桔梗 修行と武器合成だよ
翌日。
朝から修行開始だ。
昨日まで着てた魔法少女服は、クリーニングに出したので、とりあえず今日は、
昨日買った、初心者魔法服セットを着てみた。
ペラッペラで安っぽい服だ。着心地も悪い、これでは他の服を買いたくなるな。
赤目さんの案内で、お城の前の広場に出た。そこには広いスペースがあって、修行するのに、ふさわしい場所だった。
「桔梗さんのステータスだと、スキル、トレードを生かす為に、スキルを増やすのがオススメですけど。どうしますか?」
「はい、それでお願いします」
「それでは、私のスキル、MP自動回復アップを、教えますね」
「はい」
「では、魔法を使って、MPを消費して下さい」
「えっと、僕の魔法は……昨日覚えたかな?って、睡眠魔法しかないのですが?」
「へえ。レアなの覚えましたね……あっ、ひょっとして、その靴の能力ですか?」
「はい。マジックショップ手品って店で買いました」
「ああ……なるほど。あそこは、店主もアレだし、売ってる物もアレですが、あの店主。魔道具職人としては、超一流なんですよ」
「ええ?そうなんですか?」
「あの人は、自分用以外の装備だと……自分の理想の女の子を想像して、そのサイズで服や下着や靴を作り、それに合わないと、絶対に売らないんで……全然売れてないんですけどね」
「それで、よく店が続けられますね」
「お金がなくなったら、自分用の超強力装備で、ダンジョンへ潜ったり、クエスト受けたりして、稼ぎまくってますよ。
お店は趣味みたいなモノじゃないかな?」
「そうなんですか。めちゃめちゃ変わってた人でしたけど……」
「……とりあえず、その睡眠魔法を、私に掛けてみて」
「行きますよ。い〜け〜睡眠魔法」
「うっうっ眠くなってきた……私の魔法防御力は、かなり高いのに……眠く……眠く……うん?眠気が消えた……ひょっとしてMP切れ?」
俺のステータスカードを見ると、MPがゼロになっていた、
「桔梗さんのMPは、最大で100ぐらいだったよね?」
「はい」
「それを一気に使ったって事は、この魔法は、睡眠魔法(大)だよ……私が眠くなるはずだわ」
俺のステータスカードを確認すると、魔法の部分に、睡眠魔法(小)1 、睡眠魔法(大)1 って書いてあった。
「これって、MP消費量とかが、書いてないですけど?」
「説明って言って、調べてみて」
「説明。睡眠魔法のMP消費量……あっカードの下の方の、何も書いてない部分に、文字が出てきた……睡眠魔法(小)MP消費量10、睡眠魔法(大)MP消費量100」
「普通ですね」
「でも、この大小の区別って、使う時にどうすればいいんですか?」
「声の大小で、いいんじゃない?」
「えっ?そんなので?」
「大丈夫。魔法はイメージだから」
「はあ……」
「ではMPもゼロになった事だし。ここでMP自動回復アップを覚えましょう。ダンジョンとかで、特に役に立つからね」
「はい。お願いします」
「えっとですね。なんか力がグングンと、みなぎってくる感じで、こうビンビンと」
「えっと……ビンビンですか?」
俺は赤目さんを見つめた。
赤目さんは、今日はマントを外してて、
ピンク色のバニーガールの衣装のみだった。
しかも、胸の先のポッチが解るぐらい生地が薄くて……
俺はそれをガン見してるうちに……
なんか下半身がビンビンに……
「凄い。桔梗さんのMP。ビンビン回復してますよ……鑑定しますよ……おっ、スキルの欄にMP自動回復アップが付いてますよ。こんなに早く覚えるなんて……桔梗さんは天才?」
「違いますよ。昨日、器用さアップポーションと、幸運アップポーションを飲んだので、それでスキルを覚えやすくなったのでは?」
「鑑定、器用さ300、幸運600、おっ、なかなかの数字ですね」
「よかったです。それを生かすように、頑張ります」
「では次は、HP自動回復アップを、教えましょう」
「はい、よろしくお願いします」
「では」
ビシッビシッビシッ
「痛、痛、痛」
なぜだか赤目さんが、俺を鞭で叩いてきました。
どこから出したんだ、あの鞭。
あっ、アイテムバックかな?
