小学生と不審者の影

後ろから足音が迫ってくる。


コツコツという乾いた音が、私の方に向かってきているのは間違いない。


私の歩くスピードより少し早く、私の歩いた跡をなぞるように

徐々に徐々に、私を射程圏内に取り込もうとしている。


その足音が近づくにつれ、はぁはぁと言う息遣いが聞こえてきた。


まるで私がその存在に気づいていないかのように、

そのえげつない息遣いは、私の耳にねっとりとこびりついている。


おそらくその足音の主は、手を伸ばせば、私に触れることができる距離にいる。


振り返って確認したいけど、それをするだけの勇気が湧かない。


足音と息遣いが私のすぐ横まで来た。


もうだめだ!


と、その小学生の女の子は思っているのだろうなと、

犬の散歩をしながら、女児と同じ方向に向かって歩いていた私は想像した。


私はその小学生を襲う気があるわけでなし

私の飼い犬もその女児におしっこをかけたいわけでなし。


でも明らかにその女児は私を警戒していた。

散歩のコース変えようかなと、思った。

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