だな、俺も丸山なんだ。よろしく。」よろしく、じいちゃん。


「俺は田中 辰則(たつのり)サイドギターだ」


「俺は佐藤 純平、ベースをやっている」


「みんな、よろしく!」


じいちゃんは太い眉毛のいかにも昔の男という感じだ。ふつうにカッコイイな、、


田中はちょっとチャラい雰囲気がある。この時代からいたんだな、こういうやつ


佐藤は、かなりがっしりしている。どう見ても柔道やってるだろ


「透のそのダサい髪形はなんなんだよ~。せっかくギターうまいのにもったいない。その中途半端なジーンズもいけてねぇし」田中が俺の格好に突っ込んできた


「俺の住んでる地域じゃこれが流行ってるんだけどな、あはは・・・」


お前らに言われたかねぇぞ!こっちは50年以上未来の流行を先取りしてんだからな!


「まぁ、格好はどうであれ、透の技術があれば文句を言うやつはいないだろ」じいちゃんがフォローしてくれた


「そうかなぁ。私はかっこいいと思うけど」


「京子さんは良い子だな!」ばあちゃんに褒められて鼻の下を伸ばすのもどうかと思うけど、目の前にいるのはかわいい女の子だ。仕方ないじゃん!


「それはそうと、透。俺たちは2週間後の夏祭りで演奏するために練習してるんだ、参加してくれるんだな?」


「あぁ、短い間だけど、よろしく。」


こうして俺は夏祭りまでの2週間。じいちゃんとバンドを組むことになった。

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