当たるも当たらぬも

ふらっと立ち寄った町の食堂で

周りの客から「先生」と呼ばれていたおばちゃんに話しかけられた。


「あんた一人っ子やろ?」


この人はいきなりなんだ?と思いつつも


「いえ、違います」と答えると


「そうかね。一人っ子の相が出てるんやけどね」


と言われた。


自分には弟と妹がいるのに、何を言っているのか。



「子供がおるね」


「はい、2人ほどいます」


「上のお兄ちゃんは、今何歳?」


自分には娘が2人いるが、息子はいない。


「お兄ちゃんはいないのですが、お姉ちゃんなら。。。」


と、こんな会話が5分ほど続いた。



おばちゃんは最後に


「あんたは本当に人がいいから、騙されないように」と言った。


私は心の中で


「あなたの言葉にも騙されないように注意しますね」とささやいた。



そしてそれから数分後、そのおばちゃんは、別の席の母娘2人が座っていた席に移動し


「お嬢ちゃんかわいいね〜。一人っ子?」


と聞いていた。


母親は


「いえ、お兄ちゃんと弟がいるんですよ」と答えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る