スーパー中学生の記憶術

とにかく何でも記憶をしている生徒がいる。

徳川15代将軍全員の名前から複雑な化学式まで。

あっという間に記憶して

それをずっと忘れないでいるのだ。


そんな彼に、どうやって勉強したら

あんなにたくさんのことを覚えれるのかと

聞いてみた。


彼の答えはこうだった

「覚えようと思ったら、何でも覚えれますよ」


ぬぬぬ。

それができないからみんな苦労してるんじゃないか!


私が求めているのはそんな答えではなく、

例えば世間一般でいう記憶術とか

7回同じのを読んだら覚えれましたとか

そういうやつだ。


でも、彼は

「本当に、覚えようと思って勉強したら、

すぐに覚えれるんですよ」と言って引かない。


そこで私は「じゃあ、今日から1週間、何を食べたか

全部覚えて来てよ」と塾の勉強とは全く関係のない宿題を

彼に出した。


そして1週間が経過した。


早速は私は教室に向かい

彼を見つけ声をかけた。


「ねえ。過去1週間で何を食べたか全部覚えてきた?

とりあえず1週間前の朝ごはんから言ってみてよ。」


すると彼は

「えっ、それ何のことです?」と答えた。


どうやら彼は私が出した宿題を覚えようと思って聞いていなかったようで

私の出した宿題自体を忘れてしまっていたようだ。


私は敗者の気持ちで彼に「いや、何でもない、忘れて」と彼に告げ

心の中でドナドナを歌いながら

売られていく子牛の気持ちで教室をあとにした。

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