「これは九条鞭なんで、そんなに痛くはないはずですが?」
「痛いですよ。普通に」
「そうかい?これでもか。これでもか」
ビシッビシッビシッ
うわぁ赤目さん、目が血走って、真っ赤だよ……って、前からか……
「どうだ?どうだ?どうだ?HPは消耗したかい?」
「痛いですって、もう。減りますよHP、あれだけ叩かれれば」
「ではもう一度……今度は痛いだけじゃなく、気持ち良くならないとな」
「え?」
「はら……女王様。もっと鞭を下さい……って言ってみろ、豚野郎」
「豚野郎って……痛、痛、痛……でも、何か、こう……あっあっああん」
「おっおっ、回復してきたかな?鑑定……おっ増えてる……凄い、こんな短期間で覚えるなんて……ドM?」
「違いますから、もう鞭を振るうの、やめて下さい」
この人、ダメだ。
鞭で叩かれた俺も、叩き疲れた赤目さんも、一休みしてると、そこにメイドのシロカさんがやってきた。
「桔梗様に、2名のお客様が参られてるのですが、いかが致しましょう?」
「それなら修行は、一旦終了しましょう。桔梗さんは、お客様のお相手をして下さい」
「それでお願いします。赤目さん」
「それでは、お客様を返した後、お昼ご飯を食べてから、修行を再開しましょう」
「わかりました」
赤目さんが立ち去ると、代わりに、1人目のお客さんが現れた。
上品で、高そうな服を着た男だ。
「俺は騎士をしている、セバスチャンだ。今日は君に、武器合成をしてもらいに来た」
セバスチャンはそう言って、ショートソードと……うん?ブーブークッションみたいなのを持ってきた。
「剣はわかるけど……ブーブークッションみたいなのは、何ですか?」
「その説明の前に、俺の話を聞いてくれ。まずこの剣だが……呪われている。鑑定してみてくれ」
「スキル、鑑定」
呪いの剣。敵に当たらなくなる。
物理攻撃力 +500 素早さ −500
「確かに呪われてますね。でもショートソードで物理攻撃力+500なら、なかなか良い剣かも?」
「だろ?だから呪いを外して欲しいのだが、この呪いは重くて、外すのにお金がたくさん掛かるんだよ。そこで君なら、初心者だから、安くやってくれるのでは?って思って、来たんだよ」
「呪いを外すなんて、出来ないですよ。僕に出来るのは、武器合成ですよ?」
「それでいいよ。ブーブークッションの笑いで、呪いが外れるから……って、知り合いのオバちゃんが言ってたから……」
「誰ですか?そんな馬鹿な事を言ったの?」
「知らないかな?マニアって名前で、マジックショップ手品って店を経営してるんだけど」
「知ってますよ。あの人の名前、マニアかよ……しかも、オバちゃんって……」
「あっ、マニアさんは若く見えるけど、オバちゃんだよ。魔法の厚化粧してるから」
「魔法の厚化粧……オバちゃん……もう二度と行かない」
「それで、やってくれるのかい?お金があんまりないんで、10万円しか出せないけど……」
「前払いで、失敗しても文句無しなら、やりますよ」
「それでいいよ」
騎士セバスチャンは、俺にステータスカードを渡してきた。
えっと、これ、どうすれば?
そこにメイドのシロカさんが、タイミングよく、何かの機械を持って現れた。
「この読み取り機で、10万円を、カードから引かさせていただきます」
ピッと、という音がして、
シロカさんは、その後カードをセバスチャンに返した。
「確認をお願いします」
「うん、10万円だけ減ってる。OK。それでは君。武器合成をやってくれ」
「わかりました。それでは、セバスチャンさんの手前に、両方のアイテムを置いて下さい」
セバスチャンがアイテムを置いてから、俺は念のためにブーブークッションを鑑定した。
ブーブークッション。座ると、オナラみたいな音と臭いがする魔道具。
うわぁ、この世界のブーブークッションって……臭いなんていらないよ……
でも魔道具か……これなら成功するかも。
「行くぞ、スキル武器合成」
剣とブーブークッションは合体して、ブーブークッションが剣の鞘の部分を包み込んだ。
その後、鞘は徐々に透明化していき、さらに極薄になっていった。
なんか剣を、ピッタリとゴムが包み込んで……
「まるで避妊具みたいだな……」
言うなよセバスチャン……俺も思ったけど……
しかもそのゴムは、剣の根元の部分まで、しっかりと覆ってなかったので……なんか、臭いが……
「オナラ臭。俺の剣」
「ゴムを伸ばして、根元まで包み込んで下さいよ。セバスチャンさん」
これでやっと、オナラの臭いは無くなった。
「じゃ、鑑定してみるぜ……おっ、これは……極薄剣0.02 名前まで付いてるよぜ。さらに、物理攻撃力+500……のみ。呪いが外れてるぜ。やった」
「……よかったですねセバスチャンさん」
「では、さっそく試し切りしてくるぜ。ありがとうな。君」
「こちらこそ、ありがとうございます。また来て下さいね」
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