桔梗 第一回目、選んだよ

「タマさん、いっぱいありますね。まあポーションは、なんとなくわかるんですが。職業は、ドラフトとは別に選べないんですか?」

「選べません。普通の人は無職で働いてるうちに、適職として認められて、職業が決まるのです」

「5つしかないけど?」

「5人までですね。他の方は、普通の人と同じですね」

「あんまり職業にこだわりがないから、これはパスかな……じゃ魔法だけど。ほとんど予想が出来るけど。レア魔法って何?」

「珍しい魔法が得られます。内容は不明ですが」

「わかった、ありがとう。ここまでは、なんとなく理解したけど、アイテムの中に、変なのが……まず魔ローファーってのは?」

「ローファーに魔法がかかってます。足が速くなったりしますね。ただしサイズが24センチなので、男性には履けませんね」

「僕は足のサイズが小さいから履けるけど……何でローファー?」

「セーラー服に合うからじゃないですか?」

「そりゃ合うけど……えっ?この世界にもセーラー服あるの?」

「もちろんありますよ」

「それはいいですね」

「はい」

俺は思わずニヤケてしまった。

「それで、次のワルサーP38ってのは?」

「ドイツ製の名銃ですよ。アニメでもお馴染みの」

「えっ?この世界にもアニメあるの?」

「ありますよ。日本のアニメをガンガン流してますよ……この世界は著作権とかないですから」

「日本のアニメ見れるの?」

「見れますよ、リアルタイムで」

「それだけが心残りだったけど、日本のアニメが見れるのは、ありがたいよ」

「私も日本のアニメが大好きですよ」

「どんなのが?」

「当然、男がいっぱい出てるアニメですね」

「あっ……えっと、このワルサーP38って、地球のと同じですか?」

「違いますよ。この世界は、化学は発展してないので……そうですね。魔法銃って感じですね」

「具体的には?」

「弾丸の部分に、各種の魔法弾を込めて撃つって感じですね。例えば、火魔法弾とか、氷魔法弾とか」

「うおー。それいいですね。僕はワルサーP38にします」

「イヤイヤイヤ。全部見てからにして下さい」

「あっ、はい……じゃ次の、巨大ロボ……」

「巨大なロボットですよ。でも誰も操縦できなくて、役立たずですが」

「……じゃ、仮面は?」

「目の部分を覆う、蝶みたいなデザインの仮面ですよ。魔眼の効果があるそうです」

「魔眼?」

「はい。効果はよくわからないんですが」

「……いらないな……後は、天狗セットって」

「天狗のお面と、天狗の服と、天狗のうちわですね」

「……それで効果は?」

「風魔法が使えるのと、風魔法に対する防御……あと、男性の下半身の一部が、大きくなるとか……」

うっ、欲しいかも?

「次のは、あんまり聞きたくないけど……電動十手って」

「……えっとですね。十手がちょっと太くて、グリグリ回ったり、短い部分が震えたり……女性用品ですね」

「ですね……」

「次にスキルですけど、何か質問はありますか?」

「これは予想付きます。でもSPってのが

わからないんですが」

「スキルポイントですよ。貯めると新たにスキルが得られます」

「わかりました。じゃ、僕はやっぱりワルサーP38ですね」

「それでしたら、資料の中から、ワルサーP38の用紙を抜いて、ステージに向かって下さい」


ステージに上がったのは、俺が一番最初だった。


うわぁ、思いっきりテレビカメラが向いてるよ。魔法少女姿の俺。異世界全国生中継って……めちくちゃ恥ずかしい。


「早くも決められた方が、まいりました」


司会者はそう言うと、俺から用紙を受け取り読み上げた。


「第一回希望指名、アイテム、ワルサーP38。桔梗スイーツウイッチ」


何だよスイーツウイッチって……勝手に球団の愛称みたいの付いてるよ。もう。


俺は司会者にうながされて、ステージを降りて、自分のテーブルに戻った。


二人目にステージに上がったのは光だった。そして司会者が読み上げたのは……


「第一回希望指名、アイテム、光剣、光ハゲアタマ」


ハゲアタマって……あいつ薄くなってたの気にしてたから……俺は何とか笑うのを我慢した。

光は、真っ赤になって抗議してたけど、変えられないようだった。


三人目はガワコスさんだ。

ガワコスって言うのは、特撮の変身後の姿をコスプレしてる事なんだけ

ど。

ガワコスさんは、そのままコスプレネームにしてる人だった。

この人も俺のコスプレ友達だった。


「第一回希望指名、スキル獣人化。ガワコスライダー」


司会者の張りのある声で、そう読み上げられると、ガワコスさんは嬉しそうだった。

もちろん全身に被り物をしてるので、表情は、わからないけど、スキップしてたので……


四人目は堕天使ちゃんだ。この子もコスプレ友達なんだけど……


「第一回希望指名、魔法、闇。堕天使中二病」


中二病。まあ、そうだよな。確かリアルでも中二だったし。


次にステージに上がったのは、ビキニの水着の上に、言い訳じみた衣装を付けた、露出系のエロいお姉さんだった。


「第一回希望指名、スキル、お宝感知。キラリン露出癖」


露出癖。確かにエロい。あっ、よく見たら、前に写真を撮らせてもらった人だ。

東京の人だったな、確か。


「第一回希望指名、アイテム、名刀。沖田総司」


「第一回希望指名、アイテム、妖刀。真田幸村」


「第一回希望指名、アイテム、魔剣。伊達政宗」


武将系ゲームの男装の人達が、まとめてステージに上がって、司会者に読み上げられた。

男装してるけど、全員女性だ。

今のトコ、被りなしだな。これはワルサーP38は、俺の物か。

と、思ったら、次の男性アイドルゲームのコスプレした女の人の指名が……


「第一回希望指名、アイテム、ワルサーP38。白鳥ゴージャス」


くっそ。アイドルが銃とか欲しがるなよ……魔法少女が欲しがるのも、おかしいけど。


次に10番目の人がステージに上がった。この人も男性アイドルコスプレの人だ。

女性だけど。


「第一回希望指名、魔法、転移。伊集院デラックス」


伊集院と、デラックスって……痩せてるのに。


「第一回希望指名、魔法、結界。雅オシトヤカ」


これで後一人か。


「それでは、第一回希望指名、最後の方は。魔法、魅了。ミルクゴックン」


ミルクゴックンって呼ばれた人は、女性アイドルアニメのコスプレした人。

何回か写真を撮らせてもらったり、話もしたけど……





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