マナ 幻獣だよ

夏休み間近だけと、時間があるので、今日もバイトを、しよっかな?って思って冒険者ギルドへやって来た。

ギルドの掲示板には、変わった依頼があった。


幻獣、白虎の噂あり。コロリ村での調査依頼。

基本給二万。調査内容により、上乗せあり。


幻獣ですか?見た事無いですね。


私はその用紙を受け付けに持って行った。


「受け付けました。コロリ村は解りますか?」

「知らないです」

「では、こちらの地図をどうぞ」


コロリ村へ着いた。

とりあえず、村の中で一番大きな家に行ってみた。


「こんにちは、冒険者ギルドから来た、マナです」

「いらっしゃい」


出て来たお爺さんは、全て白髪の長髪で、

笑ってる?怒ってる?

どちらとも言えないような、怪しい表情をした、妖怪じみた人だった。


「あなたが幻獣ですか?」

「はあ?何を言ってるのじゃ、お主は……幻獣は、裏山に出た、白虎じゃよ……村のもんが、襲われたんじゃ」

「解りました。行ってみます」


裏山に入ると、何か不気味な音がした。

渋い重低音の、唸り声だ。


近くに動物でも居るのかな?


そのまま山を登って行くと……

居た。真っ白な大きな虎。4メートルぐらいありそう。白虎か。

白虎と目があった。私を睨んでた。

私は自然体で、ゆったりと構えた。

そして鑑定を使った。


名前 白虎

職業

年齢 500

称号 幻獣

レベル 200

HP 5000

MP 500

SP 500

物理攻撃力 50000

物理防御力 10000

魔法攻撃力 500

魔法防御力 10000

素早さ 10000

筋力 3000

知力 1000

幸運 500

器用さ 500

魔法

アイテム 結婚腕輪10

スキル 噛みつき100 爪100


魔法がない。物理特化か。やりやすい。


白虎は、勢いよく私に近づき、右手に立てた爪で、襲いかかってきた。


私は、間一髪で避けたけど、白虎の爪が、私の胸をかすって、私のセーラー服のリボンが、切り裂かれた。


ああ……これ、リボン通しごと、引き裂かれてる。

また制服を買わないと、いけなくなった。

白虎、許せない。


私の正面に居た白虎は、続いて左手を振り下ろして来た。

私はその手に、カウンターで拳を当てた。


痛。私の指に、白虎の爪が食い込んだ。


でも、白虎の爪も何本か折れて、

白虎も顔が、痛がっていた。


白虎は、その場を一気に離れた。


逃げ出したのかな?そう思ったけど、違った。


白虎は、凄い勢いを付けて、私に突進して来た。

口を大きく開けていた。

私を咬み殺すつもりだろう。


白虎の突進に対して、私も白虎に突撃した。

そして、白虎の大きく開けた口の中に、

私の左腕から繰り出す、渾身の正面突きを叩き入れた。

さらに私の、右の手首から先に、

名刀のイメージを流し込んで、


「手刀」


そう叫び、白虎の首に突き刺した。


白虎の首からは、大量の血が、吹き出した。


『うっ、うっ。見事だ、強き者よ』


「えっ?何ですか?」


『俺だ……お前の前に居る白虎だ……心で、お前に話かけてる』


「解りました。聞こえてます」


『俺はもう、長くないだろう……お前に最後の頼みがある……後ろの茂みに隠してある、俺の子供……人間の女との間に生まれた、俺の子供を、育ててくれ』


「その子のお母さんは?」


『亡くなった。俺の子供は、身寄りがいない。頼む』


白虎の心の声は、そこで途切れた。


私は白虎から左腕を抜いた。

左腕は傷だらけだったが、折れてなかった。


白虎の言ってた茂みに行くと……


「ミーミーミー」


子供みたいな、子猫みたいな生き物が居た。


私のせいで、この子は1人になってしまった……

ごめんね……

私は、その子を抱き抱えて、家に帰った。


「ただいま。お母さんいる?お父さんでもいいけど?」

「はーい。あらマナちゃん。おかえり……え?どうしたの?その血みどろ……」

「返り血だから、心配しないで……また制服を買わないと、だけど……ギルドからお金もらえるから、大丈夫です」

「制服より……大丈夫なの?体」

「指にヒビが入ってるかも?それに左腕も傷だらけだけど、こんなのは、すぐに治るから」

「ヒビって……あんまり無茶しないでね」

「大丈夫だから……それよりお風呂を沸かして……着替えたいので」

「わかったわ……でも?あれ?その猫?獣人?拾ってきたの?」

「私が倒した、魔物の子供なの……育てて欲しいって頼まれて……飼ってもいいでしょ?」

「マナちゃん、お世話できるの?」

「大丈夫、私がちゃんと面倒を見るから、ね。お母さん、お願い」

「仕方ないわね。でも前みたいに、私に面倒を見させる……じゃなくて……一緒に稽古して、死なせたらダメよ」

「大丈夫。今度はちゃんと、手加減します」

「それなら飼ってもいいわ。ちゃんと手加減してね」


私は、白虎の子供とお風呂に入り、その子を洗ってあげた。

男の子だった。

白虎の子供は、人間とのハーフなせいか、お風呂を嫌がらずに、楽しんでいた。

タオルを細くして、頭でねじり鉢巻なんてしてた。

どこで覚えたんだろ?


でも、ごめんね……あなたのお父さんを殺しちゃって……


白虎の子は、笑って、私に抱き付いてきた。

私も、その子を抱きしめた。


お風呂から出て、

私の気に入ってるブランドの、サックス色のカットソーと、ブルーのミニスカートに着替えて、家を出た。

もちろん白虎の子供は、抱き抱えて。


そしてまずは、制服屋さんで、セーラー服を買うと……


「毎度ありぃ」


って言われた。


その後、ちょっと嫌だけど、マジックショップ超爆乳に行った。


「あの、また制服に、魔法を付与して欲しいのですけど……」

「あら、マナちゃん……ん?今日は子連れ?マナちゃんの子?」

「そんなわけないです。私はまだ、14歳ですよ」

「14で結婚する子は、いっぱいいるわよ」

「それは私のクラスにも、いますけど、いっぱいって程には、いないですよ」

「あら、マナちゃん……行き遅れて焦ってるの?」

「そんなのないです。そんな事を言うのなら、お姉さんは、どうなんですか?結婚してるんですか?」

「結婚してたわよ。今はしてないけど……子供もいるし」

「えっ、お姉さん。お子さんがいるんですか?」

「いるわよ。当たり前でしょ?私の歳、いくつだと思ってるの?」

「20ぐらいかな?って」

「20よ」

「20で子供……お子さんは、いくつですか?」

「5歳」

「ええっ、15でお母さんって……」


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