マナもお買い物だよ

昨日、借金を全て返した両親は、私にステータスカードを返してくれた。

その金額欄には、まだ200万以上、残っていた。


「ステータスカードを見たけど、防御力がちょっと弱いかな?特に魔法防御力……魔法で服に防御力を付与するといいよ。凄い魔法使いを知ってるから、そこへ行ってごらん」


お父さんは、そう言うと、魔法使いさんの名刺を渡してくれた。


「ありがとう、お父さん」


今日も、仕方なく体操服を着て、街に出た。

でも今日は、ステータスカードに入ってるお金で、素敵なお洋服を買う予定なので、私のテンションは高かった。


その前に、魔法使いさんのお店に向かわないと……


そのお店は、大通りから一本入った場所にあって、解りずらいかな?って思ったけど、入り口の大きな三角帽子のオブジェで、すぐに解った。


マジックショップ超爆乳、って名前は、どうかと思うけど……


「こんにちは。ガンコ加藤の紹介で、うかがったのですが……」

「こんにちは。加藤さんの紹介?あれ?ひょっとして、あなたは、加藤さんの娘さん?」


そう言って、店の奥から出て来たのは、超爆乳の店員さん。

基本的な魔法使いスタイルだけど、服も、帽子も、靴も、全てクオリティが高そうだった。


「はい、加藤の娘です」

「お母さんに似てるわね。目元とか鼻とか唇とか……」

「よく言われます……それで今日はお願いがあって来たのですが、私の着てる体操服に、魔法を付与して欲しいのです」

「えっ、あなたは、体操服で戦うつもりなの?」

「はい。汚れても良いようにって思って、体操服にしたのですが……オークと戦った時に、制服が汚れ過ぎて、捨ててしまったので……」

「それは解るけど。でも、あなたみたいな美少女が、体操服で戦うって、それは、もったいないわ」

「確かに少し、カッコ悪いかも?」

「でしょ?それなら、他の服にしたら?あなたの学校の制服って、どんな感じなの?」

「セーラー服ですけど?」

「それに魔法を付与しましょう……美少女のセーラー服、ウヘヘへへ」


この店員さん……ヨダレが出て……爆乳にたれてきた。


「お金をドンと値引きするから、是非セーラー服でお願いします」

「あっ……はい……わかりました」


私は、学校の近くの制服屋さんに行って、そこでセーラー服を買って、一旦、家に帰って、服を着替えた。


そしてまた、魔法使いさんのお店に行った。

私が店内に入ると、店員さんは、妙に興奮していた。


「うわっうわっ、たまんね。女だけど私。勃つよ、コレ。ビンビンに。すっげえ、フェロモン充満中って感じ。私のお店がヤバイ。これは……タマらんねぇ」

「あの、その、店員さん。大丈夫ですか?」

「大丈夫だから、痛くしないから、イヒヒヒヒヒ」


超爆乳の店員さんは、胸をプルルンとさせて、私に近づいて来ました。

そして、両手のひらで、揉むような仕草をして……


「魔法防御力、付与。へへへへへへ」


そう言うと、店員さんの手の平は、ピンク色に輝きだした。

そして、その手で……

私の胸を、腰を、お尻を、肩を……

とにかくセーラー服の上から、揉みまくった。

もう嫌。やめて欲しい。


「続いて物理防御力、これはセーラー服を脱いで……」

「何で脱ぐんですか?セーラー服に魔法を付与するんですよね?」

「いや、それは……えっと……戦ってる時に、セーラー服が脱げたりするから……」

「脱げません。もう物理は要らないです。私の速さで、よけられますし」

「ええ?そんなの困るよ。もっと揉みたいし」

「もう、終わりです。お金を受け取って下さい」

「しょうがないなあ」


どスケベ店員さんは、私からステータスカードを受け取り、読み取り機を使って、料金を清算した。


「特別価格。一万円でいいわ。でも、また来てね」

「う〜ん、考えてからにします」


私はステータスカードを受け取って、確認した。

凄い、魔法防御力が1000まで上がってる。あの魔法使いの店員さん、変態だけど、腕は一流なんだ。

しかも料金が一万円。

ポーションとかと比較したら、凄く安い……

あれで変態じゃなければいいのに。


制服代三万円。魔法代一万円。

私のステータスカードには、まだお金がいっぱいあった。

これで久しぶりに服が買える。やった。


私は、王都にあるファッションビル119へ行った。


カットソー、ミニスカート、パーカー、ブラウス、Tシャツ、ワンピース、カーディガン、ソックス。上着を買いまくった。

それに、

レースがいっぱい付いた、ピンク色のハート柄のブラセットとか、

白地に、赤い薔薇の刺繍があって、高級感溢れる、大人っぽいブラセットや、

上品な透け感のある、セクシーなブラセットや、

いっぱいいっぱい買った。

私はこのために生きているのかも?


山のような荷物が、私には、まったく重くなかった。

それは、私に体力があるからではなく、私のテンションがMAXだから……

ハート。


家に帰ると、お父さんが玄関まで迎えに来てくれた。


「おお。凄い荷物だね。マナ。持つよ。げっ。重……」

「いいからお父さん、気持ちだけ受け取ってくわ。私が持つから」

「ごめんね。役に立てなくて」

「いいから……この服ね。この間のバイトで買ったの……旅行にも行くしね」

「旅行?」

「そう。お父さんが言ってた、変わったスキルを持ってる人の所」

「ああ、あの人なら、ウサギ王国に決まったよ。今頃はもう、着いてるんじゃないかな?」

「じゃ、私もウサギ王国に行ってみる」

「この東王国からだと、飛行機で3時間ぐらいかな?そんなに遠くないので、

日帰り出来そうだけど、どうする?」

「その人、テレビでやってた人なんでしょ?そんな人に直ぐは会えないんじゃないかな?だから、もうすぐ始まる夏休みを利用して、じっくり時間を掛けてウサギ王国に滞在して、そしてスキルを、必ず代えてもらう」

「さすがマナはしっかりしてるな。わかった、行っておいで。でもお金は大丈夫かい?」

「大丈夫よ。まだ200万近く残ってるし……それに、冒険者ギルドは世界中にあるんだから、観光の合間に、ウサギ王国でも稼いできます」

「頼もしい。さすがマナ」













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