マナ メインヒロイン登場だよ

ここは、ドラフト会議が行われてる西王国から、離れた地にある東王国。

その王都にある冒険者ギルドの看板を見上げてる少女がいた。


艶やかな黒髪は、光に反射して輝き。

汚れなき純粋な瞳は、丸くて、大きくて、

その瞳を見つめる事に、恐れを抱くほど美しいかった。

細く美しいカーブを描く眉毛。

まるで2次元のような小さな鼻。

そして桃色の薄い唇は、誰もがキスをしたくなった。

まるで魅了の魔法がかかってるように。


さらにスタイルは、全体にスリムで、ウエストは細く、くびれてて、モデルのように美しかった。


少女の体は、セーラー服に包まれていた。


ここが冒険者ギルドか。私のバイトにぴったりだわ。


私が、空いてた扉を通って中に入ると、

すぐに変な男の人に声を掛けられた。


「よう、お嬢ちゃん。ここはオムツは売ってないぜ。ションベン漏らす前に、家に帰んな」


私は、ムッとして、その男の人を睨んだ。


「うっうっうっ、この威圧は……ごめんなさい」


男の人は、走ってギルドから出て行った。何だったんだろ?


気を取り直して、ギルドの窓口へ行って、綺麗な女の人に声を掛けた。


「冒険者になりたいんですが」

「冒険者登録ですね。手数料が500円になります」

「はい」


私はステータスカードを窓口のお姉さんに渡した。カード決済って便利。


「しばらくお待ちください……」


受け付けのお姉さんは、ステータスカードを見て、私と見比べたりしてたけど、どうしたんだろ?


「あの、このステータスカード……失礼ですけど、あなたのですよね?」

「はい」

「マナ加藤さん……レベルが1なのに、とんでもない物理攻撃力……加藤……ひょっとして、夫婦でパーティを組んでいらっしゃる、加藤さんの娘さんですか?」

「両親共、バイトで冒険者してますが?」

「バイト……あの稼ぎで……」

「あの、うちは空手道場を開いているんですが、経営がうまくいかなくて、それで両親が冒険者のバイトしてて……いっぱい稼いでるんですが、借金があって、私のお小遣いもなくて、それで可愛い服とかも買えなくて、そこで私も冒険者のバイトを、しよっかな?って思ったんですが……」

「ええ、わかりました、大丈夫ですよ。冒険者は誰でもなれますから……はい、入金と登録が終わりました。これで世界中どこへ行っても冒険者として働けますよ」

「ありがとうございます。それで、このまま魔物を倒しに行けば良いんですか?」

「それでも良いんですか、それよりクエストを受けることをオススメします。左の棚に、いっぱい紙が貼ってありますから、あそこの中から、好きなクエストを見つけて、こちらへ持って来てもらえばクエストスタートです」

「わかりました」


私は棚の中のたくさんの紙を、1つづつ見て行った。

えっと、どれにしようかな?とにかく、貰えるお金が多いのが……

あった。10万円。

私はその紙を剥がして、すぐに受け付けのお姉さんの所へ持って行った。


「これ、お願いします」

「えっ、これは……複数パーティによる討伐依頼の出てる、オーク村の偵察ですね……始めての依頼でこれは……」

「大丈夫です、私、足も速いですし」

「でも……あなたみたいな美少女をオークが見たら……確実に襲われますよ」

「えっ?オークは女の子を襲うんですか?」

「はい。オークは主に女性を襲って、いやらしい事をする魔物です」

「許せないです。そんなの。私、オークを倒してきます」


私はギルドを飛び出した。一刻も早く汚らわしいオークを倒さないと……


王都の城門へ向かうと、そこで門番のおじさんに呼び止められた。


「お嬢さん、そんなに慌てて、どこへ行くんだい?」

「オークの村です。私、オークが許せなくて」

「えっ?お嬢ちゃんが?その細い体で?しかも武器も持ってないじゃないか。それに装備も無しで、セーラー服って……危ないよ。やめときなよ」

「武器は、私の拳と両足です。私、加藤道場の跡取りですから」

「あっ、加藤夫妻の娘さん?」

「はい」

「でもな……さすがに」

「私、両親より強いんです。でも手加減が出来なくて、組手で門弟の皆様を、ボッコボコにしちゃって、皆んな辞めちゃって、それで道場の経営が苦しくなって……だから私が稼いで、道場を盛り返したいんです。可愛い服も欲しいし」


門番のおじさんは、私の拳をじっと見つめた。


「俺も昔、空手やってたから分かるけど……お嬢ちゃんの拳ダコは、凄まじい……ちょっと触らせてもらって、良いかな?」

「はい、どうぞ」

「凄い、硬い。まるで鉄みたいだ。どれだけ鍛えれば、こんな拳になるんだ……

この拳なら、オークの一匹や二匹……わかった、行ってきな。オーク村は、ここから東へ5キロぐらいの所にあるから。気を付けて行ってきな」

「わかりました、ありがとうございます」


私は全力で走って、森の手前まで来た。すると、前方の森から、嫌な臭いがした。豚みたいな臭いだ。

臭いの元に近づいて行くと……

居た。オークだ。

私は迷わず必殺の回し蹴りを放った。

一発でブッ飛んで行ったオーク。

大きな音がして、オークは倒れた。

土煙が舞った。

その向こうから、何匹かのオーク共が、群がって来るのが見えた。

蹴った、突いた。肘をのめり込ませた。

次々に倒れていくオーク。

私はさらに森の奥に入ると、一軒の粗末な小屋が見えた。近づいて行って、中に入った。

そこでは、女の人がオークに犯されていた。

許せない。

私は怒りで、体が燃えるように熱くなった。

女の人を組み伏せていたオークを一撃で殺した。

もう中にはオークがいなかったので外に出た。

私が倒したオークが持っていた、刃物を見つけた。

ソートソードだった。

私はそれを握った。


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」


気がついたら、裸の女の人が、


「もう良いんです。もう終わりました」


そう言って、私に抱き付いていた。


私は刃物を落とした。


私の周りには、数え切れないぐらいのオークが死んでいた。マントを巻いて杖を持ってる、変なオークがいた。

王冠を被った、すごく大きなオークもいた。

皆んな死んでいた。

大量のオークがいても、何の音も聞こえなかった。酷く静かだった。










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