第4話 Help!

Help, I need somebody,


Help, not just anybody,


Help, you know I need someone,Help!


ふと思いついたビートルズの曲を弾く。小さい頃、某お宝を鑑定する番組のオープニングでよく聞いていたのと、歌詞も今の俺にぴったり?な気がしたからだ。


高校生でバンドをやるとリア充っぽいよね、文化祭でも演奏するし、バンドのおかげで学内ヒエラルキーも良い感じに保てていると自分では思っている。彼女いたことないけど、友達はまぁまぁいる。


何かするにもバンドメンバーと、本番よりもみんなで放課後しゃべったりしながら音を合わせるのが好きだったりする。わかるかな?


でも目の前の女の子1人に対して曲を披露するのは初めてだ。恥ずかしくて顔が見れない、ばあちゃ、もとい京子さんはどういう顔をしてるんだろう?


Help me, Help me, Help me ooo~♪


ふぅ、何とか歌い終えた。歌詞がびみょーな所は適当にごまかしたけど。


顔を上げると、京子さんが目をキラキラさせながらこっちを見ていた


「うまいねぇ! 私もこの曲大好きなの! やっぱりビートルズだよね!!」


「それは良かったよ」音楽は時代を超える! 練習しといて良かった~!


「そういえば、君、名前は?」


「俺? 丸山 透。」


「透くんね! 奇遇なんだけど私の友達にも丸山くんがいるの!」


「そうなんだ。別に変わった苗字でもないし、いても不思議じゃないよね」


「そうだ! ちょうど祭りに向けて練習しているはずだわ、一緒に来て!」


「お、おい!」


京子さんに手を引かれて家を飛び出した


「うわぁ、、」


道がまだアスファルトじゃないところばかりだ。文字が昭和独特の字体で、これはこれで風情があると思う。建物の数もだいぶ少ないな


「俺、この街来たの初めてなんだ!もうちょっとゆっくり!」


「あ、ごめん。つい興奮しちゃって」


小走りが歩きになる


「京子さんは今いくつ?」


「18よ」


「俺と同い年だ!」


「そうなの!? なんか、大人っぽいよね。透くんて」


「そんなことないよ、普通に生きてきただけ」


この時代に比べたら、平成20年代は情報量が多すぎるくらいだ。


「あ、テレビ! 白黒だ、、」


「最近カラーテレビが発売したんだけど、まだ高くてほとんど普及してないの。透くんの住んでるところは? 都会なんでしょ?」


「そ、そうだねぇ。ここよりは普及してるかな、あはは」


「またそうやってはぐらかす!」ズィー


「近い、近いよ!」


「絶対あばいてやるから!覚悟しなさい!」


「怖いよ・・・」


今でこそ肉食系女子という言葉があるけど、強さでいったらこっちの時代の女の子の方が上なんじゃないか?


「ここは、高校?」


「そうそう、私たちの学校」


この風景はこの時代から変わらないんだなぁ。今と全く変わらない、これが古き良き日本の姿。


野球部の声、テニス部の声、体育館にはバレー、、


うん!??


あ、あ、あれは!伝説のブルマーではないか!?


まさか、あっち系のコスプレ以外でお目にかかれる日がくるとは!おうまいぐんねす!!


「何見てんのよ! こっちよ!」京子さんに強く引っ張られた


「あともうちょっとー!」


そんなこんなで校舎の中に入る。夏休みなのか、生徒はほとんどいない。階を上がり、廊下を歩いているとバンド演奏の音が聞こえてきた


京子さんが音楽室の扉を開ける、3人の男子生徒がこっちを見た。

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